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私の視点 小泉劇場の再放送はNG

2008-09-17 00:45:03 | Weblog
 自民党総裁選のあり様はまさに「自民党のTVメディアの乗っ取り」だ。

 福田首相が辞意を表明してからというもの、TV各局の候補者のスタジオ出演を含めてTV報道は“自民党総裁選一色”。11日までの一週間だけを見ても、在京主要TV局が扱った自民党総裁選関連番組が「250番組 約41時間」、一方、民主党代表選報道は「48番組 4時間弱」で、圧倒的に自民党の扱いが多い。

 これはある意味、TVに話題性のあるものは追いかけるという習性がある以上仕方がないことかもしれない。だが、それにしてもこの時間差はひどすぎるのではなかろうか。

 百歩譲ってそれが仕方のないこととしても、ならばやり方があるはずだ。ただ自民党や候補者の言動を垂れ流すのではなく、メディアの本来の役目の一つである「検証」を自民党や候補者に向けて厳しく実行すればいいのだ。ところが、どの局のキャスターやコメンテイターを見ても候補者の言うことにうなづくだけだ。そうかと思うと、「報道ステーション」の古舘伊知郎氏のようにやたらいきり立って批判するキャスターもいる。

 日本のTV局の稚拙さに比べて他の国のTVメディアは、かなり趣が違う。もっと骨のあるキャスターやコメンテイターが揃っている。それも豊富な知識と鋭い分析能力を感じさせる者が多い。特にそれは欧州に目立つことだ。英国のBBCのように半官半民のような局でもステファン・サッカー、ティム・セバスチアンといった新旧のジャーナリストたちのような際立ったキャスター陣が目を光らせている。彼らはインタヴューの相手に関する膨大な情報・資料を集め、それを検証しながら相手に厳しい質問を一時間浴びせ続けるのだ。当然のことながら、その番組はとても見ごたえのあるものになる。ところが残念ながら日本にはそれに該当する番組はない。

 当然のことだが、有名キャスターやコメンテイターは政財界に一目も二目も置かれている。だから、彼らを意識する政財界人にいい意味での緊張も生まれるのだ。

 日本のTV人間は、BBCTVのハード・トークという名のインタヴュー番組を見たことがあるのだろうか。見ていれば自分たちのあまりのレヴェルの低さに自己嫌悪に陥り、余程鈍感でない限り、今のような番組作りはしていないだろう。

 まあ、視聴者も馬鹿ではない。3年前にTV局が連日流し続けた「小泉劇場」に翻弄されたことへの反省を巷間よく耳にする。だから、近く行なわれるであろう総選挙で3年前のように自民党が圧勝することは先ず間違いなくない。

 ところで、この茶番劇を見ていて思ったことだが、今行なわれている総裁選は公職選挙法に抵触するのではないのか。

 総裁選は、国民一人ひとりが選ぶものではない。自民党の、それもごく一部の人たちだけが投票して決まるものだ。だから、街頭演説が必要とされるものでないことは明らかだ。候補者の全てが、近く行なわれる総選挙を意識した演説を行なっているが私には違法に思えてならない。

 石原候補にいたっては、昨日だったと思うが、緊張してか大阪の街頭演説会で「衆議院選挙の立候補者の石原でございます」と名乗っていた。

 もしこの発言が、彼の選挙区であったら先ず間違いなく公職選挙法で禁じられている「事前運動」に当たっていたであろう。

 菅直人氏が報道番組で「テレビポリティックスで生み出された総理が何をやってきたか、国民は知っている。後期高齢者医療(筆者注:だったように記憶している)の強行採決をしたり、小泉氏の後継者である2人の首相が放り出したり、それがテレビポリティックスの副作用だ」と発言していたが、これは的を射ている。

 これをお読みのTV局関係者の皆さんに訴えたい。頼むから3年前の「小泉劇場」の再現版はお控え願いたい、と。

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