有田芳生の『酔醒漫録』

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微動もしないカマキリのように

2009-10-25 13:01:44 | 随感

 10月24日(土)091024_12420001 やしきたかじんさんのアルバムを聴きながら。選挙が終わってからブログもふくめた生活スタイルの一新をずっと考えてきた。その中心となる課題については、信頼できる知人たちの意見を聞いてきた。まず必要なことは原則を確定すること。伝説の雀鬼にして人間観察力にたけた桜井章一さんによれば〈人間は、なかなか今までに築いてきた自分を捨てることができない。「得る」という気持ちばかりで、「捨てる」という感覚になれない。仮に、それが自分にとって悪いものだとしても、いつまでも抱え込んでいたりする〉(『負けない技術』、講談社+α新書)。そのとおりだと思う。「悪いもの」ではなくとも「捨てる」ときがあるだろう。新宿で高世仁さんと待ち合わせて3丁目の「薩摩おごじょ」で焼酎を飲みつつあれこれと雑談。この店は代々木に勤めていた20代によく通っていた。店主の赤羽礼子さんが、特攻隊の面倒を見てきた知覧の「富屋食堂」の鳥濱トメさんの次女だと知ったのは、ずっとあとのこと。その赤羽さんもすでに亡い。「ESPA」に移動してワインを飲みながらさらに話し合う。高世さんの娘さんの通う学校に横田滋、早紀江夫妻を招いて講演をしてもらったそうだ。そのあとの食事時に娘さんたちも同席。そのとき横田さんが「こうして家族で食事ができることはとても幸せなことですよ」と語ったそうだ。幸福とはシンプルなものなのだ。おそらく生活の価値観もまた。路上で見つけた枯れ枝のようなカマキリがじっと動かないでいたように、いまはいる。