財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 最終章−4 ドルガの告白(再編集版)

2021-06-25 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「お主たちの言葉で言えば、そうなるのかもしれぬ。当時は、9つの魂のことは知らなかったから・・・・・・我ら一族から見れば、死こそ究極の安楽であり憩いの場なのだ。真意がわからなかった父は襲われた時、本気でやり返してきた。最初の死を迎えた我は、悪魔姫ドルガとして生まれ変わった。それからのことは、お主の方がくわしいであろう」
「なるほど。死の神トッド様が、お主のことを黙して語らぬわけだ」
「同情など犬も食わぬぞ。最後の闘いを始めようではないか」
 般若の形相になったドルガが、スッと飛び立った。暴風雨をもろともしないどころか、暴風雨が友人であるかのようなすずしい顔である。
 ダニエルも、セラフィムが持つ6枚の羽を広げてスッと飛び上がる。ただし羽は金色ではなく暗黒色。こちらも暴風雨を苦にしていない。
 二人の回りの暴風雨が、一気に激しくなった。まるで二人が、激しい風雨をすいよせるかのように。
「感じるぞ。墮天使ダニエル、お前の精神力が強まって行くのが。だが、天使と墮天使とヴァンパイアという三つの力が一つの身体で勢力争いをするのに、もう耐えられないのではないか?」
「大きなお世話だ。俺の命は、お前を倒すまで持てばそれでいい」
「まずは小手調べと行こう」
 言うが早いか、ドルガの鋭い爪がダニエルに襲いかかる。
 だがダニエルが、ドルガの手首をつかむ方が先だった。ヴァンパイアの鋭い爪がドルガの肌に食い込んで行く。
「ほう、金色の鷲と呼ばれたペルセリアスの業は衰えてはいないか」
「そんな名は忘れた。俺は、今では墮天使ダニエルだ!」
「たしかに、もう金色ではなくなったな」
「時間がない。いろいろな意味で。勝負を急がせてもらうぞ。地獄で後悔しろ! ミックスト・ブレッシング!」
 ダニエルの右眼から白い熱線が、左目から黒い熱戦が発せられた。
 黒い熱戦が黒色火薬のようにドルガを幾重にも包むと、一瞬後に白い熱戦が時限爆弾のように発火した。煙と暴風雨のせいで、立会人たちにはまだはっきりと見えないが、ダニエルの必殺技が炸裂したことだけはわかった。
 煙が消え去ると、羽がすすけただけのドルガが中に浮いていた。無敵の悪魔姫には、やはりかなわないのかと皆が思った瞬間、ダニエルをみて絶句した。ダニエルの右半身が金色の鷲ペルセリアスに戻り、左半身が暗黒の墮天使ダニエルになっていた。
 心眼で右半身と左半身が分離したダニエルを感じて、マクミラは気が気でなかった。おかしい!? アポロノミカンの予言が外れるのか?


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