Chef's Note

『シェフの落書きノート』

寒鮃(かんびらめ)

2011-02-17 | 美味しいお話
平目(ひらめ)は、寒い季節の冬が旬のお魚です。
形の似ている魚の鰈(カレイ)は、春から夏が旬です。

養殖の平目も多く出回っているので、昔ほど高級感はなくなった気もしますが…。
天然の平目は、やはり相場も高めですね。

養殖の平目は、表側の皮が黒っぽく
天然の平目は、写真のような色をしています。

身は繊細で味も良く、ヒレの付け根についている身を縁側と呼びます。

身は、表側の厚い身の方が美味しく
縁側は、裏側の白い皮のほうの縁側が特に美味しいとされています。

なぜ、縁側は裏側の方が美味しいのかというと…
砂地に生息していて、砂地にヒレをたたいて泳ぎはじめるために良く動かす頻度が高いからです。

アウラでは大抵の場合、薄造りにするカルパッチョが人気です。
魚のお好きな方は、この美味しさはたまらないようで、ご常連からは、お替りの追加注文があるくらいですから…(^^)v

もちろん、火を入れるお料理も大変美味しいです。
イタリア料理やフランス料理でもよく使われます。

写真を見てお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが…。

やはり、天然の平目は、ちょっとふてぶてしいような顔をしているでしょ?
歯が鋭く、わりと獰猛な魚です。
養殖の平目は、ポケ~っとした表情をしています(笑)

頭のところに血がついているのは、活け〆をした痕です。
豊後水道で漁師さんが生かして獲った後、活きいる平目を魚屋さんが買って、〆て神経を抜いてアウラにダイレクトに送ってくれています。

今、アウラで使っている魚の90%以上がそうです。
完全に死後硬直した魚の鮮度は、この方法が一番保たれます。

活きている平目を活かしたまま送ってもらうよりも〆て送ってもらった方が断然に鮮度の良さがキープされます。

生きている魚を水槽で泳がせて、その場で〆て料理にしている活魚店なども多くあります。
商売として、とても良いアイデアだと思いますが…。

本当に美味しいものを食べたいと思っている本物グルメは、たぶん活魚店には、あまり行かないのではないでしょうか?

それは、なぜか?

生きている = 新鮮 + 美味しい
一般的に思い込まれいることが、迷信だと知っているからだと思います。

人間に獲られた状態ですでに魚など海産物には、ストレスがかかります。
ストレスがかかると味が落ちてしまうのは仕方ありません。

車海老などもそうです。

獲られて、船の水槽に入れられて、今度は市場の水槽に入れられ、運搬車の水槽に入れられ、魚屋さんの水槽に移されます。

注文が来るとまた活魚専門の運搬車にまた移されて、今度はお店の水槽に移されます。

自分が住んでいた海から、市場→運搬車→鮮魚店→運搬車→お店

移されるたびに水が違うわけですから、その都度ストレスがかかるのです。

魚にストレスがかかる度に味は落ちます。

京都の一流料亭などでは、活きた鯛などを仕入れると静かな庭に置いてある水槽にそっと入れて…
黒い布をかぶせその上から濡れた毛布などで覆って、音も入らないように静かに…
そして暗くして、3日間置いた後に初めてまな板にのせて調理するそうです。

何故、そこまでするかと言うと…
魚にかかっていたストレスを十分に取り除いて、落ち着かせた後でないとその魚の持っている本来の旨味がでてこないからです。

最高に美味しい素材のその味を損なうことなく伝えるということは、実は大変なことなのです。

美味しいものをいかに美味しく食べるか…
美味しいものを食べると元気や活力が沸いてきますよね。

もうすぐ、冬も終わります。
一年のうちで旬の食材が一番沢山ある冬という季節を満喫してくださいね(^^)v






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1 コメント

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Unknown (ryuji_s1)
2011-02-19 11:50:58
寒鮃(かんびらめ)
立派なお魚ですね
これでカルパッチョ 最高ですね
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