本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~【映画】

2010年06月10日 | 【映画】
DVDで鑑賞しました。
「南極料理人」と同じく、これも劇場で観たかったの…。
ベースとなった原作「ヴィヨンの妻」も
要素の加えられた「桜桃」も
読んだことがなく、原作未知の状態で観ました。

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戦後の混乱期、酒飲みで多額の借金をし浮気を繰り返す
小説家・大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)は、
夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため飲み屋で働くことに。
生き生きと働く佐知の明るさが評判となって店は繁盛し、
やがて彼女に好意を寄せる男も現れ佐知の心は揺れる。
そんな中、大谷は親しくしていたバーの女と姿を消してしまい……。
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映画としては完成度は高かったと思います。
役者の演技力に助けられている感は否めないけれど。
松たか子が本当に素晴らしかった。
他も、広末涼子が若干浮いてたくらいで、
全体の雰囲気としてすごくまとまりがあって良いと思います。
個人的にはブッキーが超素敵です。


一見すると、ヒドイ男とその妻、という話ですが、
「桜桃」を大谷、「タンポポ」を佐知に置き換えると、
結局のところ愛し合っている夫婦の話なのかなと。
弁護士事務所を後にした佐知のシーンで
“誠実”なタンポポが映っているのを見て感じました。

誠実なタンポポが、自分の信念を持って不誠実を行うシーンは
演出も悪くないし、松たか子が本当に美しいです。
その行動が正しいかはまた別だけど。


ちなみに。

あたしは恐らく佐知に近いタイプの人間なので、
ちょっとだけ共感。
ダメな男に献身的に尽くす女は惨めに見えるけど、
昔の恩なのか、たまに見せる幼さなのか、
それともこんな男を選んでしまったことへの諦めなのか、
広い意味では全部ひっくるめて愛なのかなと。

まぁ、昨今のように結婚・離婚が簡単な時代じゃないからというのもあるかもしれないけど。
ただ、さすがのあたしもこんな男は見放すわ(笑)。

ラストシーンは、
きっと監督の渾身の映像なんでしょうね。
綺麗でした。

でも、ちょっと最後のセリフに違和感。
「人でも、生きてさえすればいいのよ。」
あれ、そんな軽くていいの??みたいなね。

でも時間経って考えてみると、
「死にたい死にたい」と繰り返していてそれを実行した大谷に対して、
「家族3人で生きていればそれで幸せ」と繰り返していた佐知の
終始一貫した願いを口にしたんだと思います。
一体、どっちが愛なのか。
そう考えると、結構深いです。



最初から最後まで同じトーンなので、
退屈に感じる人もいるかもだけど、
意外と引き込まれる話なので、あたしは満足。
昭和初期の風景とか、これぞ邦画、て印象で
確かに海外ではウケそうな気がしました。
秀作だと思います。

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