浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

腕立て伏せ

2005-01-21 01:10:09 | Weblog
「98回まで出来るようになりました」
 私の最年少の弟子である加藤慧がそう報告しながら腕をまくった。
 慧は今高校3年生。大学受験真っ只中の18歳である。彼と私との出会いは、彼がまだ母親の腹の中にいた頃だから約18年前のことだ。小さい頃から私のところで英会話の勉強も始め、10代になるといつの間にか「ジャーナリストになる」と言い出した。
 中学2年までは「小学生?」と言われるほどの小柄で可愛い坊やであった。しかし、師匠の「君は中2になったら背丈が急に伸びる。俺を信じろ」と口から出まかせに発せられた言葉を信じた彼は、本当に14歳から急に背が伸びだし、今では180センチ近くの長身になった。それを見て私は、「これが信じれば通じるということだ」等と訳の分からないことを言っている。最初は私の“予言”を信じたかに見えた彼だが、それでも最近は大分おつむの方も成長してきて、私が「最近は君に見下ろされているな」と言うと、「見下ろしても見下してはいませんから」と口答えが出来るようになってきた。
 しかし、急に背丈が伸びたせいか、鉛筆のようにひょろ長いだけで力強さがない。当然のことながらただでさえ腕っ節の強い師匠には到底かなわない。そこで私は、「昔話をして自慢をするとは俺も焼が回ったかな」と思いつつも自分の中学生の頃の話をした。身体を鍛えようと、腕立て伏せを毎日欠かさずして、それも一回ずつ増やしていき、100回までできるようにした経験を話した。
 その後、母親から「なんか毎日腕立てをやっているようですよ」との話は聞いていたが、どこまで続くかなと半分は懐疑的に、しかし続いたら嬉しいな、頑張れよと思う気持ちが半分と複雑な気持ちで見ていた。
 まくって見せてくれた二の腕はまだまだ師匠のものには遠く及ばぬが、明らかに力強さを感じさせる青年の腕になっていた。若者の成長を見る楽しさを味わわせてもらう我が人生に乾杯! 

最新の画像もっと見る