本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

子供はわかってあげない【マンガ】

2015年03月25日 | 【マンガ】



ずっと気になってた作品なのですが、
最近荻窪TSUTAYAが始めたコミックレンタルに在庫があったので、
これ幸いと借りて読みました。

「純潔のマリア」買ったばっかだっつーのに、「寄生獣」も読みたいのに、
もー、ほんと、参った。
これちょっと、良いですよ。自分で買っちゃいそうなくらい好きです。
ちょっとしんどくなった時に読み返したい本、というか。

ちなみに。

読んだ翌日に発表になった『マンガ大賞2015』では、第2位にランクインしてました。


納得です。ほんと。

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水泳×書道×アニオタ×新興宗教×超能力×父探し×夏休み=青春(?)。
モーニング誌上で思わぬ超大好評を博した
甘酸っぱすぎる新感覚ボーイミーツガール。
センシティブでモラトリアム、マイペースな超新星・田島列島の初単行本。
出会ったばかりの二人はお互いのことをまだ何も知らない。ああ、夏休み。
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上下巻なのですが、量ではなくストーリー運びのおかげで一気に読めます。


高校生男女の出会いから始まる恋愛、
新興宗教の犯罪がらみの調査に始まるサスペンス、
心温まる人情劇、等々、
この2冊に、様々な要素が詰まった作品ですが、
どれもこれも、バランスが良いです。

何つー、甘酸っぱい話だよ!!!と思わざるを得ませんが、
絵のおかげか、これがくどくなくて良いのですよ。
そもそも恋愛描写が、私の好み過ぎるのです。告白シーンとかもう、最高としか言えない。


あとは言葉の使い方がとても上手で、心に響きます。

登場人物はみんなそれぞれ苦労人ですが、
嫌な人が一人もいなくて、その関係性がとても温かい。
だけど、単調にならずに、不器用な会話によって、
心同士のやり取りが、間接的に読者に伝わるという感じでしょうか。

もじ君とサクちゃんのやり取りを始め、
言葉少なに、その関係性をしっかりと伝えることが出来ているのは、
この作者の作画力および表現力故だと思います。


ちなみに。
私は、本編でとても好きな言葉がありました。


『とにかく先手を打つことだからな 人生は
もし今なんか苦しいって思ってるんだったら
それは後手に回ってるからだ
一回引いてまたやりなさい』

これ、しんどい時ちょっと思い出すな。
この言葉があっただけで、もう大好きな漫画になりましたよ。




『マンガ大賞』が発表になった今、正直いまさらオススメするのもあれなんですが、
間違いなく、改めて買うことになります。
そのくらい、素晴らしい作品だと思いますので、
気になっている人は、読んで損はないかなと思います。


ただちょっと不安なことが。

メディアミックスが激しい昨今、
本作は、実写映画化として狙われそうな予感がします。

それ自体は否定はしませんが、やるのであれば、きっちりと。
間違っても、名前だけ知られてるだけの巨匠監督や、売り出し中のアイドルでは止めてほしい。
どうかどうか。よろしくおねがいします。

純潔のマリア【マンガ】

2015年03月23日 | 【マンガ】



日曜の夜にMXTVでアニメをやっていますが、
これがちょっと面白くてですね。
原作読んでみたいなあ、と買ってしまいました。

全3巻+番外編1巻。
最近は、長期連載作品が多い中、非常に良心的です。

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戦争絶えぬ中世・百年戦争中のフランス。
戦を嫌う処女で聖母の名をもつ魔女・マリアが
夜な夜な戦場にサキュバスを遣わし、戦争をかき乱す。
しかし、その天界の方針に沿わない行動のため、
マリアは大天使ミカエルに目をつけられ、
制裁として純潔(処女)を失ったとき魔女としての力も失うようにされてしまう。
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作者は、「もやしもん」が有名な石川先生ですが、
こういった作品も書くんですね。ちょっと意外。

