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アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

なぜベヒシュタイン?

2012年10月03日 | ピアノ
何年か前まで、私にとっては、ピアノといったらヤマハ、ヤマハといったらピアノだった。

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小さいころ、家にあったのもヤマハ、友だちのうちにあったのもヤマハ、先生のうちにあったのもヤマハ…大人になって、レッスン再開してもやっぱりヤマハ(そりゃ、ヤマハ音楽教室だからね)。

それからしばらくして、近所のおうち(こじろう友人宅)でベヒシュタインのアップライトを購入したという話を聞いて、押しかけていって弾かせてもらったのが「ピアノっていってもいろいろなんだ!!」の大ショック。同じ曲を弾いても幸せ度が段違い(^^) 私も欲しい~ベヒシュタイン♪

それで、「ベヒシュタイン貯金」を始めつつ、試弾会に行ってみたりして、ヤマハ・ベヒシュタイン・スタインウェイ・ベーゼンドルファーのグランドピアノを弾き比べてみた。そしたらもう、ベヒシュタインのグランドはさらに素敵!! これはほんとに、ピアノがうまくなったくらいの幸せ感だよ。スタインウェイも打てば響く感じの弾きやすさが捨てがたいけど。

その後、ブランド的には同じ顔ぶれの試弾会にまた行ってみたら、そのときの印象はまた違っていて、ベヒシュタインはそこまでいいとは思わず、代わって、ベーゼンドルファーが連れて帰りたいくらいよかった(^^)

結局のところ、ヤマハはいつでもヤマハだけれど、ベヒシュタインとかベーゼンドルファーは個体差もけっこう大きいらしい。もっとも、私が一度目に試弾会に行ったときは練習中の曲がファリャで、二度目はシューベルトだったとかそういうことも関係あるのかもしれないが…

ところでその後、めでたくベヒ貯金は目標額に達したものの、ヤマハのアップライトに消音ユニットをつけてしまったため、それも手放せなくなった(置き換えられなくなった)とか、バイオリンを買ったためベヒ貯金の一部を取り崩した(^^;; とかの事故が重なり、ベヒの実現は遠のいてしまった。でも、諦めたわけじゃないんだからね!!

というわけで、私にとってはかなり思いいれのある、ベヒシュタイン。

先日の、ベヒシュタインサロンでのレクチャーコンサートは、だからもう宝の山だったけれど、触れないのがなんとも、お預けって感じ。コンサートが終わったあと、「どうぞご自由に」かなんかいってたけれど、あんな濃いぃ面子ばっかりがいる前で触れますかいな。

ドビュッシーは、ベヒシュタインがお気に入りだったそうで、だからレクチャーコンサートで質問コーナーになったとき、サロンの係員さんが先生に「なぜドビュッシーはベヒシュタインがよいと思ったのでしょうか」とか商売っ気たっぷりの質問をしていたけど。先生によれば、「クリアに音を重ねられる」とかそんな説明だったかな(メモがない…)。

ドビュッシーは「印象派」と呼ばれるけど、彼自身は、モネの絵みたいなもやついた色彩の絵にたとえられるのは嫌いだったんだって。ドビュッシーのお気に入りの絵は、印象派でももっとくっきりと色のコントラストがある絵で(誰の絵だったか忘れた、メモがない…)なにしろ、浮世絵(富岳三十六景)が気に入ったくらいだものね。

ついペダルたくさん使ってもやつかせたくなってしまうけど、ドビュッシーにいわせると
「ペダルの乱用は、テクニックの欠如をかくす方法にすぎない」
だそうです(どきっ)。


ピアノが持って帰れなかったので代わりに熊を↑

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そしてアフタータッチはどうなのか

2012年10月02日 | ピアノ
昨日紹介したように、金子一朗さんは、ピアノの(物理的な)音色がタッチで変わるかどうかについては相当否定的な書き方をしながら、ほかの部分ではとてもそう思ってる人には見えないほど(^^;; 多彩な音色を駆使する方法について述べている。

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昨日引用した部分は、そもそも音色が単調にならないように弾くにはどうしたらよいか、という項であって、件の記述に続いては「調の変化や借用和音」など、曲に組み込まれた変化をしっかり理解して「微妙な強弱を利用することで、物理的な音色は変化しなくても、我々に与える印象としての音色は十分に変化するのである。」と書いている。

ほかにも、「遠くに飛ぶ音(音量が大きいことではなくて)」という言及もあり、ほんとうに物理的な音色は変化しないと信じているのか疑わしいような気もちょっとする。

さらに、こんな個所もある:
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最初に教わったとき、「その音、少し高めにとって」「その音、打鍵してからクレッシェンドして」などと言われたのだ。理系の大学で学び、数学や物理の感覚を持っていた自分にとって、耳を疑うほど衝撃的で、不信感すら持ったものである。しかし、そんなことはできないと言うと、先生弾いてくれたのである。見事にそう聞こえるのである。
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そして、そうイメージして弾くと、ちゃんとそう聞こえる、と述べている。

