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日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

ミャンマーからの現地報告

2008-05-14 00:15:10 | Weblog
 ミャンマーを襲ったサイクロンは、発災から10日経ったが、現地からの情報では、深い傷跡を残したまま、救援の手も届かずに多くの被災者が苦しんでいるという。

 私の元に、昨日まで被災地に入っていた人から連絡が入ったのでご紹介する。

 以下、現地報告。

 今も現地は連日雨が降りますが、6月には雨期に入ります。デング熱、コレラ、マラリアなど感染症の流行とともに、本来なら治るはずの下痢や呼吸器系の病気で弱り、死んでいく子供やお年寄りも、きっとこれから増えます。軍政は「集会」を禁じ、嫌いますから、寺院や学校などに避難してもいわゆる「避難所」にはそう簡単になりません。すぐに追い出されます。だから支援物資の配布も時間がかかります。救援センターなるものがある、と聞いていますが、どの程度の人たちを収容しているのか分かりません。少なくとも、私が見た人たちは壁のない家や、道ばたで暮らしていました。中国の援助で仮設住宅が送られましたが、そこにすむのはごく一部です。

 軍政が、救援物資を中間搾取しているという話も聞きました。政府というか、各地方の軍幹部たちなのでしょうが、援助物資を自分たちのところに集めて搾取して残りを配る、と。だから国際機関の中にはミャンマー政府に援助することに躊躇する団体もでているとか。これははっきりと確認できたわけではありませんが、現地のNGOから聞いた話です。

 また、ミャンマーはそもそも、貧困や格差が見えにくい国です。ジャーナリストを国に入れず、国内ではそういう社会問題の報道はいっさいない。となれば、実際には貧困層がいるのに、見えない。障害者もそうです。そういう見えない存在への援助は、当然後回し・・・というか、支援されません。また、国際社会の目が、南西部のイラワジ・デルタ地帯に集まっていることから、軍政はそこでの援助に集中するでしょう。確かに未曾有の被害ですが、被災者はヤンゴン近郊の工場地帯にもたくさんいます。地方から日雇いの職を求めてきて、掘っ立て小屋のような家で暮らす人たちがたくさんいるからです。

 軍政がなぜ外国人に被災地を見せないのか。一番大きいのは「メンツ」です。外国人に、自分の国の「失態」(それが自然災害であっても、軍政は被害妄想ですから自分たちのせいでこうなっていると言われたくない)をさらすことで、批判されるのはもうこりごりだから、です。民主化問題で、さんざんやられているから。東南アジアの人たちは、交渉や会議や外交など、とにかく「相手の顔をつぶさない」ことをすべてに優先させます。でも、外国人(特に欧米人)は、相手が権力者であれば平気でそれをやります。軍政は、顔をつぶされたくない。自分たちで何とか対応できると言いたい。。。でも、そんなくだらないメンツのために、多くの人が命を落とすのです。この点に私は最も怒りを感じます。そして、そんなくだらないメンツに遠慮して何もできない日本政府にも。

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