・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

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「品」という名の亡霊

2015年03月15日 | つぶやきの壺焼

「品」という言葉は、さまざまな意味に使われます。
1.一品、二品と数えること
2.品目、品評、新品、中古品、珍品、絶品のように区別すること
3.品格、品性、品行、品位、気品、上品、下品といって格をあらわすこと

三つめの「格」をあらわすことには、「品」という文字のが暗示しているような内包的性格のようなところがあって、面白い気がします。
「品」という文字がつくと、形あるものの意味、つまりそれがある元もとの意味が変わってしまいます。
信仰の対象である仏の姿を表現した仏像が、鑑賞の対象である美術品になってしまっています。
人のこころの表現様式であった絵画は、鑑賞の対象から集客用品になってしまっています。
品というモノになった行きつく先は、売買される「商品」、またその先は「投機」の対象です。

もともと形のあるものは、品という字がついても、まあそんなものかとしておけばよさそうにも思えるのですが、形のないことが「商品」と呼ばれると、背中のどこかがムズムズする嫌な気分になってきます。
「保険」という制度を「商品」と呼んではばからない、元来は社内用語で、顧客には聞かせないはずであったその呼び名を、TVのCMにまで引っ張り出して見せたり聞かせたりするに至っては、おそれいりましたというほかはありません。

こういうCMを平然と作り、これはよいぞと高価な宣伝料を支払う人たちは、カネの亡者という言葉の意味さえ、かみ砕いて説明しなければわからないでしょう。

「品」という字は、モノにもコトにもつきまとって性格を変える亡霊のような、また、それにかかわる人を亡者にしてしまうような、偉大な力と奇妙な性格とを併せ持っているようです。

品川近辺に縁のある方には不快かもしれません。ごめんなさい。

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