でも、至る所に散りばめられたギャグ要素は、
「もやしもん」にちょっと通じるところはありました。
(言うほど「もやしもん」もあんまり読んだことはないのでイメージですが・・・。)


中世ヨーロッパ、は世界史でも私の苦手とする分野で、
なおかつ、題材が宗教色が強いのでどうだろうとは思ってましたが、
宗教の偏った要素があまり好きではない私にとっては、
この物語の主人公・マリアのキャラクターがどストライクで魅力的でした。

NOを突きつける理由が、自分が気に入らないから!とか、
どんだけ自己中心的だよと思いつつ、
やることにおいて、いちいち一本筋が通っていて、単細胞で、小気味良い。
彼女の魅力が、この作品自体の魅力に通じており、
彼女に魅せられた脇役キャラも、しっかりと立っているのが良いのだと思いました。


物語自体は宗教色が強く、一見否定的に見えるのですが、
まとめ方は、それほど否定的ではないです。
題材は宗教だけれど、多分主題は違うんだよね。
ちょっと力技な気もするけれど、思想観に対して救いのある、良いまとめ方をしていると思いました。

あと、作風として、下ネタの使い方が個人的には好きですね。
直接の描写はほぼ無いですが、言葉の使い方で笑わせるセンスが良いと思います。
合わせて、恋愛描写の決め方が上手い。
あの見開き2ページだけでも、ラブコメ嗜好な私には、買ってよかったと思わせるクオリティです。


正直、作画がすごく好き、というわけではないのですが、
アニメきっかけでも、買って良かったです。好きです、この作品。

オススメです。

九州よりこんにちは。【雑談】

2015年03月18日 | 【雑談】
月に2回更新というペースにて
雑談を失礼します。


秘書から異動し3ヶ月。
まあ、忙しいっす。


通常、忙しいのはありがたいことでございますが、
企業にとっては、我が部署は忙しくない方がありがたい、という、
まあ、特殊な部署であります。

産休代員としての異動ですが、
仕事は楽しくて、
やることが尽きなくて、という感じ。
色々と経験させてもらえるのは、
個人的にはとても嬉しいし、ラッキーだなと。

願わくば、20代でこういう働き方が出来ていたら、
自分のスキルももうちょっと上がってたかなと思うので、
少し遅めのビジネスマン盛りを満喫中。

ちなみに今日から、九州出張に出発です。
会社費用なので、しっかり働いて参りますともー。


ただ。

毎日に張り合いがあるのはありがたいことですが、
自分の生活に対して手抜きになるのが、
私の、最も悪いところでありまして。

しっかり改善すべく、
それも含めて、頑張りたいと思います。

地に足つけて、日々を大切に。

フォックスキャッチャー【映画】

2015年03月13日 | 【映画】


@ユナイテッドシネマとしまえん

実話が元ネタの映画には、所謂フィクション映画よりも、
観客としての好奇心が上乗せされるからか、
より興味が沸く、というのは、きっと私だけではないと思っています。

本作は出演俳優が少し地味ですが、
「40歳の童貞男」のスティーブ・カレル、
「21ジャンプストリート」のチャニング・テイタム、
と、地味ながらにも印象に残る2人が名前を連ねていたので、
私にとっては、今年必見の映画No.1でした。

とはいえ。

前述した2名の俳優が印象つけた作品は両方ともコメディ。
本作では、2名ともほぼ笑うことなく、
180度違う印象で、好演していました。

カレルはアカデミー主演男優賞にノミネートされてましたが、
納得だと思います。超絶怖かったですとも。


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大学のレスリングコーチを務めていた
オリンピックメダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、
給料が払えないと告げられて学校を解雇される。
失意に暮れる中、デュポン財閥の御曹司である
大富豪ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、
ソウルオリンピックに向けたレスリングチーム結成プロジェクトに勧誘される。
同じくメダリストである兄デイヴ(マーク・ラファロ)と共に
ソウルオリンピックを目指して張り切るが、
次第にデュポンの秘めた狂気を目にするようになる。
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映画としては、淡々としています。
が故に、終始画面から不穏な空気が漂っています。

