何もない幸せ

　今日は体調を崩して横になる直子の看病にかこつけて一日中ごろごろしていた。

　実は、ここ数年、年齢的なものと思われるが、慢性睡眠不足。午前2時過ぎに就寝して6時、6時半に目覚めることが多い。今日も午前5時に目覚めてしまい、それから寝付かれずに起きてしまった。

　若い頃には、場所や時などお構いなしに横になった途端に寝息を立てていたのだが、これが「老い」というものだろう。寝付きはそんなに悪くないのだが、すぐに目覚めてしまう。

　実は、今日、プロ野球を観に行こうと思っていた。パリーグの覇者を決めるプレイオフが面白そうだったからだ。だが、調べてみると、切符の入手が難しそうであったし、直子の体調のこともあり断念した。

　そこで競馬新聞を買ってきて競馬予想に興じた。馬券を買うわけでもなく、何が面白いのと直子に思われたかもしれないが、これはこれで結構楽しめる。「これだ！」と目を付けた馬がゴールを先頭で切ると、嬉しいものなのだ。まあ、400円で「勝ったの負けたの」と騒げるのだから安い遊びだ。

　その前に、日本時間で午前5時から始まった大リーグの野球中継をTV観戦していた。松井秀喜選手の所属するニューヨーク・ヤンキーズがプレイオフで戦っていたのだ。しかし、松井選手の打撃フォームをひと目見て「これは打てないな」と、外国ニュース専門TV局にチャンネルを回してしまった。

　競馬中継を見ながら看病していたが、いつの間にかうとうととしてしまった。ただ、午睡をしたお陰で頭がスッキリ！久し振りの快感だ。

　夕刻、少し症状の軽くなった直子を促して近くに買い物に出た。彼女が数ヶ月前に初めて購入した宝くじの換金（大金が当たったわけではないので、念の為）をしたいというので宝くじ売り場に出向き、そのカネでインスタントくじを購入した。コインでこすって絵柄合わせをするくじだ。だがそれも運からは見放されているようで、結局損をした。

　そこから近くのスーパーともデパートもつかぬ中途半端な店に足を伸ばした。靴を買い、夕食用の食材と直子の「薬代わりのケーキ（甘い物好きの彼女は体調が悪い時ケーキを欲しがる）」を求めて家に帰った。

　私は料理を作るのは苦にならぬが、なにせレパートリーが限定されている。だから二日続けて、直子のリクエストでもあったが、鍋をつつくことになった。私の鍋料理は、基本は水炊き。にんにく、生姜、大根、ネギなどの薬味を醤油に混ぜていただく。だが、全て同じでは、と今夜は自家製のポン酢を作ってみた。絶品とまではいかなかったが、まあまあの出来栄えであったようで、彼女の食もすすんだ。

　食後は「牛になるな」と言いながらまたひと寝入り。これで完璧に寝不足は解消された。起きてから私の友人や読者のブログを覗いてコメントを書き入れたりした。これからは半身浴。読書をしながらぬるめの風呂に30分ほど入るのだ。汗が全身から吹き出てくる。

　だらだらと「何もない幸せ」を満喫した一日だった。