有田芳生の『酔醒漫録』

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湯唯(タン・ウェイ)に会った

2008-01-25 09:46:45 | 映画

 1月24日(木)新党日本の役員会を終えて文藝春秋近くの喫茶店へ。ほぼ満席なのでカウンターに座る。珈琲を飲みながら資料を読もうと思ったところ、後ろの席の男が携帯電話をかけて喋り出した。「またか。仕方ないな」と我慢。しばらくすると再び電話をはじめたので店を出る。帰宅して新書原稿を少々書く。ダークスーツに着替えて三越前に。電車のなかで読んだのは南山宗教文化研究所の寺尾寿芳さんが上智人間学会の『人間学』(2007年37号)に書いた「〈実存協同〉から慰霊への解釈学的展望ーー田辺元と木村久夫ーー」という論文だ。思想的に戦争を肯定した田辺元は、京大教官を退任したあと、北軽井沢に住んだ。身体が強くないにもかかわらず、厳寒の地に移ったことには理由があった。「戦争に対する思想者としての責務懈怠」「卑怯の罪に対する自覚」が生じたことが唐木順三への手紙からわかる。木村久夫さんとの関係での新たな発見は、田辺が1943年5月19日に京都大学で「月曜講義」を行い、それが『死生』として残されていること。このときすでに木村さんは陸軍二等兵として大学を離れている。もし出征していなければ、きっとこの講演を聞いていただろう。

080124_23250001  マンダリンオリエンタル東京で「ラストコーション」を見る。二度目ゆえの発見多々あり。あるシーンから回想に戻り、いちばんの見せ場に進むときの描き方が巧みに計算されている。作品は2時間38分。あっけにとられたのは、上映がはじまってすぐにファッション評論家が携帯電話のメールを確認しはじめたこと。ほぼ5分ぐらい暗い空間に灯が点っていた。そのうちに最近離婚して話題となった女性タレントがカバンのなかから携帯電話を出してメールを確認。結局前者は3回、後者は2回メールを見ていた。ある対談の最中に司会者がメールを何度か確認するので驚いたことがある。困ったものだ。上映が終わったのは午後10時半。2階のヴェンタリオでパーティ。テーブル席とは予想外。作家の吉田修一さんとワインを飲みながら雑談。そのうちにアン・リー監督がやって来たのでいくつか質問。この映画は準備に5か月、撮影に5か月、編集に5か月かかったという。まったく温厚な気質の監督に感銘を受けた。主演女優のタン・ウェイは聡明な印象。この作品が映画初出演だという。トニー・レオンは映画撮影のため欠席。助演男優のワン・リーホンは素敵な俳優だった。パーティは日付が変わるまで続いた。