「彼女は頭が悪いから」(姫野カオルコ)は、実際にあった事件を下敷きにした小説で、でも決してドキュメンタリーとかそういうのではなくて、まったく取材はしないで書いたものだとか。
←興味深いが気分悪くなるのでお奨めできるかどうか微妙すぎる小説
ウィキペディアにあった事件概要
東京大学誕生日研究会レイプ事件
はほぼそのまま、でもそれ以外は現実に起こったこととは無関係の、完全なフィクション。事件報道を見たときの…なんとも言い難い後味の悪さ…それにとことんこだわって書かれた小説らしいので、それはそれはもう後味の悪い小説に仕上がっています。
小説の大半は「事件前」に費やされていて、犯罪をした側、された側、そしてその周囲の人々のあり方が丁寧に、数年分に渡って緻密に書き込まれています。つまり、どうしたらこんな事件が起こるのかという問いに対する、作者的な一つの解答(架空ですが)ということになるのでしょう。
した側とされた側がどのようにかけ離れた人間であったのか。「人種が違う」という言葉がありますがこれは生物的な人種ではなくて、住んでいる環境、育てられ方、価値観とか発想とか、そういうことの隔たりのことですが、ともかくそういう意味でものすごく離れた人間であること。
そして、その遠すぎる距離感によって、実際は人間対人間でありながら、加害者側にとって相手はあまり「異質平等」な人間であるという意識がなく、単に自分の都合で利用して捨てればよい対象。玩具のような、という言い方もできるかもしれませんがたぶん違います…玩具ではかえっておもしろくないのではないでしょうか。相手が嫌がったり苦しんだりするからおもしろい、もしかしたら動物虐待と似た感覚なのかもしれません。
小説タイトルにもあるように、その隔たりを形作るものとして「学歴(というかいわゆる偏差値)」が描かれているわけですけれども、読んでいくとなんとなく、もちろんそういう面もあるんですけど、それ以前に、「男女」というところで既に大きなギャップが感じられます。頭の良し悪し以前に、女であることから即、利用対象としか見ていないという感じ。
最近読んだ漫画で、「ハコヅメ」のスピンオフ、というか番外編的な一冊読み切りで「ハコヅメ別章アンボックス」というのがあったのですが、これはまったく学歴差別とは関係なく、でも当該事件ととてもよく似た側面のあるストーリーです。
しょっちゅうDVでごたごたして警察のごやっかいになっている同棲カップルがいるのですが、別れるといっては何度もヨリを戻して元の木阿弥になることを繰り返したあとに、今度こそ別れた…別れるかな…というところで最悪の形で事件が起こります。
漫画の冒頭、間もないあたりで、大山という男性(後に事件の犯人となる)の描写として、女性警察官が応対しているとものすごく乱暴で勝手なことばかり言っていて話にならず、男性警察官に交代するシーンがあります。
女性警察官「大山の様子どうだった?」
男性警察官A「だいぶ落ち着いたよ」
男性警察官B「あの野郎まじ…」
女性警察官「いや…なんかさ警察官として現場対応してると…ああいう…異性に対してだととたんに声を荒らげたり自分勝手になる人たまにいるじゃん」
男性警察官B「あぁ…いますね本当最低…」
女性警察官「いや最低とか違う…なんか…」
男性警察官A「警察の仕事をする上での肌感覚として…同性である男とはコミュニケーションとれるけど 女性が関わった途端 人が変わるタイプがいるなぁとは感じるよね」
女性警察官「そうそう! あくまでいち警察官の個人的な感覚だけどそういう人って性格とはまた別の何かを感じて…あんま腹立たないんだ」
男性警察官A「さっき俺から一応カウンセリングも勧めてみたんだけど行く気はなさそう ただ保健所と連携とるべきような精神疾患という状態でもないし…」
結局、大山は身勝手な理由で女性を殺して遺棄するのですが、金銭的な得があるわけでもなく、殺さなければいけないような困った事情があったわけでもなく、なんだか他人からは理解しにくい殺人です。それはやはり、相手が対等な一人の人間という位置づけでないあたりから生じる発想なのでしょうか。
事件の起こり方、そして報道されるときに被害者が誹謗中傷されることがセットで、なんだかこの小説とこの漫画は似ているのです。
事件はまったく救いようがないもので…(実際の事件は殺人ではありませんが)
しかし、最後にほんの少しだけ救い(理解者)が現れるというところまでが、この小説とこの漫画は似ています。
ところで小説のほうでは、そういったギャップに、「彼女は頭が悪いから」の部分が絡んでくるわけですが、そのことについては、長くなったのでまた後日。
