撮り旅・ヨーロッパ

ハンガリーを拠点にカメラ片手に古い教会を主に写真撮影の旅を楽しみ、そこで拾った生活、文化情報を紹介します。

ブダペストをスケッチ(1)

2020-01-20 17:51:57 | 海外生活

<今日のスケッチ>

  これは10日ほど前に、ブダペストの日本大使館に年金の生存証明としての在留証明書を発行

 して貰うために、年1回の恒例行事となっているもので、他には国政選挙の不在者投票に行くだ

 けで、普段はまず大使館を訪ねることはない。 在職中に至っては、行く用はなかった(その方

 が事件がなかったわけで良いのかも知れないが。)

 場所は他国の大使館の多くがペスト側に集中しているのに比べ、ブダ側の閑静な高級住宅地域に

 あって、ぶらり訪ねるのに悪くはない場所柄である。 そこで一度、写真に収めておきたいと

 思ったのであるが、大使館を撮ることは禁止されているので、通りをスケッチしてみた。

 スケッチに人物を入れるのが、多くの画家たちは好みのようで、割と人間の動作というものを

 描くのは難しく、練習もしたかった理由もあった。(よってスケッチの中の人物は想像である)

  Jan. 10 2020 筆

   大使館の入口は坂道を真っ直ぐ登って行き、突き当たったところの右であり、

   手前右側の大きな門の建物は不明(大使館ではないようだ)。

 

 ● 大使館を撮るのは差し障りがあるので、どの辺にあるかを次の画像で示す。

  王宮内にあるマーリア・マクドルナ塔からの眺め            May 06 2018

   白い丸い建物は、老舗のホテルブダペストである。 天気の良い日には、最寄りのトラム、

  バスの停留所から散歩がてら歩くのも快適。

 

  大使館と云えば、国際交流ということが頭に浮かぶが、小生も長いこと外国生活をしている

 が国際人と言い切れるのだろうか?  最初にアメリカに渡ったのが昭和62年(1987年)の

 2月の寒い時期であった。 取り立てて志などあった訳でもなく、単に会社の辞令に従っただ

 けであった。  この時代はまだまだ渡航というものが一般的でなかった時代であったようだ。

 そこで当時の世代を、いつもの「社内独語」で私の旅だった日に近い記事を拾ってみた。

 

「国際人とは (page 362)」                 1987. 02. 14 記事

  外国の生活と文化を知ろうと、碧南市では国際交流講座を開いているが、八日の公開講座では

 評論家の桐島洋子さんが「日本人が海を渡るとき」のテーマで講演した。 予想以上の好評で、

 反響を呼んだ。 会社に隠しての船上出産、ベトナム最前線の取材、親子四人の絆を確かめあっ

 た米国イーストハンプトンの自然回帰の生活、米国と日本の小学校、パーティの対比など経験を

 通して語りつつ価値観の違いに触れ、まだまだ粗末な日本人の国際性を指摘した。

 てらいも威張りもなく、淡々と自己を語る端々に鋭い視点が光る。 講演の内容から察して、

 桐島さんは、純粋で大胆、なんとも大らかな勇気に満ちた魅力的な人、そう思えた。 ↙

 

  Jan. 14 2020 筆

   ペスト側くさり橋の袂から対岸の王宮を望む。

 

↗ 海外へ出かける日本人は増えたが、どこまで国際化しているかには悲観的だとして、「旅の

 恥はかき捨てといった感じで、三、四割が、本来のその人より下品になる。 特に東南アジア

 で遊ぶ日本人の人格は落ちる。 威張ることで優越感に浸り、原地の人びとの悪口を言って

 傷つける残忍な風景を見かける」と語り、みやげ物を買うのに目の色を変え、ブランド商品を

 競って買い、得意気な顔をする。

 「いい物を選ぶ目があればよいが、買い物を目的とするなら、日本でも買えるはず」とチクリ。 

 見えないものを見て、さまざまな人と出会うのが好ましい旅。 海外旅行をする人は多いのに

 外国を理解していない。

 どうすれば日本人は国際化できるか考えてみたいと問いかけ「よき日本人であること。 

 価値観は国によって違う。 国の対する理解力を持つ。 素晴らしい友達関係が保てないのに

 よい国際人は生まれない」を基本にしたいと結論づけた。

            出展:おんなひとり地方紙づくり30年「社内独語」 砂子屋書房

 

  王宮から、くさり橋(Széchenyi Láchid) を眺めた風景

  Jan. 20 2020 筆

     

 「あゝ、国際化、国際人と盛んに叫ばれていた走りの時期であったなあ」と、ホークの上げ

 下げの食事マナーまで社内教育を受けた後、海を渡ったものであったが果たして国際人に

 なれたのだろうか? 今となっては若い人達に笑われてしまいそうだが、当時はちょっと

 真剣だったような気がする。

                                  Jan. 10 2020 撮

 

                                  May 22 2005 撮

 

 

      これにて「ブダペストをスケッチ(1)」は、お終いです。

      本ブログへのご参加、有難うございました。