理想国家日本の条件 さんより転載です。
幸福実現党
2022/12/03
「言論チャンネル」では、政治や経済、社会保障、国際関係などの時事問題の中から
気になるテーマを取り上げながら、本音の議論を進めます。 2022年12月2日収録
中国核弾頭1500発に!台湾有事で日本戦場化。核議論を急げ!(釈量子)【言論チャンネル】
◆2035年までに中国核弾頭1500発に増大
アメリカ国防総省は11月29日、中国の軍事・安全保障戦略に関する年次報告書を発表しました。
それによると、「中国は2035年までに現在の4倍にあたる約1500発の核弾頭を保有する可能性が高い」と結論付けています。
日本にとって恐ろしいのは、このまま中国が核弾頭を大幅に増やしていけば、「台湾有事でアメリカの介入を阻止することもあり得る」と分析していることです。
「ストックホルム研究所」によれば、2021年の中国の核保有数は、ロシア、アメリカに次ぐ3番目ですが、アメリカに並ぼうとしています。
11月4日のCNNの報道では、「アメリカ戦略軍」のリチャード司令官が、アメリカの中国の核に対する抑止力について、「船はゆっくりと沈んでいる」と表現しています。
「アメリカ戦略軍」は、アメリカの核戦略を統括する、いわば元締めのようなところで、その組織トップが、東アジアにおける米軍の存在感が低くなっていることに危機感を抱いているわけです。
昨年7月に、「中国は、日本が台湾有事に一兵卒でも、一軍用機でも送って参戦した場合、ただちに日本に核攻撃を行う」という民間の「軍事評論集団」の動画が注目されました。
中国は、朝鮮戦争の時に、アメリカ政府から核の脅しを何度も受け、毛沢東は「二度と侮られない国になる」という執念で、アメリカに届く核を開発してきた経緯があります。
中国は、アメリカとの全面対決を避けて、直接介入をさせないために、アメリカを抑止できるだけの核弾頭を急いで増やしているわけです。
こういう状況の中、中国が台湾に侵攻する時に「日本が台湾支援に回ったら、東京に核を落とす」と恫喝したら、日本はどうするのか。米軍はしっかり守ってくれるのか。
これこそが日本にとって最大の政治的課題なのではないのでしょうか。
◆北朝鮮のミサイル連射と核実験
さらに、中国に加えて北朝鮮の脅威も増しています。
ロシアのウクライナ侵攻後、韓国では自前の核開発を求める声が強くなっています。
今年3月に行われた「韓国の核開発に関する世論調査」では、「独自の核開発をすべきだ」という声が67%、「必要なし」の24%をはるかに上回っています。
すでに、ミサイルはアメリカ本土に届くミサイルを開発しており、韓国世論は、「北朝鮮に核保有を断念させるために取り組んできました。
しかし、その見込みはもうないという現実をみて「韓国を守るために自前の核が必要」と考える人が増えています。
さらに、「どの国が韓国にとって最大の脅威か」という世論調査では、現時点では北朝鮮が最多の46%ですが、今から10年後の最大の脅威は中国という結果になっています。
◆アメリカが代理戦争を行い、日本が戦場になる?
