本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

素晴らしい世界【マンガ】

2010年02月24日 | 【マンガ】
浅野いにおの初期の短編集を読みました。

あー、なるほど。

若いなぁ。

というのが、最初の感想。


彼はあたしと同世代ですが、
これを書いたのはきっともっともっと若い頃だと思うので、
完成度は、今に比べたらそりゃあ・・・てトコですが。

それ以上に、「若さ」「青臭さ」「未熟さ」(画力とかではなくね。)が
全面的に表れていて、
何だか読んでいてもどかしくなりました。

だから、という訳ではないかもしれないけど、
Amazonのレビューは評価が割れてました。

同じ短編集だと、
「世界の終わりと夜明け前」に比べて、
http://blog.goo.ne.jp/analogue-tanako/e/b88517cc13c5ef80d8fa661f5eff4c0c
世界感にリアリティが薄い気はします。
日常の何気ないヒトコマを描いているのに、
どこか浮世離れしている感じ。

あたしは、キライではないですが、
やはり「世界の終わり~」の方が読み応えはありました。
まぁ、キャリア的な問題なんでしょう。仕方ないやね。


しかしながら。

「おやすみプンプン」を読むのが辛くなってきたあたしにとっては、
この位、ライトなマンガは有り難く。

あたしも疲れてるんかなー・・・。
もしくは歳をとったのか(笑)。


個人的には、評価ががっつり割れている、
1巻の表紙になっているエピソードが好きです。
それと、長く付き合ったカップルの話。

あとは、ラストカットが、キレイでした。


日常の小さな幸せを描いたこのマンガは、
タイトル通りの「素晴らしい世界」感が表現されていると思います。

でもあたしは、
更にもう少し、の幸せを願いながら読んでました。

そこらへんの微妙な匙加減が、
やっぱり浅野いにおは巧いと思います。


ただ、前述しているようにリアリティは薄いけれど、
キレイにまとまった話なので、読んで損な感じはないです。
その後の「ソラニン」等の作品に投影されているような印象もあるから、
ファンはその辺も楽しめるかも。

とりあえずは、
いにおユーザーにのみ、オススメです。

百姓貴族【マンガ】

2010年02月22日 | 【マンガ】
おいおいすごいタイトルだな、と思ったら、
ハガレン作者の漫画だった・・・。

エッセイマンガが大好きなあたしは(そうだったっけ??)
即、購入。

そして週末、
「牛さんの漫画」という愛称がついたこの本は、
相方と共に取り合いになりました。


いやー、ほんとに面白かった。

個人的には農業高校エピソードがかなりツボでした。


あたしの実家も農家のため、分かるエピソードもちらほら。
でもうちは兼業だったし、父母もがっつり農業に従事していた訳ではないから、
純粋な「農家」エピソードに、感動。

読み終えた後に、
食べ物に、生き物に、農業という文化に、
より一層感謝の気持ちが増します。ほんとです。




著者の荒川弘氏の創作力・表現力は、
ハガレンで実証済みですが、
ハガレンコミックス巻末の4コマ漫画に表れていた細かい笑いのセンスが
この本ではがっつり活かされていたと思います。


タメになるのに、超面白い。

農業に対する愛情が伝わる本。


おすすめです。


ちょっとした教科書にもなりそうなので、
いつか子供が出来たら読ませたい漫画です。

ですが、

使われている言葉や表現されているエピソードが、
どちらかというと“荒い”ので、
やっぱり大人向けかも。わはは。


荒川弘氏は女性のはずなんですが、
失礼ながら、ホント、男気のある人だなぁといつも思います。
いやはや、カッコいいっす。

くだらない葛藤。【映画】

2010年02月18日 | 【映画】
「第9地区」オフィシャルサイト
http://d-9.gaga.ne.jp/


「Dr.パルナサスの鏡」を見に行った時に予告を見て、
これは大変なB級映画が来たぞ、と
相方と共に、変に期待してしまった本作。

ただ決して、
「是非見たい。」という種類の期待ではなかったんだけど。


何と、

アカデミー賞作品部門の候補になっているではないか!!!



