「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     教訓が生かされなかった老人ホームの悲劇           

2009-07-23 04:58:56 | Weblog
山口県地方を襲った集中豪雨で防府市の特別擁護老人ホームの裏山が崩れ、土石流で
建物が埋まり、入所していた老人5人が亡くなり、2人が行方不明となっている。同じ老人
として痛ましいかぎりだ。原因の一つは市当局の避難情報の伝達の不備によるものらしい。
同じような悲劇が24年前、長野市で起きている。この教訓が生かされなかったのか残念で
ある。

昭和60年7月26日、やはり今回と同じような梅雨時期の長雨で長野市の善光寺の裏山の
地付山で地滑りが発生、やはり老人ホームが土砂に埋まって26人が犠牲になっている。
この事故の寸前、危険区域に入っていた東斜面の湯谷団地には避難勧告が出て住民は
難を免れたが、区域外の南斜面の老人ホームに対しては勧告がなかった。

今回の防府の特養老人ホームのある地域も県から土砂災害危険区域に指定されている。
指定されると、市町村はそれに基づき災害のさいの避難体制を策定するが、防府市内には、
危険区域が多すぎて、老人ホームの地域は未策定で、このため市からホームへの伝達が
なかった。

長野市では地付山の事故のあと、危険区域には地滑り監視システムを設けている。国土
の70%以上が山林というわが国では、残念ながら老人ホームは市街地に建設されず郊外
の山地などに建設されることが多い。高齢者は防災上の配慮が特別必要なだけに、災害
に対しては市町村も関係者ももっと事前の情報を早くキャッチし、これを伝達することが
事故を未然に防ぐ方法である。



            68年前の日食の頃

2009-07-22 05:01:58 | Weblog
鹿児島県奄美トカラ列島の皆既日食は、悪天候で観測されなかったが、日本本土
の陸地で日食が観測されるは1963年7月以来46年ぶりで、大騒ぎだった。が、僕 
の記憶の中には、この時の日食よりは、もう一つ前の子供の時の日食のほうが懐
かしい。ただ、いつのことか正確な日時を忘れてしまっていた。

僕の遠い記憶の中にあった日食は、調べてみると、1941年9月21日、沖縄与那国島で
観測された皆既日食の時で、当時僕が住んでいた東京でも午後2時、食分0・58の日食
が観測されている。ちょうどお彼岸の日曜日で快晴だった。僕は小学校5年生で、友達と
一緒に工場のゴミ捨て場からガラスの破片を拾ってきてスミで黒く塗った記憶がある。

68年も前の昔のことだ。それに子供だったので詳しいことはわからないが、当時の時世
は中国大陸での戦争が泥沼化し、日食から3か月後には大東亜戦争に突入している。
銃後と呼ばれた一般社会でも防空演習が始まり、空襲に備えて消火用のバケツリレー
の訓練が行われていた。

今回の皆既日食の観測地のトカラ列島の悪石島には、島の人口の3倍もの観測客が押
し寄せテント村まで出来たとのこと。68年前の日食では沖縄の那覇でも皆既に近い日食が
観測されている。今だったら沖縄は大変な日食ブームだっただろう。

幸い、長生きしたことで僕は生涯に3回、日食を見る機会に恵まれた。次回日本でみられる
日食は2035年とのことだ。残念ながら4回目は無理である。


         海の記念日 白砂青松の危機

2009-07-21 04:51:18 | Weblog
昨日7月第三週の月曜日は「海の記念日」の祝日だった。祝日法によれば”海の
恩恵に感謝し海洋国日本の繁栄を願って”制定されたのだが、カレンダーに赤丸
がついていても、一瞬なんの祝日だか、毎日が休日の老人は忘れてしまう。

日本で海というと、白砂青松の海岸を連想する。昔習った小学校唱歌にも”松原遠
く消ゆるところ”(「海」大正2年)とか”さわぐ礒辺の松原””なぎさの松に吹く風”(「わ
れは海の子」明治43年)などいろいろ出てくる。その代表格の一つ、羽衣伝説の三
保海岸が今、白砂青松喪失の危機にあると聞いた。

三保海岸(静岡市)は総延長7キロの白砂の海岸で、緑の松原が続く全国的にも名
が通った観光地だが、ここ数年、海岸侵食が進み、かっては広々としていた砂濱が
減り場所によっては遊歩道近くまで削りとられてきているという。海に流れこむ安部
川上流に造られた砂防ダムの影響によるものとのことだ。

青松も危機にある。近年,枯死する松が出始めてきた。全国的に猛威をふるっている
松食い虫によるものだという。抜本的な防止対策がないと聞いているので厄介だ。数
千年もの間、きれいに保全してきた国土が、われわれの世代で喪失破壊されるという
のは残念である。

「海の紀念日」をたんなる休日だけでなく、何か意義ある休日に出来ないものか。例え
ば、白砂を保存するために養浜事業をもっとPRするとか、松の苗木を植えるとか関係
者にお願いしたい。





