東京都、特に新宿区や豊島区で新型コロナ感染者数が増加しています。
6月中旬から下旬にかけて、新規感染者数は50人/日くらいで推移していましたが、7月2日からは3日連続で100人を越えています。
連日100人を超える感染者が報告されており「第1波のときみたいに医療機関が大変なことになっているのでは?」とご心配くださっている方もいらっしゃるかもしれませんので、現在の都内の医療機関の状況についてご紹介致します。
現在の都内の新規感染者数は4月上旬に匹敵
1日の感染者数だけで言うと、数値的には4月上旬に匹敵します。
4月4日には118人が報告されています。
4月4日と言えば緊急事態宣言が出される直前の状況で、筆者も「都内の新型コロナ診療医療機関の現状」という記事の中で「もうむりぽ・・・」「ぴえん超えてぱおん」と悲鳴を上げています。
3月下旬から4月上旬は、新型コロナ患者はほぼ全員感染症指定医療機関に入院することになっており、感染症指定医療機関にはかなりの負荷がかかっていました。
また、新型コロナを診ない医療機関では「発熱、咳」の症状のある患者の救急車を断り、また感染症指定医療機関もベッド満床が続くため受け入れができず、受け入れを断られ続ける事例が頻発しました。
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この頃、よく「医療崩壊か!?」というニュースが流れていました。
筆者もこの頃はまぶたの痙攣が止まらず、思い出したくないくらい辛い日々でした・・・。
現在の都内の医療機関の状況は?
さて、都内の新型コロナ診療医療機関の今の状況はどうかと言いますと概ね「多少忙しくなって来たが、第1波と比べるとまだまだ余裕がある」という状況かと思います。
筆者は歌舞伎町を擁する新宿区の感染症指定医療機関で勤務していますが、新型コロナの新規患者が連日入院しているものの、病床が足りなくなるほどの状況ではなく、休日のオンコール当番の日であっても午前中からこのような記事を書くことができるほどです。
都内の医療機関で働く複数の医師にも状況を聞いてみましたがまだ余裕がありそうな感じです。
東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトを見てみますと、都内の入院患者数は現在346人、重症患者数は9人となっており、これは第1波のピーク時と比べるとずっと少ない数です。
これだけ患者数が増え続けているのに、入院患者数や重症患者数があまり増えていないのはなぜでしょうか?
これにはいくつか理由がありますが、主なものを挙げますと、
1. 若い世代の感染者が多いため軽症者が多く、ホテルなどで経過観察されている
2. 新型コロナ患者を診療する医療機関が増えている
3. 「発症から10日」で退院できるようになったため、入院患者の退院までの期間が短くなっている
などが挙げられます。
東京都の発表にありますように、現時点での感染者の中心は若い世代であり、軽症者が多いので新型コロナと診断されても入院とはならずホテル療養となっている方が多いようです。
また、入院が必要な患者も、多くの医療機関にそれぞれ割り当てられており、特定の医療機関だけに集中するということがなくなってきています。
さらには「最短で発症から10日」で退院できるようになったことも大きく、多くの確定患者はすでに発症してから5日以上経っていることも多く、入院しても軽症であれば数日で退院となり、病床を圧迫することが少なくなりました。
このように、第1波に比べて現在は医療機関に負荷がかかりにくいような仕組みができており、今のところは逼迫していないという状況です。
この状況が続けば都内で医療崩壊は起こりうる
ただし、今は大丈夫であっても、このまま感染者数増加が続けばすぐに第1波のときと同じ状況に至るものと推測されます。
確かに東京都は無症状者でも濃厚接触歴などがあれば積極的にPCR検査を行っていることから、第1波のときよりは捕捉率は高い、つまり第一波のときは氷山の一角しか見えていなかった全体の患者数が、今はもう少し把握できていると考えられ、小池都知事が述べられているように状況は第1波とは異なると言えるでしょう。
しかし、患者数が増えていることは間違いなく、実際に現在は夜の街クラスターだけでなく徐々に周辺の人にも伝播してきています。
新宿区のPCR検査スポットでは、陽性率が20%を超えており、市中感染が広がってきていることが強く疑われます。
特に新宿区内の若い世代では蔓延と言っても良いくらい広がっており、例えば腹痛とか泥酔とか、新型コロナとは全く別の理由で病院を受診した人が新型コロナの検査をしてみると陽性だった、という事例が増えてきています。
また、すでに夜の繁華街とは全く関連のない事例も複数出ています。
これはかなり危険な兆候であり、夜の繁華街への外出は避けることはもちろんのこと、東京都内では再び不要不急の外出を控えるべき段階に来ていると考えます。
このまま東京都内で市中感染が広がり、高齢者や基礎疾患のある方の感染者が増えると入院患者や重症者も増加し、医療機関は徐々に逼迫してくるでしょう。
若い方が感染者の中心である、という現在の状況は「無症状~軽症の方が多い」という意味では良いことですが、「無症状~軽症だからこそ活動性が高く、感染を広げやすい」とも言えます。
感染症は自分だけの病気ではなく、周囲にも広げてしまうことが特徴です。
自分を守るためだけでなく、ご自身の家族や同僚、周囲の人を守るためにも、一人ひとりが今一度「手洗い」「咳エチケット」「屋内でのマスク着用」「3密を避ける」といった感染対策を徹底しましょう。