・・・どうせ「アバター」の当て馬なんだろうけども。



でも、どうしよう。

超気になるんですけど。



興味だけで見に行くとエライことになるのは知っている。

特にSFは。

過去、何度も痛い目を見て来た。



SF=B級、という、
あたしの屈折した価値観を打破してくれればいいんだけど。

・・・てか、さりげなく見に行こうとしている自分。



公開時まで興味が持続していれば・・・

と保険をかけておきたいと思います。





心底、どうでもいい話ですいません…。

サベイランス【映画】

2010年02月16日 | 【映画】
デビッド・リンチの娘、ジェニファー・リンチの監督第二作。

前作は見ていないんですが、
どうやら酷評されたとか、されてないとか・・・。

確かに、娘リンチ(何かヘンな言葉だなw)作品だと知らなければ、
あまり話題にもならなかっただろうな。
でも映画祭でそこそこの賞を獲ったというからには、
やっぱり気にはなるのよね。

という訳で、全国で唯一上映しているシアターN渋谷へ。
純粋な単館映画を見るのは久々でした。


さて。

R-15指定の割には普通、というのが正直な感想。

前の回を見たお客さんとすれ違った時に
「血、出過ぎじゃね??」と言っていたのが聞こえたんだけど
そうでもなかったと思う。慣れたんかな。
血の量で言ったら、同じR-15でも「BR」とか「キル・ビル」の方が・・・。
でも、他の映画に比べて生々しさはありました。血がリアルな感じ。
どっちにしても、趣味はよくないです。


ストーリーは、ドンデン返しを期待させる作り(及び宣伝)なんだけど、
あれ??意外とこんなもんなんだ・・・という感じ。
ガッツリ気を張って見ていると、ちょっと拍子抜けするかも。

父リンチの映画よりは圧倒的に分かりやすので、
映画としては、いささか見やすいですが、
“そうだったのか!!”というヤラれた感はあんまりなかったです。


ちなみに。

何かの記事で、この映画の結末について、
あの父リンチでさえも大反対し、それでも娘は自分の原案を押し通した、
というエピソードを見ました。

おお、アグレッシブだな~、と
娘の考えた方がドギツイ結末なんだろうと勝手に予想していたんです。

でも見てみたら、案外普通の結末だったので、
もし父リンチ案の結末だったらどんなことになっていたんだろう、
と逆に興味が湧きました。

まぁ、たらればの話をしても仕方ないですが。


とりあえず、目新しさはあまり感じられなかったです。
興味あったら、DVDでも良いかも。

ボーイズ・オン・ザ・ラン【映画】

2010年02月12日 | 【映画】
予告編を見た時に、あ~峯田かぁ・・・と思いつつ、
だから実はあんまり重要視してなかった本作。
(役者としての彼が、あんまり好きではないんです。多分。)

あたしよりも相方の方が、気になっていたみたい。

そこがすでに、この映画の本質。
女子よりも、男子の支持率が高いであろう映画でした。


29歳、さえない素人童貞の、うまくいかない恋愛の話。

これだけ見ると、母性をくすぐられそうなもんだけど、
100%純度の男目線だから、如何せん、同世代女子のあたしにはしっくり来ず。

主人公・田西が空回る気持ちは分からんでもないんだけど、
ホント、前半は、何回か「マジでコイツ殴りたい!!」と思いながら見てました。
不器用の次元を超えてるんだよね(笑)。
絶対、もっとうまく生きられるはずなのに。


でも後半。

そんな田西という男を、いつの間にか応援してしまっている、自分。


そんな男ほっとけばいいのに。
とか、
そんな女やめとけばいいのに。
とか、
色々流せばいい、という現代っ子な発想とか、
関わらない方がいい、という理性とか、
そういうの全部凌駕して、
もう何でもいいからとにかく頑張れ!!!と思わされてしまった。


これは峯田の存在力と、
監督の構成力の勝利だなぁと思います。

人間関係の描き方も良かったです。みんな魅力的。
リリー・フランキー、小林薫、松田龍平をはじめ、
本当にキャスティングが上手くて、
全く違和感を感じなかった点では、
いまのところキャスティング力は今年一番の映画かも。

峯田が漫画を読んで書き下ろしたというだけあるテーマ曲も含め、
何というか、原作・脚本・演出・役者・音楽、その他諸々が
ここまで全体的にきちんとまとまっている映画を久々に見た気がします。


本作、男子にはおすすめです。
女子はね、分かんない。(笑)

たぶん。
最初のアレを、浮気とするかどうかで、
感想はきっと大きく変わると思うんだよねー。

あたしはあれは浮気だとは言い切れないと思うけど、
その後、絶対にギクシャクすると思います。
結婚式での場面でも、やっぱり似たような反応すると思うな。
その辺も、すごく上手い。


期待度が低かっただけに、満足度が超高かったです。
こういう感想も、映画の醍醐味だなー。