          盆踊りの輪はおばあちゃんだけ

2009-07-20 04:55:20 | Weblog
この週末の夜、近所の小学校の校庭で盆踊りが催された。東京では明治以降お盆は
新暦の7月に行われているが、年々"迎え盆””送り盆"といった行事はないがしろにさ
れ、盆踊りだけがトカゲのしっぽみたいに行事として残ってしまった。

盆踊りを共催する老人会の求めに応えて老妻も夕方、浴衣に着がえていそいそと参加
した。老妻の話では、お仲間の平均年齢は75歳以上、80代の方もいるとのこと。僕も
昨夕、会場をのぞいたが、踊る側ではなく、もっぱら見るアホウの側だ。

会場の人工芝の校庭の一角に太皷をたたく櫓が組まれ、提灯が張り巡らされて、その
灯りの下で老若男女が輪になっているが、おじいちゃんの姿はみえない。踊りは定番 
の「東京音頭」や「炭鉱節」、「北海盆唄」などに混じって「アンパンマン音頭」や「ドラエモ
ン音頭」も披露され 大勢の子供たちが輪になって踊る。踊りと踊りとの合間には子供た
ちのブラスバンドの演奏もあった。昔の盆踊りのイメージではない、地域社会の全員参
加型のお祭りである。

先日、厚労省がまとめた平成20年度の「簡易生命表」による日本人女性の平均年齢が86・
05歳、男性が79・29歳と発表になった。三年連続して過去最高とのこと。これからみれば
盆踊りのおばあちゃんの平均年齢75歳なんて驚くにはあたらない。踊りの輪におじいちゃ
んの姿がないのは、男女の平均年齢の差、8・76歳によるものかもしれない。
 





       バラ色で描くのが難しいインドネシア

2009-07-19 09:12:45 | Weblog
インドネシアのユドヨノ大統領の再選に関連して日本のある新聞が社説を掲げ「G20の
一員への期待」について書いていた。1960年代からのインドネシア・ウオッチャーの
僕はもとよりこれに反対ではなく、同じように期待している。が、この社説の現状分析
があまりにバラ色しすぎるのではないかと思った。

社説氏には不運しすぎた。僅か10日も経たないのに、首都ジャカルタで自爆テロ事件
が発生し、8人も犠牲になっている。インドネシアでは9・11同時多発テロ事件後イスラ
ム過激派によるテロが多発していたが、2005年10月のバリ島事件を最後に途絶えてい
た。これはユドヨノ大統領の強硬なテロ封じ込みの成果だといわれていたが、これをあざ
け笑うような今度の事件である。

1966年から67年にかけて僕は当時、スカルノ政権からスハルト政権への移行期のインド
ネシアを現地で取材したが、今考えると、期待をこめたこともあるが、あまりににもこの国
の将来をバラ色に描きすぎていた。

1997年のアジアを襲った金融危機の直前、当時のインドネシアの経済通といわれていた
人たちは、インドネシアが今にも経済大国へと離陸するというシナリオをバラ色で書いてい
た。

2億2千万人という人口を持つ大国である。それに広がりだけでいえば、ヨーロッパよりも
大きな国である。大きな種族だけでも数十あり、考え方も多様である。多様性の中の統一
が国の考え方である。この国の将来の予測は難しいし、バラ色で描くのはそれ以上に難
しい。

          親心の解らない田原総一朗氏

2009-07-18 05:11:06 | Weblog
北朝鮮による拉致被害者、有本恵子さんや横田めぐみさんが生きていないことは外務省
でも知っているーとジャナリストの田原総一朗氏がテレビ朝日の「朝まで生テレビ」(2009年
4月15日放送)で発言したそうである。どうしてこんな非人間的な無意味なことをいうのか
理解できない。田原氏は子供をもつ親心が解らないようだ。

田原氏はいちおう謝罪はしているが、有本恵子さんのご両親明弘さん(81)嘉代子さん(83)
が”精神的苦痛を受けた"として田原氏を告訴したことに対して"外務省の高官の取材に基
づくもので、そのテープを持っている”と法廷で争う構えをみせている。

僕ら夫婦は有本さんや横田さん夫妻とほぼ同世代で、同じように娘を持っている。ご夫妻の
気持ちは痛いほどわかる。数十年もの間、無事で帰国できる日を待っている。田原氏はこの
親の気持ちが解らない。外務省が正式に否定しているのに、自分の発言の正当性だけを主
張しているようにみえる。

田原氏の司会番組について「司会」ではなく「支配」番組だという批判があるそうだが、確かに
彼は自分のペースで番組を運ぶ術にはたけている。しかし、外務大臣も否定している不確か
な情報に基づき番組造りを支配されては、公的電波のハイジャックだ。監督官庁は彼の毒舌
に恐れをなしているのだろうかー。いずれにせよ、こんな無意味な発言をしたって拉致問題の
解決には何も役立たない。

