有田芳生の『酔醒漫録』

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「人種差別撤廃基本法」(仮称)の国会提出プロセスについて

2014-11-10 16:04:24 | 日記
ヘイトスピーチを規制する法案を国会で成立させることが課題になっています。どういう経過があったのかを備忘録としてざっと記録しておきます。2013年の3月、5月、11月に国会で在特会などのヘイトスピーチに反対する集会を開きました。その延長で「ヘイトスピーチ研究会」が結成され、前田朗さんに講演していただきました。2回目の講師は師岡康子さんでした。そこで法案を作ることを目的に「議連」を作ろうという意見が議員から出たのです。超党派の「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」が結成されたのは2014年4月23日。会長には元法務大臣の小川敏夫さんにお願いしました。与党である公明党にも依頼し、参議院議員が議連に参加してくれました。そこで合意されたのは、役員で素案を作り、議論を進めるということでした。差別問題を国際的視野で研究してきた専門家にまず「たたき台」を作ってもらい、参議院法制局と協議を進めました。その経過のなかで小川会長がみずから「素案」を書くことになりました。それをもとに専門家グループ、法制局との協議が何度も行われてきました。その結果できたのが「人種等を理由とする差別の撤廃のための施策に関する法律案(仮称)骨格試案【未定稿】」です。10月には2日、21日、27日と議連の総会が行われ、小川会長からあらましこういう提案がありました。「これは最終的な法案ではなく、これで議連案にしようというものではありません。各党が持ち帰って、この試案を検討していただきたいと思います。それぞれの党の判断でよりよいものを作り、可能な政党で共同提出できればと思います」。なんども強調されたのは、「この案を認めてほしいというものではありません」ということでした。「骨格試案【未定稿】」は議連を離れ、それぞれの政党の判断にゆだねられることになったのです。民主党はすぐにネクスト内閣で法案登録され、法務部門会議で法案審査が行われました。私が報告し、衆参の法務委員会に所属する議員に了承されました。さらにネクスト内閣に回り、正式に議員立法として承認されました。そこからは政党間の交渉になります。民主党は臨時国会で法案を提出し、成立をめざすと決定しました。幹事長会談や野党の政策責任者会談で民主党から提案があったと報道されたとおりです。民主党で了承された法案に他党が乗ってほしいというものではまったくありません。維新の党からもよりよい法案にするような提案もあるようです。みんなの党からも法案について問い合わせがありました。社民党の福島瑞穂さんも改善提案があるとご本人から聞いています。民主党でも専門家グループの意見を入れる方向で検討を進めています。なぜ臨時国会なのでしょうか。それは差別の煽動と闘う現場からの強い要請です。差別され、それに怒り、耐えている人たちの熱望があります。法案の向こうにはひとりひとりの生身の人間がいるのです。私には多くの「顔」が浮かんできます。与党が賛成しなければ法案は成立しません。自民党や公明党にも働きかけているところです。ぎりぎりまで法案を研ぎ澄ましたうえで国会に提出することは、立法府で仕事をする国会議員の歴史的責任なのです。(2014/11/8)