またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

BUTTERFLY-4

2009-02-19 08:04:49 | またたび
 白い息とタバコの煙を交互にゆっくりと吐き出す。
 外に手を差し伸べると、雪が掌に落ち、音もなく静かに溶けていった。
 雲の隙間から、北極星がゆれて光り輝いていた
 しかし、そんな叙情的な間に浸ることなく、隣の学生アパートから賑やかな笑い声が聞こえ、現実に戻され、窓を閉めた。
 暖房をつけ、コンビニの袋から缶ビールを取り出し、テレビのクリスマスの特番を見た。
 見るというよりも眺めているという表現がふさわしかった。
 時間は十二時を過ぎていた。気づけば床に転がる空き缶と吸殻の山があった。明日でいいや、片づけを途中で諦め、シャワーも浴びずベッドに横になった。
 僕はそんなに酒は強くない。
 酒が入ると、誰かに電話したくなる衝動と、散文的な詩が思い浮かび、そのうち今の状況に対しての焦りが表れてくる。
 頭のなかで巡り続ける問いに答えは出せないまま、いつの間にか眠ってしまう。いつも酒を飲むとこうなる。
 しかし、覚えていることが来年こそは…ということだけ。
 こうして十二月二十四日は過ぎていった。

             2
 年が明け、正月になってもいつもと変わらず毎日が何事もなく、平凡に過ぎていった。
 そんなある日に見知らぬメールが届いた。
 それは以前にバイト仲間が妹を紹介する?と聞かれたことが始まりだった。
 当たり前のようにすぐに返信メールをした。当たり障りのないごくごく自然な自己紹介メール。
 自分の中でこれがラストチャンスにしたかった。
 彼女の名前はとも子。高校を出て、すぐにフリーターとなった。
 やりたいことが見つけるためとよくあるパターン。
 はっきり言って、僕にはフリーターになる理由が未だに理解できない。
 十年後のことを考えてみると、到底僕には出来ない道である。
 とも子はいままでバイトを転々とし、いまは正社員として、女性専用のエステで働いている。
 僕に比べて、恋愛豊富で徐々に明らかになることだが、結婚前提まで付き合っていた過去があり、姑問題で二人の仲が裂けられたこともあったらしい。
 だから、学生のような恋愛は出来ないように感じた。
 知られざる過去に圧倒されることもしばしばあった。
 日を追うことにメールの回数が増えたが、とも子から送られてくるのではなく、いつも僕からだった。