人間は、ものごとを合理的に考えられる生物です。
合理的な考えは、ムダとハズレをどんどんなくしていきます。
ところが、ギリギリまでそれを突き詰めていくと、身動きが取れなくなります。
頭の働きも、こころのもちかたも、動きがとれなくなったとき、そこでかたまってしまえば、エネルギーが行き場を失いますから、あとは破れかぶれしかなくなります。
あまりに合理的で、あまりにお行儀よく、どこにもだれにも隙を見せない生活を続けていると、たった独りになったあるとき、とんでもないことをしでかします。
好い具合にいい加減、そんなところがない人は、独りにすると危険です。
危険な状態になったとき、何百人何千人何万人という、命を預けていることを忘れた人たちがいた場合、不運というだけではすまされません。
ある危険への合理的対策を突き詰めれば、ほかのある危険には、まったく不合理な状態になることもあります。
こういう状態は、合理性に徹した結果と言えるのか、あるいは中途半端だったのか、さて、どちらなのでしょう。