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アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

現代の南極基地…怖いことは…

2016年09月04日 | 大学生活
なんか南極づいちゃって、今日は図書館で目についた「パパ、南極へ行く」(新井直樹)を借りました。

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新井さんは、2006年11月から一年四か月に渡って昭和基地で観測などの仕事をした方です。アムンゼンやスコット、あるいは現代ではあっても南極点まで徒歩で行き来した人あたりは「探検」をしていたわけですけど、新井さんの場合は「仕事(研究)」です。本職は研究者であって、ぶっちゃけふだんは運動不足だそうで。

基本は、観測・研究に必要な専門知識や能力があるかどうかで選ばれるので、体力抜群とか軍人とか探検家ってわけではないのですね。でも、行く先はなにしろ南極ですから、心身の健康状態も詳しくチェックされ、訓練もいろいろあります(雪たくさんの訓練は冬の長野で)。

探検じゃなくてお仕事ですから、当たり前ですが死んだりしないのが大前提、安全第一です。でも、第一とはいっても、そりゃここいらへんにいるのとは安全の度合いが違います。お医者さんはいますがなんでも専門ってわけにはいきませんし、大きな病気や怪我になっても十分な設備も医療スタッフもなく、冬の間は救出も不可能。日本にいたら当然助かるようなものであっても、死んだり後遺症が残る場合は考えられます。

「…この点については、ご本人および家族の方々にも十分承諾していただくようお願いします」
ということで承諾書にサインしなくてはいけません。怖いですね。

探検じゃないとはいっても、覚悟なく行けるようなところじゃないのです。

昭和基地の中は、そこそこいろいろな設備が整っていて、個室や食堂、お風呂もあります。電気も使えます。水は氷を溶かして作ります。とはいえ、日本にいるときのように、電気や水道を「知らない人が」整備していて、ゴミも家の前に出しておくと「知らない人が」持っていってくれるというのとはわけが違います。この本を読むと、そういうインフラを研究者みんなが手分けして支えているので、業務量もけっこうハンパないうえ、故障があれば修理も自分たちでしなくてはいけません。

しかも、ずっと基地にいればいいのではなくて仕事がありますから、そこからしばらくのところに点在する観測設備へ行って観測や補修作業をするのです。ブリザードになってしまうとそこから基地へ何日も戻れないこともあります。そうすると非常食・風呂なし、いつ戻れるかもわからず耐えるということになります。

前の記事で言及した、アメリカの基地ともなりますと、基地内で新鮮な野菜を栽培(o_o)していましたけど、ここではそうじゃなかったので、冬に入ってしばらく経つと生野菜はなくなってしまうのです(やや長持ちするのはキャベツと玉ねぎ)。次に春になって新たに物資が届いたとき、キャベツを食べられたときの感激がテンション高い(^^;;

「懐かしいキャベツを、口いっぱいに詰め込みます。幾本ものキャベツを、上あごと下あごに感じます。歯で噛み切ろうとすると、細く切られたキャベツが集団でそれに耐えようとしています。あごに力を入れ、キャベツを歯で噛み切ります。何回か砕くうちにキャベツは抵抗をやめ、青臭い苦みとほのかな甘味となって消えていきました」

というわけで冬の間、まぁ新鮮野菜はないんですが、おいしくはあるし十分な量もあるようです。そこは「探検」と違いますね。

というかふつうにしてると太っていくらしく(^^;;
新井さんの場合は、
「オーロラが出ると痩せて」
「オーロラが出ないと太る」
って状況だったそうです。それはつまり、オーロラ好きの彼は、オーロラがきれいだと夜に五時間くらい外にいたりするんです。そうすると痩せちゃうの。

ほら、探検のときにそういう話がありましたよね。ふだんでは考えられないくらい食べてても、どんどん痩せてしまう南極ダイエット。寒いってほんとに寒いということです。

そのほか、いろいろと南極基地の話は興味深かったのですが、タイトルにした「怖いこと」というのはですね…

新井さんは、書籍タイトルでもわかるように、小さい子ども二人がいるパパさんだったんです。そんなときにお父さんが育児ほったらかして一年四か月も不在にしたら私ならキレますが(生活自体が立ち行かない)、行く先がそんじょそこらじゃなくて命の危険もあるところなので、そんな無責任なこと私だったら許しません。まぁそれを支えることが嫌でない(むしろ応援する)人もいるとは思いますが。

新井さんの場合、別に支える妻じゃないらしく、それはこの本のメインテーマではないんでほんのちょっとしたところに表れています。
一度目に言い出したときは「赤ちゃんが生まれて大変なときに、何を言ってるの!!」と猛烈に反対されたそうですが、何年か経って二度目は
しばらくの間ののち「わかりました」。それっきり不機嫌な顔をして、口を閉ざしてしまったのです。

妻の心中を考えると、そんなんで真意も確かめないままさらりと流して南極へ行ってしまう新井さん、ほんとに大丈夫??