ポスターで謳われているのは『資産家が金メダリストを射殺する』ことのみ。

実際は何が起きたのか、ということが、
説明されずに時系列のまま話が進むので、
映画自体も不穏なまま、観客を取り込み、そして物語を終結させます。

その空気感を作り上げているのは、間違いなく、
ジョン・デュポン氏を演じたスティーブ・カレルです。
言葉が少なく、無表情で、何を考えているか分からない資産家。
後述で考察しますが、この姿を具現化するにふさわしい演技力でした。
最優秀は逃しましたが、名演でした。本当に。
また、ここに対峙する、マーク・ラファロとチャニング・テイタム演じるシュルツ兄弟も、
光と影、繋がる絆、というところで、兄弟同士、及びデュポン氏含めた三角関係を
微妙且つ絶妙な距離感で演じていました。
2人揃っての、ナイスキャスト・名演合戦という感じでしたね。


さて。
ここから、ネタバレありきで私考を書きます。
(※まっさらな気持ちで映画を見たい方は読まないで下さいね。)




wikipediaで読むと、デュポン氏の動機については諸説あるようですね。
本作はそのうちの一説、という印象。

簡潔に言えば、
歪んだ家庭環境により精神的に孤独だったデュポン氏が、
兄にコンプレックスを抱くマークに目をつけ、
彼を手懐けることで確立しようとした自分の存在意義が、
本物の兄弟愛には適わなかったことを見せつけられたことで、
その矛先を、兄であるデイヴに向けた、というのが大筋だとは思います。


だいぶ簡潔に書きましたが、
本作で描かれている、3人が3人なりの葛藤があり、
その関係がもつれていく様の描写は見事です。


年齢の割りには幼い精神の持ち主であるが故に、
兄に対する感謝と反抗心が表裏一体となっている、危うい弟・マーク。

母との関係が影響していることが揶揄されていますが、
言葉少なく、無表情で、終始寂しげな、資産家・デュポン氏。

一見すると利害が一致したように見えますが、
フォックスキャッチャーに立ち尽くす2ショットの背中の、何たる危うさか。

それぞれが心の拠り所として落ち着いた矢先に、
マークの真の拠り所であるデイヴの登場によって、関係が揺らぐわけです。

歪な三角関係と、その行く先。

クライマックスに向けて煽られる、
不穏な空気感の描写もまた見事。

ラストは、ただただ、哀しいばかりですが。



何が原因だったか、と言われたら断定するのが難しいですが、
決して必然的に起こったわけではないけれど、
防ぐのもまた難しかったのかもしれない、とは思いました。

糸のほつれ、と表現すると陳腐ですが、
解けてしまったら、元に戻すことは出来ずに、
破壊することでしか完結しないのかもしれない。

陳腐な例えで恐縮ですが、
編み物も1目飛ばすと、私のような素人は取り繕うことも難しいので、
ほどいて最初からやり直し、という方法しか見当たらないのです。
ちょっとだけ、似てるのかなと。


ゆるく例えても、とても悲しい話には違いないのですが、
やり直すこともまた破壊から始まると考えるのであれば、
バッドエンドの中でも、これから再生に向かうマークの人生が
物語の希望になればいいな、と個人的には思いながら見ていました。
なかなか、難しいとは思いますが、
実在のマークが指導者としてレスリングを続けているという一文が、
この物語の唯一の希望かなと思いました。


淡々としていて、静かな映画なので、
睡眠不足時にはオススメできませんが、
この不安を煽る空気感だけでも圧倒される映画だと思います。

アカデミー賞には地味だったかもしれないけど良作です。

さよなら歌舞伎町【映画】

2015年03月02日 | 【映画】



@テアトル新宿

初日くらいに観たのに、順調に更新が滞っております。。。

廣木監督の印象として、率直に言うと、
"作風がブレる"というイメージでした。

自分が本当に撮りたくて撮った映画と、
お金やらスポンサーやらの希望によって起用されて撮った映画で、
ものすごく、力の入れ方が変わる、みたいな。
まあ、どの作品がどっち、というのは控えますが。

