本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

アメリカン・ハッスル【映画】

2014年02月24日 | 【映画】
@ユナイテッドシネマとしまえん

アカデミー賞発表前、ノミネート作品が盛り上がっております。
「アメリカン・ハッスル」は、公開から結構経つのですが、
あ、まだやってるね、ということで、観に行って来ました。

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詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と、
その相棒で愛人のシドニー(エイミー・アダムス)。
彼らはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されるが、
無罪放免を条件におとり捜査への協力を持ち掛けられる。
それは、架空のアラブ人富豪をダシに、
カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網打尽にするというもの。
アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、
二人の仲を嫉妬(しっと)する
アーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をする。
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上映時間、ちょっと長いです。
ただ、ドラマとして、コメディとして、とても面白かったです。

詐欺師が題材で、且つ、物語の本筋を知らずに見たのですが、
最初から最後まで、誰を信用していいのか分からず、
なかなかにハラハラドキドキしました。
この登場人物に肩入れしたいんだけれど、
でも、真相心理ではどう思っているの・・・?と思いながら、
疑心暗鬼の2時間半は、結構しんどかったです。

とはいえ、話の筋がしっかりしているのと、
キャラクターの個性が、話の展開とともにどんどん立ってくること、
何よりも、見せ方が上手い、という意味で、飽きずに見られる映画だと思います。

私は、特に、あのチリチリ刑事が最初っから大キライで(笑)、
コイツ腹立つわー!!!と思ってたら、まあ、最後でスッキリしました。
実話も少し入っているとのことですが、実録コメディとしてとても良く出来ています。

多分、本作において、善人と悪人の区分けが曖昧だからこそ、
観客が疑心暗鬼のまま、物語が続くんだと思うんです。
だからこそ、ラストの展開で、それまでのモヤモヤを吹き飛ばせるくらいの爽快感も得られる。
この辺の構成も非常に上手い。脚本が素晴らしいんでしょうね。


役者については、ほぼ全員アカデミー賞ノミネートされていますが、
文句なしに良かったと思います。
特に方々で言われているジェニファー・ローレンスは、素晴らしいですね。
まだ20代前半なのに、作中での風格は完全に40代です。スゴイなあ。
クリスチャン・ベールは顔こそ一緒だけれど、ブルース・ウェイン(@バットマン)の見る影もない体型で、
エイミー・アダムスも、ブラッドリー・クーパーも、胸にイチモツ抱えてそうな役を
非常に巧みに演じていたように思います。
(ブラッドリー・クーパーなんか、ちょっとキライになりそうだったもんね。。。)
個人的には、市長役のジェレミー・レナーがとても魅力的で素敵に見えました。
誰かしらは受賞するかと思いますが、最有力はやはりジェニファーじゃないのかなあ。
彼女のおかげで、全く興味のなかった「世界にひとつのプレイブック」も見る気になったので。


詐欺、という行為が決して許されるものではないながらも、
非常に面白おかしく警察を小馬鹿にした感じとか、
良心の呵責とか、人間が自然に持つ情とか、
そういった人間くささが、よく描かれている作品だと思います。

公開から結構経って何を今更という感じですが、
面白いので、良ければ是非。

新しき世界【映画】

2014年02月18日 | 【映画】
@シネマート新宿


観た!超絶、面白かった!

でもちょっと時間なくて感想記事、更新出来てません。。近日中には!


取り急ぎ。
全力でオススメですので、
間に合ううちに映画館へ、是非。

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加筆です。


キャパ僅か60席。
こんな狭い劇場で、こんな良作を上映している。
もっともっと広げるべきではないですかね??

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韓国で有名な犯罪組織の幹部チョン・チョン(ファン・ジョンミン)の
右腕としても認められているジャソン(イ・ジョンジェ)。
だがその正体は、カン課長(チェ・ミンシク)に潜入捜査を命じられた警察官であった。
警官の職務を果たそうとするも、
自分と同じ中国系韓国人であるチョン・チョンとの間に生まれた
兄弟のような情と絆を裏切っていることに苦悩するジャソン。
そんな中、組織のリーダー急死を契機にした後継者争いが勃発、
さらに組織の一網打尽を目的とした捜査作戦が動き出す。
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”マフィアへの潜入捜査”という題材だけで、
「インファナル・アフェア」を引き合いに出されることが多いようですが、
私は、「インファナル・アフェア」をほぼ覚えていなかったので、
全然別物として観ることができました。
やはり一方通行の方が分かりやすくてよいね。