長い不在期間の後の、感動の再開シーンでは、「重たくなった息子を抱き上げると、「パパ、帰ってきてくれてありがとう」と言ってくれました」なのですが、「妻は疲れていたのか、あまりしゃべりませんでした。そして涙を流していました」

…こわっ(o_o) この涙に何がこめられているやら…

しばらくして、新井さんが、南極と全く違うせわしない都会の生活になかなか慣れず、「めまい」「息苦しさ」で苦しんでいるとき「このつらさは、越冬した人間にしかわからない」と妻に言いました。すると妻は「待っていた人間の気持ちだって、あなたにはわからない」

…こわっ(o_O;; めっちゃ夫婦の危機ですやん~
でも新井さんはあんまりそう感じてないらしくてどの「怖い個所」もさらりと流しています。ほんとヤバいこの人。

というわけで、表紙にはペンギンのイラストとかほのぼのした感じですが超怖い本でした。

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4 コメント

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そういえば (きーちゃん)
2016-09-05 03:19:28
息子の中学生時代の学年の先生に、越冬隊経験者がいました。地学系の研究者で、極の研究所に所属していたはずです。
その先生、当時は独身でしたね。今はお子さんもいるから、若いからできたのかな、とは思います。

今はすっかり安定した職業ですから。
返信する
難しいですね (ぎどん)
2016-09-05 08:13:57
先輩(同じ時期に学校にいたことはありませんが、部活の合宿でご一緒したことはあります)のご父君が越冬隊長だったそうです。その当時はへえーくらいしか思いませんでしたが、今思うと大変だなあ...。

南極越冬隊もそうですが、自衛官とか宇宙飛行士とか、あるいはちょっと危ない国への赴任がある商社とか、政治家とかも「危険」で「家にいない」ですよね。命の危険はそれほどないけど「家にいない」だとお医者様とかもそうかな...もっと軽い世界でも、単身赴任的な人はたくさんおいでですし。
私はヘタレでそういう生活が苦手なので、そういう生活をして世の中を支えてくださってる方、そのご家族の方、本当に頭が下がります。

知り合いに自衛官がいますが、彼は時々、文字通り「連絡がつかない」状態になります。つまり「言っちゃいけないところに長期間出かけてる」。お連れ合い様はえらいなあ...と思います。もうお子さんも大きくなってるので、少しは楽になったと思うけど、でもやっぱ心配には変わりないよね。
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> きーちゃんさんへ (アンダンテ)
2016-09-05 15:49:25
独身時代に冒険的な大仕事をこなし、後には安定した仕事について家族を持つってひとつの黄金パターンですかね。女性の場合は子どもも持ちたいとなると産み時の問題もからむからやっぱりより制約は大きくなるよね…まぁ私はどんなに可能でも南極も宇宙も行きたくなかったけど(^^;;
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> ぎどんさんへ (アンダンテ)
2016-09-05 16:04:06
そういえば医者って、戦地医療に赴くわけでなくても、「不在」ってことにかけてはかなりのものですね。でも考えてみれば結婚相手として人気じゃないですか~(私は嫌だけど) 要は合意があればいいともいえます。

自衛官だとさらに大変そうですね。

上記の話の場合は、お役所的なところの研究員なんて、いちばんカタイ仕事の人と結婚したと思ったのに、サギだぁ~と思ったかもしれないよね(^^;; ともかく到底合意があったとはいえなかったと。

結局のところ、子育てを(ほぼ)ひとりでする前提だと、就ける仕事(その他活動)はほんとに限られたものになる(多くの女性が置かれている状況)ところ、二人でする前提なら制約は半分以下になる。もし後者の前提で組んでた生活を一方的に男性が崩せる(逃げられる)権利を持ってると思われたらそりゃ腹立つでしょう。

結婚しても子どもを持たないならかなり話は楽になると思います。
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