アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

親の監督責任って

2015年04月11日 | 小学生活
「ボール裁判」の決着がおとといついたので、昨日はコンビニで新聞を買ってみた。

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一面トップがこの記事だったのは読売新聞だけだったのでそれ買ってきて…しみじみ読んだ。
最高裁では裁判官四人が全員一致で、一審、二審の賠償命令を破棄。

この事件は、
小学校の校庭で放課後にサッカーしてて、フリーキックの練習で蹴ったボールがゴールを外れて門扉も越えて道路に転がったんだけど、それをよけようとしたオートバイが転倒したというもの。

オートバイを運転していた人が85歳の男性で、足を骨折して入院したのをきっかけに寝付いてしまい認知症が進み、事故から1年4か月後に肺炎で死亡。

という、たいへん不幸な出来事だったんだけど、遺族がボール蹴った子(当時11歳)の親に損害賠償を求めて裁判を起こして、二審では1180万円払えという判決が出たのね。

責任能力がない子どもが事故を起こした場合、「監督義務者」である親が賠償責任を負うというのはすんなり納得がいく。ま、例えば、子どもが商品壊したら弁償するとかね。またろうを連れて買い物するときとかはいつもびくびくでしたわ(^^;;

しかし監督義務を怠らないってどういうことなのか…
放課後の校庭でサッカーするのふつうだし。
ゴールに向かってボール蹴るし。
でも外すこともあるし。

親は、子供が人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう、日頃から指導監督する義務がある
(今回の判決骨子から)

そうですね、例えばだけど道路でサッカーするなとか。けど、今回の場合、別に親のしつけが変だったわけじゃないですからね。

一千万円超に相当する監督義務違反があった
ってことになっちゃうんですか? これで??

という違和感と恐怖を抱えつつ、うっかり男子を育てる親はこの裁判の成り行きを注目してたと思います。

今回の判断は
「通常は危険が及ばない行為で、たまたま損害を生じさせた場合は、具体的に予見可能だったなどの特別な事情が認められない限り、監督義務を尽くさなかったとすべきではない」
ということで、ともかくよかったー、というかそもそも一審、二審はなんであんな結論だったのよ!? という日常的感覚を持つ人が多いんじゃないでしょうか。私もそう思っていたんですが、新聞をじっくり読んでいて、なかなかやっかいな話なんだなぁと。

これまで、親の監督責任の「免責」というのはほとんど認められたことがなくて、ものすごく画期的な斬新な判断なんですって。今回の判決は。

確かに、考えてみれば、もしもサッカーボールが転げ出して、バイク転倒じゃなくて、お向かいさんの植木鉢を割っちゃったとするでしょ。そしたら親がどうもすいませんいうて弁償するのはおかしくないような気がするんです。

放課後の校庭でサッカーしてた、そのことは親のしつけが悪いとかいうことではないけれど、たまたまそういうことになっちゃったら、親が払う。そのときに、
「通常は危険が及ばない行為で、たまたま損害を生じさせた場合は、具体的に予見可能だったなどの特別な事情が認められない限り、監督義務を尽くさなかったとすべきではない」
なんつーて、親が弁償しなかったら、植木鉢壊されちゃった人はナニーってなりますよね。

この感覚のねじれはなんだろう、と思うと、「ボール転げた」という過失(?)の重大性というか。

コドモのやらかしちゃったことが、火遊びから火事とか、刃物で人を刺したとかじゃなくて、「ボール転げた」が一千万円? というところがそもそもこの事件の違和感の根っこなのかもしれない。

そもそも、なんで「ボール転げた」から死に至ってしまったのかというと、バイク運転者が85歳だったことと深くかかわっていますよね。突然のことに対応できなくて転倒になってしまうのも、転倒したら骨折してしまうのも、骨折から寝付いて認知症になってしまうのも、そこから肺炎を起こして亡くなってしまったのも、若ければ起こりにくかったこと。

運転教習のとき、「予測運転」とか習いませんでした? 小学校の脇を通るときは子どもの飛び出しがあるかもと予測して注意して運転するとかね。ボールが飛び出してくるとかも予測の範囲内として運転するのが、運転する側に求められることでしょう。

つまりその85歳男性がバイクを運転するということは、たとえば猫が飛び出して来たら死に至る可能性があるというリスクを承知であえてやってるってことなんだから、「一年四か月後の死」の損害を、ボールにおっかぶせることにそもそも無理があったんじゃ…

と考えると、そこにツッコミを入れないで
「通常は危険が及ばない行為で、たまたま損害を生じさせた場合は、具体的に予見可能だったなどの特別な事情が認められない限り、監督義務を尽くさなかったとすべきではない」
という理屈から今回の損害賠償命令破棄にしたのはなんかもやもやっとするんです。

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25 コメント

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Unknown (shig)
2015-04-11 09:35:58
ん~。判決書読んでないんでなんともだけど、どうしてそこでもやっとするのかは正直よくわかんない。
というのは、最高裁は下級審で争われた法的な争点のみを判断するところなので(ってのは建前になっちゃってるような判決書も目にすることはあるが)、原告側にも過失があったんじゃ?って話は論点が別だからそこを争われてなかったら判断しようがないんです。
#いや本当に争ってなかったのかどうかは知らんけど。