では日本はどうすべきでしょうか。
11月18日には北朝鮮の大陸間弾道ミサイルICBMが北海道の渡島大島(おしまおおしま)の近くに落下しました。
岸田首相は「最も強い言葉で非難」しましたが、「遺憾砲」を発し続けても根本的な解決にはなりません。
ウクライナ戦争の教訓として、アメリカは核攻撃を行う覚悟がある国に対しては直接対決を避け、資金と兵器を供給して、「代理戦争」を行うということです。
実際、ウクライナは、開戦当初からアメリカ・NATOに対してロシアの攻撃からウクライナを守るために「飛行禁止区域」を設けてほしいと要望していました。
しかし、NATOとロシアの戦闘機と撃ち合いになれば、米露の全面戦争に発展する可能性があるので即座に拒否しました。
ウクライナと同じように、中国が台湾に侵攻した場合、アメリカは台湾や日本に武器を供給するが、米軍の関与は最小限に抑える可能性が濃厚です。
つまり「日本が戦場になる可能性が高い」ということです。韓国も同じような不安を抱く人が増えて、核保有の世論が高まっているわけです。
こういうと、「日本は日米同盟があるからウクライナと違う。アメリカの核の傘が日本を守ってくれる」と主張する人もいるのですが、「アメリカの核の傘が本当に機能するのかどうか」は定かではありません。
日米安全保障条約の第5条には「アメリカが日本を守る義務」を明記していますが、どういう事態が起きたら守るのか、どの程度リスクを冒して守るのかまでは明記されていません。
◆核保有国の判断
フランスは、シャルル・ドゴールが大統領の時、1960年に核を持ちました。
当時は米ソ冷戦真っただ中で、隣国のドイツで東西が衝突し、核戦争の可能性が高まっている時期でした。
ドゴールは、NATOの司令官やアメリカのケネディ大統領と話をした結果、「ヨーロッパの同盟国を守るために、アメリカが核兵器を使用する保証など何処にもない」と判断し、アメリカの反対を押し切って、核装備を進めました。
その後、国連で「核拡散防止条約」ができ、アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国の5ヵ国が核保有国とり、その他の国の核保有を禁止しました。
しかし、インド、パキスタン、北朝鮮、そして核保有を否定も肯定もしていないあいまいなイスラエルの9か国が核を保有しています。そして、そうした国と核をレンタルするなどの方法を取っている場合もます。
いずれにしても、核戦略は、核を落とすような敵国が現れた時、国内世論はもちろん、アメリカなど大国と渡り合い、断固、国を護るという政治家の肚がいります。
◆日本は正当防衛の範囲内で核装備を
日本における「核装備の議論は、1957年の国会答弁で岸信介首相が「自衛の範囲内を超えない限り、核を保有しても違憲ではない」と答えています。
岸信介首相は「防衛上、核武装の必要に迫られれば日本は核武装をする」とアメリカに非公式に伝達し、これに驚いたアメリカは「核の傘」を検討し始めたと言われています。
その後、1965年には佐藤栄作首相も、前年に核実験を成功させた「中国が核兵器を持つなら日本も持つべきだ」と言っています。
それに対して、アメリカは日本の軍事的自立を阻止したかったので、「核の傘で中国の核の脅威からしっかり守る」という「核の傘」を用意しました。
こうした背景もあって、1967年12月の衆院予算委員会で佐藤栄作首相は「核は保有しない。製造もしない。持ち込まない」という「非核三原則」を打ち出しました。
その功績で1974年にノーベル平和賞を受賞しましたはが、まるで用意されたかのような受章ではあります。
北朝鮮が核実験した2006年には自民党の政調会長をしていた中川昭一氏が日本の核装備に言及すると、マスコミや野党から袋たたきにあいました。
さらにアメリカのライス国務長官が日本にすぐにやって来て核装備の動きを牽制しました。
そして現在の政府は、「憲法9条のもとでも核装備は合憲である」というのが、内閣法制局の公式見解です。
2016年、安倍首相の時に内閣法制局長官が「憲法上、核兵器使用が禁止されているとは考えていない」と国会でハッキリ答弁しています。
憲法9条や非核三原則は戦後日本の平和主義を象徴するものですが、中国や北朝鮮の脅威が迫り、いまだかつてないほど、核戦争の危機が迫っています。
すでに中国の核の照準は日本の各都市に向けられています。核兵器の最大の効能は、「他の核兵器保有国に核兵器を使わせない」ということです。
先日も、フジテレビの朝の番組で、フランスのエマニュエル・トッド氏が出演し、「日本の唯一の安全保障は核を持つことだ。核を持てば安全で、中立的な立場をとることができる」と発言しました。
「核なんて落とすわけがない」というのは日本人の感覚であって、世界はそれぞれの国が自国の「正義」の名のもとで、核を使う可能性が未だかつてないほど高まってきています。
幸福実現党は日米同盟を基軸としつつも、憲法9条改正と正当防衛の範囲内での核装備を一貫して訴えてきました。
アメリカ一国で世界を守ることが難しくなった今、東アジアの正義と平和のために、日本が核抑止力を持つことを考えるべきです。
防衛費をGDPの2%に引き上げることも大事なことですが、どうすれば国民を護れるのかという本質を突き詰めていくと、日本が中国や北朝鮮の核の恫喝に屈せずに、独立を守り抜くことを考えないといけません。
今こそ、本気で国防強化を行うときではないでしょうか。
執筆者:釈 量子
幸福実現党党首
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