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「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
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東京大学誕生日研究会レイプ事件
はほぼそのまま、でもそれ以外は現実に起こったこととは無関係の、完全なフィクション。事件報道を見たときの…なんとも言い難い後味の悪さ…それにとことんこだわって書かれた小説らしいので、それはそれはもう後味の悪い小説に仕上がっています。
小説の大半は「事件前」に費やされていて、犯罪をした側、された側、そしてその周囲の人々のあり方が丁寧に、数年分に渡って緻密に書き込まれています。つまり、どうしたらこんな事件が起こるのかという問いに対する、作者的な一つの解答(架空ですが)ということになるのでしょう。
した側とされた側がどのようにかけ離れた人間であったのか。「人種が違う」という言葉がありますがこれは生物的な人種ではなくて、住んでいる環境、育てられ方、価値観とか発想とか、そういうことの隔たりのことですが、ともかくそういう意味でものすごく離れた人間であること。
そして、その遠すぎる距離感によって、実際は人間対人間でありながら、加害者側にとって相手はあまり「異質平等」な人間であるという意識がなく、単に自分の都合で利用して捨てればよい対象。玩具のような、という言い方もできるかもしれませんがたぶん違います…玩具ではかえっておもしろくないのではないでしょうか。相手が嫌がったり苦しんだりするからおもしろい、もしかしたら動物虐待と似た感覚なのかもしれません。
小説タイトルにもあるように、その隔たりを形作るものとして「学歴(というかいわゆる偏差値)」が描かれているわけですけれども、読んでいくとなんとなく、もちろんそういう面もあるんですけど、それ以前に、「男女」というところで既に大きなギャップが感じられます。頭の良し悪し以前に、女であることから即、利用対象としか見ていないという感じ。
最近読んだ漫画で、「ハコヅメ」のスピンオフ、というか番外編的な一冊読み切りで「ハコヅメ別章アンボックス」というのがあったのですが、これはまったく学歴差別とは関係なく、でも当該事件ととてもよく似た側面のあるストーリーです。
しょっちゅうDVでごたごたして警察のごやっかいになっている同棲カップルがいるのですが、別れるといっては何度もヨリを戻して元の木阿弥になることを繰り返したあとに、今度こそ別れた…別れるかな…というところで最悪の形で事件が起こります。
漫画の冒頭、間もないあたりで、大山という男性(後に事件の犯人となる)の描写として、女性警察官が応対しているとものすごく乱暴で勝手なことばかり言っていて話にならず、男性警察官に交代するシーンがあります。
女性警察官「大山の様子どうだった?」
男性警察官A「だいぶ落ち着いたよ」
男性警察官B「あの野郎まじ…」
女性警察官「いや…なんかさ警察官として現場対応してると…ああいう…異性に対してだととたんに声を荒らげたり自分勝手になる人たまにいるじゃん」
男性警察官B「あぁ…いますね本当最低…」
女性警察官「いや最低とか違う…なんか…」
男性警察官A「警察の仕事をする上での肌感覚として…同性である男とはコミュニケーションとれるけど 女性が関わった途端 人が変わるタイプがいるなぁとは感じるよね」
女性警察官「そうそう! あくまでいち警察官の個人的な感覚だけどそういう人って性格とはまた別の何かを感じて…あんま腹立たないんだ」
男性警察官A「さっき俺から一応カウンセリングも勧めてみたんだけど行く気はなさそう ただ保健所と連携とるべきような精神疾患という状態でもないし…」
結局、大山は身勝手な理由で女性を殺して遺棄するのですが、金銭的な得があるわけでもなく、殺さなければいけないような困った事情があったわけでもなく、なんだか他人からは理解しにくい殺人です。それはやはり、相手が対等な一人の人間という位置づけでないあたりから生じる発想なのでしょうか。
事件の起こり方、そして報道されるときに被害者が誹謗中傷されることがセットで、なんだかこの小説とこの漫画は似ているのです。
事件はまったく救いようがないもので…(実際の事件は殺人ではありませんが)
しかし、最後にほんの少しだけ救い(理解者)が現れるというところまでが、この小説とこの漫画は似ています。
ところで小説のほうでは、そういったギャップに、「彼女は頭が悪いから」の部分が絡んでくるわけですが、そのことについては、長くなったのでまた後日。
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