実際見ていない作品も多いので、出来については何とも言えませんが、
後者の方は、観たくもならない作品が多い、というのが私の正直なイメージです。

・・・まあ、映画監督として長く手腕を振るうには、必要なのだと思います。


毒吐きからスタートしましたが、
「さよなら歌舞伎町」は、私としては前者だと思ったので、
非常に興味を持ち、見に行きました。

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一流ホテル勤めと周囲に偽りラブホテルの店長をしている徹(染谷将太)は、
ミュージシャンを夢見る同居中の恋人・沙耶(前田敦子)との関係が
倦怠期になりかけていた。
歌舞伎町にあるラブホテルに出勤し多忙な1日が始まるが、
ホテルでは家出少女(我妻三輪子)と来店した風俗スカウトマン(忍成修吾)、
時効を間近に控え男(松重豊)と
潜伏生活を送るホテルの清掃人(南果歩)など、
年齢も職業もさまざまな男女の人生が交錯し……。
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歌舞伎町を舞台に繰り広げられる群像劇、という
そのままの展開ですが、
きれいにまとめられてはいます。

色々と予想がつくことが多いので、
結末や、各エピソードのつながり自体に意外感はないのですが、
それでも、場面場面で交わされる会話や言葉の使い方は
上手いしきれいだと思います。

私が特に気に入ったのは、ラブホ店長と韓国デリヘル嬢のロビーでの会話。
直接的なつながりはなくても、顔を合わせていればこその世間話が、
すごく自然で、いい感じの距離感を感じました。

エピソードとしては、キャッチと家出女子高生の話と、
南果歩・松重豊の話は、結構好きでした。
王道なんだけど、救いが分かりやすかったし、
短くしっかりとまとめられているのも良かった。


しかしながら。

前述していますが、描写が分かりやす過ぎるところも多々あり、
予想がつくエピソードが多いのが少し残念。
ちょっと薄い、という意味では、陳腐なロードムービーと近い
人間ドラマを描く上で、描写はもう少しずつ小出しにしても良かったかなとか、
予想外展開がもうちょっとあってもいいかなと。フィクションなんだし。

・・・まあ、この辺はあくまでも個人的な好みですが。
好きなジャンルゆえ、ちょっと物足りなかったなあと思います。


俳優陣については、韓国の女優さんが上手だったなあという印象です。
あとは、妹や家出女子を演じた若い女優さん達も、結構体当たりで良かったです。
染谷将太は、ああいう飄々とした役は得意だと思うのでいつも通りなのだけど、
前田敦子は、ちょっと気合いが足りなかったかなあ。

個人的には「苦役列車」と「もらとりあむタマ子」で彼女の頑張りを観てきたので、
彼女に対しては好意的なのですが、本作はもう少しがんばりましょう、という印象。
悪くはないんだけど、"そこにいるだけ"で、
キーマンとしての役割や存在感がまるで無いんです。
まあ、R指定作品であの程度じゃあ、仕方ないのかな。

話が逸れますが。
女優は脱げばいいとは思ってませんが、
事務所の圧力だろうが何だろうが、"女優が脱げない"という空気が、
観客に伝わったら、ダメだと思うんですよ。
旬な女優さんであればある程、そういうのが顕著で残念な気持ちになるんです。

今回は、ちょっと見え隠れしてしまったかな。
次回作では頑張ってね、とは思います。



作品自体は、可もなく不可もなく、という印象なので、
印象の地味さと出来の地味さに、大きな乖離はありません。
それでも、駄作というわけでは決してないので、
この空気感が好きな方には、ハマるかも。

・・・ただ歌舞伎町って、
こんなにやわらかい雰囲気の街ではないと思うのだけどね。