南北線・白金高輪駅前、白金1丁目交差点に面したところの景色。
マンションに挟まれた住宅
Photo 2006.3.5
住所は高輪1丁目。清正公前にも近いこの場所は、国道1号線に面し自動車では便利な場所だが、最近までは地下鉄が付近を通っていなかったため、港区であるにも関わらず、比較的開発はされていなかった。バブル期には周辺でいくつかの地上げが行われ、空地が生まれたが、結局大型オフィスはあまり造られなかった。従って、国道1号線沿いであるのに木造の2階建ての住宅や商店が数年前までは建ち並ぶ状態だった。
しかし地下鉄都営三田線・南北線が延伸され、白金高輪駅が開業したのを契機として、再度、開発の機運が生まれ、都心回帰、高層マンションブームの後押しを受けて、周辺では高層のマンションが続々と建ち並ぶことになった。
数年前に私はここを訪れているのだが、そのときはまだ駅もなく、歩道橋が架かっている大きな交差点というだけの印象で、木造2階もさして珍しくなかったので、写真も撮らずにいた。ところが今回訪ねてみたらこのような有様である。ありゃー、ここも変わっちまったのね。
御存知かもしれないが、「小さなお家」という絵本がある。
周囲にあまり建物のない場所に住宅が一軒建って、家族や子供と共に時を重ねるのだが、周囲には次第に大きな建物が建ってしまい、最期には車が大量に行き交う街中でビルに囲まれてしまうというお話。ただ、確か最終的にはそのおうちは移築されて、郊外の公園かなにかで余生を送る、ひとまずめでたしめでたし、なんである。
この場所の景色は「小さなお家」そのものになってしまっている。戦後しばらくはまだまだ静かだったこの場所に建てられた住宅だったが、道路は次第に拡幅され、大量の車が日々行き交うようになった。そして両側に高層マンションが建つ。絵本の中の出来事がそのまま再現されてしまう驚き。
絵本の中のお家はその後もどこかで存続し続けるのだが、写真の家の場合、存続はあまり期待できないかもしれない。
白金高輪駅付近の桜田通り
Photo 2006.3.5
ところで、私は高層マンションや超高層マンションでの生活を頭から否定するつもりはない。近代的で便利な暮らしをしたいと欲して悪いわけはない。ただ、そこに暮らす人々には、是非地域性や場所性に少しでも良いから目を向けて欲しい。
大規模な高層マンションは、それだけで新規住民を一気に地域に持ち込む。地元と全く接触せずとも暮らしが成立してしまっている場合も多々ある。車で外出し、買い物も遠くの大規模店、通勤で自宅から駅までを歩くことはあっても、地域とは全く接触なしでは、寂しい。白金や高輪という住所に住むことだけが目的で、昔からの白金や高輪には全く関心がないというのは、かなりあさはかな振る舞いな気がする。
こんなことをわざわざ書くのは、都心に新規に住む人にあまりその自覚や関心がないことが、かなり気になってきているからである。表参道ヒルズのように新しくできた場所に真っ先に行くのも良いし、ちょいわるオヤジを気取って有名な店に出入りするのも結構だが、自分がまちがどのような歴史を持っていて、自分を含めて、そこに新規に住むということがどういう意味を持つか、少し考えて欲しい。マンションが建つことによる景色の変化、そこに新住民が住むことの地域に対する影響などに無自覚で良いはずはない。
#高層ビル #街並み 港区 #道 #住宅系
ここだけじゃなく、全国規模でこんな状況が広がっている
気がします。
戦後の物資が足りない時代なら、なり振りかまわず働くの
は多数派だったのでしょうが、現代ではこんな仕事しなく
ても家族を養えるでしょうに。建築業者さんも。
東京の街はマンションばかりのつまらない街になるのでしょうか? マンションだらけの都市風景には、いつになっても愛着を感じることは無さそうです。
今後もよろしくお願いします。
先日は拙ブログに有難う御座いました
この辺は三田三丁目の友人宅に行く際に通る場所です
何時の間にやらにょきにょきと雨後の筍の如く空に伸びて行き、様子が一変してしまいました
清正公前交差点の八芳園に挟まれた三角地帯にあった玄関灯が白熱灯だった立派な家屋も無くなってしまいました
下町的雰囲気の好きな私の目には、この様な高層マンションは無粋な闖入者の様に写ります
(住居者含む)
やっかみのバイアスも多少掛かっている気もしますが・・・