@シネマカリテ
アカデミー賞脚本賞ノミネート作品です。
でも、余り知られてない気が。
主演のジェイク・ギレンホールは中々地味ではあるし、
派手な演出もない映画ではありましたが、
それでも、こういう映画こそしっかり海外でも評価され得ると思うし、
この類の作品を、もっともっと日本の映画館で観たいなあ、と思うのは、
私だけではないはず。
結論。面白かったんですよ。
-----------------------------------------
人脈も学歴もないために、仕事にありつけないルイス(ジェイク・ギレンホール)。
たまたま事故現場に出くわした彼は、
そこで衝撃的な映像を撮ってはマスコミに売る
ナイトクローラーと呼ばれるパパラッチの姿を目にする。
ルイスもビデオカメラを手に入れ、警察無線を傍受しては、
事件現場、事故現場に駆け付ける。
その後、過激さを誇る彼の映像は、高値でテレビ局に買い取られるように。
やがて局の要望はエスカレートし、
それに応えようとルイスもとんでもない行動を取る。
-----------------------------------------
ミステリーとか、サスペンスの類ではありませんが、
最終的にどう決着させるのか非常に気になり、
ラストまで一気に見せる骨太さがある作品です。
アメリカのマスコミの倫理がどの程度のものかは分かりませんが、
多かれ少なかれ、日本でも共通するような問題はあるので、
問題提起作品としても優れていると思います。
恐らく、本作が巧かったのは、その提起のしかただと思います。
"倫理"と"報道の自由"という相反する要素について、
主人公は、作中で全く葛藤している姿が見えないんです。
周囲の人間から苦言を呈されつつも、
自分のポリシーとか、信念とか、あまつさえ過剰なプライドとか振りかざして、
真っ直ぐに、"倫理"を無視して進むんです。
が、故に。
スクリーンのこっちにいる私達観客自身の中に葛藤を生ませる、というか。
あああ、もう、何なんだコイツ!!!て思いながら、
ちょっとした処罰感情が芽生えながら観てしまっていて、
物語が終わる頃には、どっぷりと作品の中に自分自身が入ってしまってました。
だからこそ、爽快感とかは、余りない展開ではあるんですけどね。
おっとこれ以上はネタバレか。
・・・まあ、色々と、さすがにやりすぎだろうよ、というツッコミもありますが、
それはそれで、更なる問題提起につなげているというか。
観客の引き込み方がさり気なく、且つ非常に巧みで、
脚本もですが、演出も素晴らしかったです。
突っ込みどころがない映画。久々に当たったなあ、という感じ。
俳優陣も言わずもがなですが、素晴らしい。
途中から、葛藤を通り越して嫌悪感すら抱く程度には、、
ジェイク・ギレンホールが、物凄く下衆でした。褒めてます。
彼は、イケメンではないけれど、眼力がとても強いので、
狂気を表現するのが上手ですよね。この役本当にピッタリ。
いるよね、ああいう人。私ものすごく嫌いなタイプ。ぶん殴ってやりたくなりました。褒めてますよ!
それと、レネ・ルッソも、ちょっと年齢重ねてて、でもそれがしっかりハマッてて、とても良かった。
あとね、相棒役の男子。
最初頼りないんだけど、演技と演出と話の展開で、
彼がだんだんマトモに見えてくる感じも、巧いなあ、と思いました。
繰り返しになりますが、派手な映画ではないです。
話の筋の都合上、爽快感も無いです。
でも良作です。自信持ってオススメできる映画です。
ほーんと、つまんない邦画ばっかり上映しているシネコンで
こういう良作を扱えばいいのにね。
一映画ファンの独り言です、あしからず。