ANANDA BHAVAN 人生の芯

ヨガを通じた哲学日記

私の芯は

2020年11月01日 | 日記
私の芯は

 あなたの実体は何ですか?と問われて

 私に実体は有りません、私とは現象世界の因と縁とで形作られた仮の姿ですから。

 と答えるならば、あなたは仏教の人です。

 現象世界はマーヤー(幻)で有り、現象世界の実体はブラフマン(梵)。そしてブラフマン(梵)が私個人に内在する時に、それをアートマン(真我)と言います。私の実体はアートマン(真我)です。

 と答えるならば、あなたはヴェーダーンタ思想の人です。

 心と身体と環境世界は同根でひとくくり、これ等は全て現象世界の範疇に有ります。そして私の実体は心、更には自我意識だと思っていましたがそうでは無く、私の実体は現象世界とは全く別の真の自己でした。

 と答えるならば、あなたはサーンキヤ哲学の人です。そして私はサーンキヤ哲学が大好きです、私の芯はサーンキヤ哲学です。

 私の芯はサーンキヤ哲学なのですが、サーンキヤ哲学では現象世界の事をプラクリティと言いまして、真の自己の事をプルシャと言います。そしてプラクリティはプルシャの覚醒を促す為にダンスを踊って見せる。プルシャは活動する事無くプラクリティの踊りを見るだけです。サーンキヤ哲学はプルシャとプラクリティが並立する二元論なのですが、感覚として見ればプルシャが主演男優でプラクリティは助演女優と言ったところですね。

 ところがタントラ、タントラはサーンキヤ哲学の発展形なのですが、タントラではサーンキヤ哲学のプルシャをシヴァ、そしてプラクリティの事をシャクティと呼びます。シャクティとは女性の性的なパワーを神格化したものです。シャクティはクンダリニーとも言いまして、三巻半にとぐろを巻いた蛇の姿をしていて身体の一番下のチャクラ(輪)に眠っています。このクンダリニーが目覚めますと下から順に7つのチャクラ(輪)を突き破りながら身体を上昇し、最後には頭頂に居るシヴァと合体して至福が実現します。ここではシヴァが男性、そしてクンダリニーが女性と言う事になりますね。

 先程サーンキヤ哲学はプルシャ(真の自己)とプラクリティ(現象世界)が並立する二元論だとしたうえでプルシャ(真の自己)が主演男優でプラクリティ(現象世界)を助演女優だと言いましたが、タントラではどうもその逆で、シャクティ(クンダリニー)が主演女優でシヴァは助演?男優のようです。

 タントラは身体を大切に扱い、またイマジネーションの羽を大きく羽ばたかせます。ハタ・ヨガ(タントラ)に有ってヨーガ・スートラ(サーンキヤ哲学)に無いもの、例えば(数多くの)アーサナ、バンダ(締め付け)、ムドラー(印)、クリヤー(浄化法)、チャクラ(輪)、ナーディー(脈管)、クンダリニー(シャクティ)等、捨てがたいですね。そして私はシャクティ(女性の性的なパワーを神格化したもの)にはドゥルガー女神を想起します。ドゥルガー女神はまさに主演女優です。

 私の芯はサーンキヤ哲学なのですが、更に加えてシャクティ信仰も私の芯です。

 インド思想は大変に緻密なのですが、そこにいきなりシヴァ神やドゥルガー女神等の神様が登場します。何とも曖昧な思想の熱帯雨林に入ってしまうようですが、この曖昧さもインド思想の堪らない魅力ですね。








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