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ジャーナリストの品格

2007-10-18 21:24:53 | Weblog
 「国家の品格」に始まり、世の中品格ばやりである。タイトルを見て、ナンダ、お前も流行語に毒されているのかと言われそうだが、このところの我々「大人社会」の品格のなさには驚くばかりだ。中でも、マスコミの品の無さ、品格の欠如には目を覆いたくなる。そこで敢えてこの言葉を使わせていただいた。

 僕はまず、最近のマスコミのスクラム報道を遡上に上げたい。スクラム報道とは、マスコミが取材対象に押しかけるやり方を言うが、このところのスクラム報道は目に余るものがある。大相撲の横綱、朝青龍をモンゴルの大草原にまでスタッフを送り込み執拗におっかけをしたマスコミの姿や、一連の亀田一家周辺の狂乱報道を見ていると、ジャーナリズムに籍を置く人たちにまるで品性、品格が感じられない。

 亀田一家を舞い上がらせ、「亀田旋風」を吹かせた張本人であるTBSは、中でも際立って品格を欠いているように見える。視聴者のほとんどが「TBSに重大な責任有り」と思っているのに、何とか責任逃れができないかと思っているのだろう。一切これまで謝罪姿勢を示していない。

 世間を、視聴者をなめるのもいい加減にしろと言いたい。今の井上体制には、かつて「報道のTBS」と言われたのも今は昔。その面影すら感じられない。

 もちろん、責任はTBSにだけあるわけではない。他社も亀田人気に便乗してきたからだ。他社はこれまで持ち上げるだけ持ち上げておいて、今回の一戦を契機に潮が引くように「亀田批判」の側に回った。

 品格には、下品と評される部分だけでなく、職責をきちんと果たしていない怠慢も含まれる。その意味では、昨日の“謝罪”記者会見に出席した記者諸君も糾弾されて然るべきだ。

 JBC(日本ボクシング協会)は、記者会見を「狭いから」という理由で、入場制限をした。まず、週刊誌などの記者は除外。新聞、TV各社の記者も一社一人に限った。そして、会見時間や質問方法に制限を設けた。

 ここまで一方的なやり方をされて記者諸君は何故抗議をしなかったのか。僕にはその点が不可解でならない。会見場が狭いことを理由の一つに挙げたようだが、そうしたら違った場所を設定させればいいのだ。何故相手の言いなりになるのか。「君たちが誰を代表して記者会見に臨んでいるのか」と、僕は先輩面でそう言いたい。

 記者団は会見後に時間が短かったと抗議をしたようだが、そんなのは後の祭りだ。ジャーナリスト諸兄(姉)には、これからでも遅くは無い。「ジャーナリストの品格」とは何かを真剣に考えていただきたい。

 

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1 コメント

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同感です (リトル・ポーン)
2007-10-19 16:39:09
 私もメディア、特にTBSの責任はきわめて重いと考えています。TBSはほとんど局の総力をあげて「亀田伝説」を作り上げてきました(ニュース番組まで用いて)。今回のタイトルマッチにしても実況解説の亀田びいきは度を越していたと聞きます(私は音声オフで観ていたので直接は知りません)。彼らは報道とイベント興行をごっちゃにし、まさに亀田問題の当事者です。そんなTBSが今度は一転して亀田批判に与するとすれば、「恥知らず」とそしられてもしかたないでしょう。およそ亀田問題に限ればTBSは最悪のマスコミです。

 ただ、他のメディアもそんなに偉そうなことは言えません。亀田選手にまつわる種々の問題、いいかげんなマッチメイク、不可解なランクアップ、態度の悪さ等々は今に始まったことではありません。彼らは人気者だったころもほとんど「国賊」扱いの今も同じです。それなのにかつては彼らを批判するメディアは、ボクシングの専門誌も含めてほとんどありませんでした(2006年8月2日以降は増えてきましたが)。それどころか亀田批判を行う者をこけにすることすらありました(例えば極めて正当な批判を行った具志堅氏に対しては、スポーツ報知やサンケイスポーツが「中傷」「ボクシングの権威を落としかねない勇み足」などと言っていた)。彼らが自らの行いを省みることなく、亀田バッシングに参加するならば醜悪というほかないです。

 そして、ボクシング界も被害者面はできません。日本ボクシングコミッション(JBC)は、今まで亀田一家が何をしようが放任してきました(今回の処分も当初はしないつもりだった)。また、WBAやWBCも亀田兄弟をじゃんじゃん世界ランク入りさせ、タイトルマッチを行わせてきました。今回の大毅選手については「世界戦を行う実力がなかった」と評する向きが少なくないですが、それならそんな選手がどうして挑戦資格のある15位以内に入れたのか。いたずらに亀田一家にのみ責任を押し付けるのではなく、ボクシング界の体質にメスを入れるべきです(最低限、ランキング基準の明確化、王座へのルートの定式化は不可欠)。

 少し長くなりました。最後に、なんと言うか、亀田一家をすごく嫌っていた私なのに、今は彼らが気の毒に見えます。史郎氏はともかく、子供たちは幼いころから一種の「拳闘人形」として育てられてきたことを思えば、世間に持ち上げられ叩き落され、哀れに見えます。内藤選手が世のバッシングの流れに与せず、暖かい言葉をかけたことが救いです。亀田家の選手たちがこれを機に更生してくれるとよいのですが。
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