損害賠償責任の範囲については、結局のところ「普通そう思うだろ?」ってことしか書いてないんで、じゃあその「普通って何?」ってところでものすごく幅が出てきちゃいます。
この判決はその「普通って何?」ってところにある価値基準を呈示したわけです。
> shigさんへ (アンダンテ)
2015-04-11 09:59:21
えと、わかりにくいですか?(^^;;

つまり、「ボールが転げちゃったのは親の責任じゃないってことでいいですよ」が今回の判決なんだと思うけれど、

この事件の中で一番「ええーっ」と引っかかるのは、そっちよりむしろ

「ボールが転げたせいで死んだって言う!?」

ってところで。

「ボールが転げたせいで人が一人死んだけど、それについて親は払わなくていいですよ」って結論じゃ、重荷を背負ったままの子ども(今はもう大人)がかわいそうすぎる。と思うんです。
> shigさんへ (アンダンテ)
2015-04-11 10:01:30
それと、
「通常は危険が及ばない行為で、たまたま損害を生じさせた場合は、具体的に予見可能だったなどの特別な事情が認められない限り、監督義務を尽くさなかったとすべきではない」
というのも引っかかるんですが、長くなるのでまた別に。
Unknown (影法師)
2015-04-11 10:35:50
どっちにしても、桶屋が儲かったのは風が吹いたのが悪い、みたいな判決だし、ゴールに向かってボールを蹴って何が悪い、って子供の判断力だったらそれぐらいが当たり前じゃないでしょうか。責められるとしたら子供ではなくて学校だと思うんですよね。
件の子供は多感な時期に人殺しと責められてどれだけトラウマを受けたことでしょうか。遺族は感情的になってるだろうからともかく、親を訴えることを薦めた遺族の側の弁護士や、地裁・高裁の裁判官のやってることってもはや児童虐待に等しいと思います。
Unknown (shig)
2015-04-11 11:04:22
あーこれまた判決書をちゃんと読んでないのでアレなんですけど、よーするに「ボールが転げたせいで死んだって言う!?」って主張なんですが。
Unknown (shig)
2015-04-11 11:09:43
裁判所に心のケアを期待するってのなら、それはお門違いだと思いますよ。
#わたしが法律の世界を離れたのは、「法律は人を幸せにしない」と感じたからです。と話したら工学系の先生方にはえらく歓迎されました(^_^;;
Unknown (ひまじん)
2015-04-11 12:08:18
私も以前、1審2審の判決の報道を読んでものすごく疑問だった記憶が。素人考えですが、過失があるとしても骨折したとこまでではないの?その方がその後に発症した病気でお亡くなりになったことをボールのせいにするのがなぜ通ったのか?
同じ事故にあって退院して普通の生活に戻れる方もいらっしゃると思われるのですが。
他の場合でも、事故で怪我→体力低下→他の病気を発症→死亡だと、事故の相手方は死亡の責任まで問われるの???
同じく... (asapon)
2015-04-11 12:26:37
このニュースにモヤモヤした派です。

ご高齢の方が原付運転してたってことや、
球技やっていいグラウンドなのにフェンスが低すぎ(ゴールの位置もおかしすぎ)だろってことに、
誰も突っ込み入れないの?
ひたすら原因はボールを蹴ったことなの?と「???」でした。

うちは子供がずっとスポーツ(球技)をしてますし、そんなこといったらどこもかしこもリスクだらけでゾッとします。
ボールを蹴った男の子のこれまでの人生が可哀想だと思うのは、偏った見方なんでしょうか(;_;)
ご無沙汰しています (ぎんが)
2015-04-11 13:17:14
ちなみに、アンダンテさんの疑問のポイントと直接関連はしないようですが、最高裁判決は、

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85032

ここから読むことができます。
Unknown (yoyo)
2015-04-11 19:35:25
朝日新聞の報道を読んで、
もとサッカー少年の母として 不思議だったのは、
校庭で フリーキックの練習をすることに 規制がなかったの?っていうこと。

とらの学校の校庭は 特に狭いというわけではないけれど、サッカーの練習の日には 保護者が校門にたって 気を付けていないと ボールが四六時中 外に転がってしまって 危ないなんてもんじゃありませんでした。
だから 休み時間や放課後に ゴールポストに向かって ボールをけることは 禁止されていましたよ。

もし 禁止されていたのに 蹴ったとしたら、子どもに責任があるといえるだろうし、
ボールが 外に転がっている状況にあったのに 禁止していなかったとしたら 学校の管理責任だし。
普段 ボールをけっても 校門の外にでるような状況でないとしたら 何が原因で そのとき 転がって出てしまったのか?
ふつうにボールを蹴るという行為以外に 何かほかのことをしていなかったのか?
そういう話になるだろうし。

そういうことが 記事にはまったく書いていなかったので、中途半端な報道だと思いました。



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