             日射病と熱中症

2009-07-17 04:58:07 | Weblog
梅雨があけてこのところ東京は連日暑い日が続いている。昨日も最高気温が34・2℃
という熱帯日。環境省の熱中症予報情報によると、首都圏の"暑さ指数”は28-29。
熱中症の危険度を示すランクは「危険」で、上から2番目である。このランクの下では
”積極的に休憩を取り水分を補給して激しい運動は避けたほうがよい”とある。

熱中症とは最近よく聞く言葉だが、僕は日射病と同じだと思っていた。だがwikipedia
によると、熱中症には熱失神、熱疲労、熱痙攣、熱射病(日射病)と四つあるうちの一
つなのだ。戦前子供の頃、夏休みに帽子をかぶらず外へ行くと、日射病にかかると母
親に叱られたものだ。たまたま昭和16年の亡父の日記帳に毎日の気温が記されてい
た。この年は7月8日が梅雨明けで比較的暑い年だったが、気温が33℃を越えた日は
二日しかなかった。

戦前は冷房のある家など少なく、わが家では扇風機さえなかった。木造なので窓を開
ければ、風が通り結構涼しかった。それに気温もここ数年のような暑さではなかった。
今は冷房なしでは生活できない。住宅構造も変わってきた。熱中症といったような病気
もなかった。やはり地球温暖化がもたらす変化なのだろう。

熱中症にかかりやすい要因は、高齢者と肥満だという。高齢者は暑い炎天下を歩き回る
ことはないが、室内でも老人は若い人に比べて体内の水分が少なく体温の調節機能が
低下しているためかかりやすいのだそうだ。せいぜい水だけはとることにしよう。

        自民党の”敵前逃亡”"利敵謀議”

2009-07-16 05:27:42 | Weblog
自民党の古賀誠選挙対策委員長の突然の辞意表明に関連して朝日新聞が"タイタニック
から逃げた”という見出しをつけていた。自民党が沈没寸前のタイタニックであるかどうか
はしらないが、地方選の敗北の釈明を求めて両院総会開催の動きは、なにか沈没を予兆
するような気がしないでもない。

自民党の選対委員長という役は党の4役の一つではなかったのか。麻生総理は地方選の
敗北は国政とは無関係という立場を取っている、拡大解釈すれば敗北は選対委員長の責任
ではないわけだ。それなのに、さっさと荷物をまとめ選対委員長室から出て行ってしまった。
これでは、総選挙を前にしての"敵前逃亡”とみなされても仕方がない。

そんな中”麻生おろし”の急先鋒の中川秀直・元幹事長や加藤紘一,武部勤元両幹事長らの
お歴々が今週中に両院総会を求め"謀議”し、すでに開催に必要な三分の一以上の賛成を集
めた。この中には与謝野馨財務相や石破茂農水相も入っており、顔ぶれは"呉越同舟”、いっ
たい、どうなっているのか僕らには理解できない。

先日の産経新聞に自民党総務会で"麻生おろし”ののろしを上げる中川(秀)氏の顔をにらみつ
けるように見ている麻生総理の顔が載っていた。麻生総理の気持ちはよくわかるような気持ち
がする。僕には中川氏が何を主張しているのか解らない。加藤氏にいたっては、いつも反対の
ための反対のトラブルメーカーにみえ、悪いが負け犬の遠吠えである。国民無視の政治屋たち
の内輪もめに写る。自民党に必要なのは挙党一致体制だと思うのだが。

           都会で道を聞く難しさ

2009-07-15 05:36:39 | Weblog
都心のビル街で目的地を探すのは難しい。住所が判っていても、そこへたどり着く
のは大仕事だ。前もって電話で最寄の駅を聞いても、地下鉄の場合は出口の番号
を聞いておかないと大変だ。間違った出口から出ると、一駅ぐらい歩くのを覚悟しな
ければならない。ビルの名前が判っていても、ビルに名前の表示がないこともある。

最近の東京はビル街だけではない。知らない街で道を聞いても、なかなか判らない。
昔は職業柄他人に比べて道を聞くのが上手だった僕もこの頃はその自信を失いかけ
てきた。先日も隣町の「老人憩いの家」で会合があった。いつもは自転車で行くのだ
が、その日は私鉄を乗り継いで電車で行き、近くの駅から歩いて向かった。ところが
一本道を間違えて目的地へたどり着けない。

他人に道を聞くにはコツがある。誰彼問わず聞いても判らない。この時も「老人憩いの
家」なら老人に聞けば判るだろうと思って聞いたら知らない。赤い郵便局の車が止まっ
ていたから、郵便局員だと思ったら私服のアルバイト職員なのか判らないという返答。
小学校の”緑のおばさん”なら判ると思ったが知らない。幸い交番があったから尋ねる
と「老人憩いの家」といっても判らない。住所をいってやっと判った。

最近の都会では、あまり自分の関係のないことには無関心になってきた。それにしても
ポストのマークの赤い車に乗った人に尋ねても判らず、犯罪に関係がないといっても交
番のおまわりさんが「老人憩いの家」を知らないー。随分おかしな時代になってきたも
のだ。