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相談されるということ

2006-04-27 09:47:31 | Weblog
 「親父が27日に退院します!」
 
 10日前、大量吐血して緊急入院した友人Aの長男Bが弾んだ声で電話をかけてきた。

 安堵した。本当に嬉しかった。彼が倒れたとJR南浦和駅前で聞いた時、恥ずかしい話だが、あまりのショックに言葉を失った。その直後、電車を待つ間、そして電車に乗ってからも涙が止まらなくなった。

 「鬼の目に涙か」
 
 私を外見だけで判断している人は、その時の私を見たらおそらくそう思ってしまっただろう。実は、普段強がりばかり言っているが、これで結構涙もろいのだ。

 Aからは様々な相談をされていた。私と同じように肩で風を切って昔気質の「男の美学」を貫くAにとっては、私は相談しやすいのだろう。その彼に対して、私はひと月ほど前、檄を飛ばした。彼の仕事に対する見栄や消極性を手厳しく叱ったのだ。

 それからというもの、彼は一変、家族が目を見張るほどの頑張りを見せた。一時はそれが成果を生み、家族の中にも余裕の表情や笑いが見られるようになった。

 しかし10日前、それが一転、私は深い悩みに陥った。胃潰瘍で大量吐血して病院に運び込まれたのだ。それも、深夜2時だからかもしれぬが、30分以上も救急車に乗せられたまま病院に受け入れをことごとく拒否され、ようやく7軒目に受け入れられたという。その時の家族の心痛はいかばかりかと想像するだにつらかった。

 Aの悩みの深さを思い知らされた。胃に穴が開く寸前までギリギリのところで踏ん張っていた彼のつらさを思いやることなく、檄を飛ばした自分の浅はかさを悔いた。恥じた。私は相談を受けることが非常に多いが、これまでこうして相談者を傷つけてきたこともあったに違いない。

 だからといって、相談を一切受け付けませんというわけにはいかないだろう。Aの家族を含めて、今現在、頼りにしていただいている方たちは少なくないからだ。また、人伝に私に相談を持ちかけてくる方たちも後を絶たない。ただ、自分がやることで知らず知らず相手を傷つけてしまう可能性が常にあることを肝に銘じていかねばならない。相談されると言うことの難しさを教えてくれたAの入院であった。

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