安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ハービー・ハンコック HERBIE HANCOCK TRIO

2014-02-05 21:31:57 | ピアノ

飯田市立図書館から、小説家の石田衣良さんが書いた「I Love モーツァルト」(CD付き、幻冬舎刊)という本を借りてきました。立ち読みしたところ、「ぼくにとってモーツァルトの魅力は、何といっても快活で明快なテンポ感である。」という記述があって、それに共感したので、全部読みたくなったからです。モーツァルトへの想いや、曲目の紹介などが、平易に簡潔に書かれていました。「明快なテンポ感」から「疾走感」で想い出したのがこのトリオです。

HERBIE HANCOCK (ハービー・ハンコック)
HERBIE HANCOCK TRIO (CBS 1981年録音)

   Herbie_hancock_trio

ハービー・ハンコックのピアノ・トリオ編成のアルバムは少なく、思い浮かぶのは、1977年録音の「The Herbie Hancock Trio」(CBS)と、この81年録音の2作品だけです。彼の場合は、ブルーノート・レーベルの作品をはじめコンボで録音したものが多く、作編曲家、サウンドクリエーターというのが本来目指すところかもしれません。

メンバーは、マイルス・デイビス・バンドの1960年代のリズム・セクションで、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。「マイルス・イン・ベルリン」などで、すさまじいスピードの緊張感漂う、刺激的なバッキングをしていた3人ですが、このアルバムでは、ハンコックに焦点を当てたプレイになっています。

曲目は、ベニー・ゴルソン作「Stablemates」、ハンコック作「Dolphin Dance」、ロン・カーター作「A Slight Smile」、ハロルド・アーレン作のスタンダード「That Old Black Magic」、トニー・ウィリムス作「La Maison Goree」の全5曲。大好きな名曲「Stablemates」や「Maidon Voyage」(Blue Note)収録のハンコックの代表作の一つ 「Dolphin Dance」にことに興味が湧きます。

発売当時聴いたときには、それほどでもなかったのですが、改めて聴き返してみると素晴らしいアルバムです。ことに、「Stablemates」がよく、テーマ部のリズム(ルンバ)もかっこいいし、ハンコック(p)のソロは、アクセントをつけアグレッシブな一面もみせながら颯爽としています。「A Slight Smile」は、豊かな抒情性が感じられ、ハンコックのクリアーな音の積み重ねがきれい。「That Old Black Magic」における3人一体の疾走感やリズミックなピアノのアプローチも特筆ものです。

【石田衣良著「I LOVE モーツァルト」(幻冬舎)】

        Ishidairailovemozartbook

付属のCDには、石田衣良さんの選択で次の曲が収録されています。演奏はすべてナクソス・レーベルのものです。僕の好きな曲もいくつもあって、あちこち聴いてしまいました。

1、ピアノ協奏曲第20番第2楽章 2、ディベルティメント第1楽章 3、クラリネット協奏曲第3楽章 4、交響曲第40番第1楽章 5、交響曲第25番第1楽章 6、弦楽五重奏曲第3番第1楽章 7、ピアノソナタ第10番第1楽章 8、弦楽四重奏曲第18番「不協和音」第1楽章 9、ヴァイオリン・ソナタ第28番第1楽章 10、歌劇「魔笛」より “夜の女王のアリア”