確かに、「打鍵してからクレッシェンドして」ってすごい(^^;; バイオリンじゃあるまいし、いったんタッチしてしまったら、その音を消す以外には、やれることはないというのが「常識」ではないだろうか。

しかし、昨日の記事にトニカさんがコメントで教えてくれた動画はなかなかおもしろい。
ハンマーに注目

この動画、なかなかうまく撮影できていて、打鍵のあとやや力を抜くようにするとハンマーが弦の近くにふわっと寄ってきて、それで音もなんだか「ぽわん」とするところがよくわかる。

また、内藤先生のレクチャーコンサートで言われていた「アフタータッチ」は、振動体としてのピアノを邪魔しないで鳴らすか、ぐっと押さえつけるかの違いである。前者は朗々とした歌い方、後者は喉をぐっと詰めたような歌い方に相当するだろうか。この場合、基本は「鳴らす」(脱力)ほうだと思えばいいけれど、いつもそれじゃなきゃいけないという意味ではなくて、ほしい音色に合うほうを選べばよいわけだ。

ここらへんまで来ると、どうもアップライトピアノではいまいち説得力がない。「アフタータッチ」が関係ないとまではいえないけれど、とても同様にコントロールできるとは思えないからだ。むーん。。

それどころか、たいていは消音で練習してるからねぇ。ま、アフタータッチの話にまで踏み込まなくても、やるべきことはいくらでもある状態だから、いいっちゃいいんだけれど。

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タッチでピアノの音色はほんとうに変わるのか?

2012年10月01日 | ピアノ
バイオリンの音色が、弾く人によって変わることを疑う人はいないと思うが、ピアノの音色(音量は同じとして)がタッチによって変化するのかどうかについては、長らく疑いをもたれていた、らしい。

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たとえば、私の手元にある本で「ピアノ・ノート(チャールズ・ローゼン著)」というたいへんすぐれた本の中にもこんな一節が:
「ピアノは強く弾くか弱く弾くか、速く弾くか遅く弾くかのふたつを除いて、ほかにできることはない。ピアノで弾くひとつの音符にはフォルテかピアノか、長いか短いかしかなく、絶対的に美しい美しい音というようなものは存在しない。何世代にもわたる無数のピアノ教師が信じているのと違い、どんなに優雅に鍵盤を押してみても、その結果出る音にはなんの違いも生じない。」

これに続けて、美しいかどうかは単独の音の音色で左右されるのではなく、フレージングや和声によって…すなわち、音楽全体のバランスとして作られるということを言っている。脱力がなぜ大切かというと、たとえば和音の音のひとつひとつの音量を自在にコントロールできるようにするには、がちっと弾いていてはできないからである、と。

音色が変わる理屈が説明できなかったので、ここから離れるわけにはいかなかったのでしょうね。でもやっぱり経験的に、きれいな音、きたない音とかあると思ってたんじゃないの?? という気もしないでもない。どうなんだろ。

この件については「ピアニストの脳を科学する」の本の中でもはっきりした決着がつけられている。

物理的に違いが生じる部分として、「ハンマーのしなり」というのがあって、打鍵のスピードが同じで音量としては同じであっても、鍵盤の加速のしかたによってこのしなり具合が変わり、その結果、倍音成分に違いが出るということが測定でき、またその違いは、人間の耳にも聞き分けられるものであることがわかったとのこと。

それで、その違いってのは、硬く打鍵すれば高い周波数の成分が多い→硬く弾けば硬い音ってことで、なんだこんな大掛かりな実験するまでもなく、経験則とおんなじじゃーん、なんて言わないでくださいね(^^) クリアに決着ついてよかったでしょ。

それと、タッチ・ノイズ(指が鍵盤に当たる音)や、鍵盤が底に当たるときに生じる雑音(内藤先生が「下部雑音」といっていたもの?)が混ざることによって聞こえ方が変わるということも紹介されている。

というわけで、ちゃんと弾き方で音色は変わるんです。あとは、それを信じて、自分の耳を頼りにほしい音を探す!! だけ!!(^^;;

ところで、「挑戦するピアニスト(金子一朗著)の中では、「確かに音響物理学的には、ピアノで音色を変えることは困難であろう」としつつ、物理的に音色が変わらなくても印象を変えることはできるとして、「実践的(っつーか、うまい人にとっては実践的であろう)」なアドバイスを書いている。やはり、理屈を重んじる人ほど、物理的にもピアノの音色はタッチで変わる!! とは明言しづらかったのでしょう。

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