有田芳生の『酔醒漫録』

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

『きけ わだつみのこえ』は改竄されていた

2008-03-17 08:31:36 | 単行本『X』

 3月16日(日)080316_15210001 17日午後には東京のキオスクに出るので解禁。「週刊朝日」に「『きけ わだつみのこえ』は改竄されていた」を書いた。「発掘スクープ」と編集部は謳ったが、これは単行本『X』の副産物。情緒的にいえば単行本『X』の主人公である木村久夫さんが「どうしても書いてくれ」と心に命じたともいえる。74名の遺稿が掲載されている『新版 きけ わだつみのこえ』(1995年発売)は、「決定版」とされながら、実は原遺稿に照らし合わせたものは、わずか3人ほど。「わだつみ会」では17人の原遺稿を持っているにもかかわらず、執行部は校訂するとの総会方針を無視し続けてきた。「わだつみ会」は3月23日に東京で総会を開く。その方針案には『新版 きけ わだつみのこえ』の校訂問題はない。それを不満とする理事からは修正案も出された。「わだつみ会」副理事長の岡安茂祐氏は、取材した諸永祐司記者を「(記事を書くことは)介入だ!」とレストランで怒鳴りつけ、店員が「お静かにしてください」と慌てて注意しにくるほどの対応だったという。ちなみに岡安氏は相模女子大で「メディア(言論の自由)論」を教えている。関係者が実名を出して証言してくれたが、会議でもいきなり「出て行け!」などと声を張り上げ、罵詈雑言をあびせるというから驚く。日本の平和運動の象徴と見られてきた「わだつみ会」が民主的機能を回復することを願うばかりだ。顧福英さんから電話。「北京亭」が20日に新装開店するとのお知らせだった。江頴禅さんのもとで修業した呉明玉さんが責任を持つことになる。かつては午後10時半までだった営業時間は午後11時まで。ただし午後3時から5時までは休むそうだ。これまで木曜日を定休にしていたが、これからは年中無休。『川崎洋詩集』(ハルキ文庫)を持って石神井公園へ。公園を歩くと春爛漫。「珈路」で珈琲を飲みながら詩を読む。「生きる歌」のなかの「これから」という一篇に共感する。遅い午後の静かな喫茶店のなかで世界が広がる。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
活字として残された「わだつみの声」はかくもさま... (五十嵐茂)
2008-03-19 09:02:21
活字として残された「わだつみの声」はかくもさまざまな加筆や修飾を受けていることを直視しなければならない。それは悪意からばかりでなく残された遺族による加筆・訂正、あるいは恩師による弟子を大切に思うが故の加筆などを経ている。それをもし編纂したものが校訂の記録として残さなければ、その者は校訂者としての歴史的後世への義務違反を犯すことになる。そのことが現わだつみ執行部に自覚されているのだろうか。原本を内部で私物化したりエキセントリックに対応する問題では無いはずだ。ありのままの遺書から出発し、一字一句も変えないところから戦没学生の像を描き直すこと。それをできる環境ができつつあること。木村久夫についてはいまそれが有田芳生著の単行本『X』によって実現されようとしている。

コメントを投稿