「心が寒いからさ」
走行中、誰にも聞かれることがない独り言を鼻で笑った。
今日ばかりは工事現場の赤く点滅するケーブルもクリスマスの演出に思えて仕方がなかった。
信号が青に変わり、手袋を二重に防寒した右手でスロットルを奥へ回した。
10分ほど走り、途中コンビニに寄った。
防寒着をめんどくさそうに脱ぎ、ヘルメットでつぶれてしまった髪形を一応整え、コンビニの中に入った。
中に入ると、クリスマスソングが流れ、時間も時間だけに人はまばらであった。 ケーキなどに目も呉れずビールとつまみを買った。
僕は色々なわけがあって肉を食べない。
食べられない体質でもなければ、宗教とかの意味合いもない。ただ肉を食べる必要がないと感じ、大学に入ってからは自ら買っては食べていない。
ついていけないと女性にいわれたこともあったが、変えるつもりはない。
あとスナック菓子もあまり好きじゃない。チーズもピザの一部としては食べられるが単体で出されると食べられない。
そうなると、つまみはきまって魚系になる。
かごをレジの前に持っていくと、コンビニの店員がトナカイの帽子を被っていた。
独りで過ごすのかと店員に思われたかもしれないが、そこまで気にすることでもない。
ただし早く過ぎ去れ、頭の中ではそう叫んでいた。
ようやくアパートに着き、肩に積もった雪を払いのけ、足元を確認しながら階段を昇った。
雪は積もる雪ではなく、地面はただ濡れているだけだった。
誰もいない部屋の中は冷えきっており、吐く息が白かった。ポケットの中からライターを取り出す。
「カチッ」
部屋に一つのゆらゆらと揺れる炎が灯し、斜めにタバコを銜え、炎に近づけ息を吸いこんだ。
レコードのスイッチを入れ、窓を開けた。外はしんしんと粉雪が舞っていた。

走行中、誰にも聞かれることがない独り言を鼻で笑った。
今日ばかりは工事現場の赤く点滅するケーブルもクリスマスの演出に思えて仕方がなかった。
信号が青に変わり、手袋を二重に防寒した右手でスロットルを奥へ回した。
10分ほど走り、途中コンビニに寄った。
防寒着をめんどくさそうに脱ぎ、ヘルメットでつぶれてしまった髪形を一応整え、コンビニの中に入った。
中に入ると、クリスマスソングが流れ、時間も時間だけに人はまばらであった。 ケーキなどに目も呉れずビールとつまみを買った。
僕は色々なわけがあって肉を食べない。
食べられない体質でもなければ、宗教とかの意味合いもない。ただ肉を食べる必要がないと感じ、大学に入ってからは自ら買っては食べていない。
ついていけないと女性にいわれたこともあったが、変えるつもりはない。
あとスナック菓子もあまり好きじゃない。チーズもピザの一部としては食べられるが単体で出されると食べられない。
そうなると、つまみはきまって魚系になる。
かごをレジの前に持っていくと、コンビニの店員がトナカイの帽子を被っていた。
独りで過ごすのかと店員に思われたかもしれないが、そこまで気にすることでもない。
ただし早く過ぎ去れ、頭の中ではそう叫んでいた。
ようやくアパートに着き、肩に積もった雪を払いのけ、足元を確認しながら階段を昇った。
雪は積もる雪ではなく、地面はただ濡れているだけだった。
誰もいない部屋の中は冷えきっており、吐く息が白かった。ポケットの中からライターを取り出す。
「カチッ」
部屋に一つのゆらゆらと揺れる炎が灯し、斜めにタバコを銜え、炎に近づけ息を吸いこんだ。
レコードのスイッチを入れ、窓を開けた。外はしんしんと粉雪が舞っていた。