ハリウッドリメイクが決まっているとのことなのですが、
こういう骨太の人情ドラマが、アメリカがお金をかけることで、
人情<背景、にならないといいなとは思います。

ちなみに監督は女性だそうです。
えええ!すげえ!!と思っていたら、
韓国映画の中で、私の個人的ベスト3に入る「悪魔を見た」で
脚本担当されてた方ですって。
日本の女子に、この映画は撮れない気がするなあ、アッパレ。
(あ、もちろん、日本の女性監督には、日本らしい長所が沢山あるのですよ。)



正直、途中までは、まあまあかなー、くらいだったんですが、
ラストシーンで、全部持って行かれました。
相方も、鑑賞後に同じことを言っていたけれど、
このジャソンの笑顔に尽きるんでしょうね、この作品。

潜入モノ、のイメージは、やはり主人公の葛藤メインという感じで、
実際、本作のポスターの売り文句もそんな感じだったのですが、
私個人としては、ジャソンの中では、結構序盤から腹は決まっていた気がしました。
彼の中での"新世界"とは、何なのか、ということがね。


ここからネタバレ上等でいきますが。


マフィアに潜入し数年、警察に居場所が無いことも分かるだろうし、
ましてや、日本と比べても容赦ない(あくまでもイメージね。)韓国マフィアですから、
抜けることも出来ず、でも良心的にも呵責あり、という感じなんでしょう。
進むも戻るも、地獄ですよね。

ジャソン氏は主役でありながら、淡白に描かれていて心情が見えにくいです。キホン、クール。
その彼が抱える葛藤の元凶である2人のキャラは、結構対極的な個性で描かれています。

兄貴分であるチョン・チョン(何たって名前が面白い。これでマフィアNo.2とか。)は、
飄々としていて、でも情に厚い、非常に魅力的な人物。
対する、所属組織である警察での上司
(怖い役しか見たことないから、チェ・ミンシクだと認識するまでに1時間かかった…。)は、
どちらかと言うと、非情になりきれず、でも体制からも抜け出せず、
正直余りいい人には見えない、というところ。
もうこの時点で、映画全体が、どの選択をすべきか明示している感はありますよね。正直なところ。

だからこそ、ジャソンが悩みながらも選ぶ道は、
観客としては、すでに予想されていた未来であり、
ある種の正解であるように映るんじゃないかなと思います。

とはいえ、そこまでは、わりと普通の映画なんですが、
ジャソンの選択に、強い説得力をを持たせたのが、ラストの回想です。
あのシーンで初めて見せる(妻にも見せたことのない)ジャソンの笑顔。
あの1カットで、もう、ジャソンの決断に対して異論を唱える観客が居なくなる。
シンプルだけど、上手い構成だと感じました。


アクションシーンは見ごたえがあると思います。
ヤクザの抗争を描いた映画は多いですが、
欧米と違い、アジア圏のヤクザ映画は、銃よりナイフの方が多い気がします。
"血で血を洗う"という表現は言い得て妙だと思いますが、
その方が、生死が重く見えるんでしょうね。鉄砲玉も人間だぜ、と。
本作においても例外ではなく、結構一環してナイフメインな戦いでした。
相方が「クローズZERO」みたい、と称したEV前のシーン、構図も面白いし圧巻です。
あと、殺すのも銃で一発ドカンではなく、裏切り者と見なされた全員、なぶり殺し。
そこも狙いで、ヒドイ目に合わされても生かされている仲間をジャソンが銃で殺すシーンに、
ある種の説得力が生まれていると思いました。

(ヤクザ映画を見慣れている人には、これくらい常識かもしれませんが。。。)

俳優さんは、全員素晴らしいの一点張りです。
ライムスター宇多丸氏は本作評で『顔(すなわち『表情』)』の映画、と言ってましたが、
セリフでなく表情で語る映画・・・なるほど、確かにと思いました。
ため息1つ、眉間のしわ1つ、目の動き1つで、表現できる役者さんが揃ってました。


見ている最中は、ビックリするような展開もないので普通かなと思うんですが、
ラストシーンの後、鑑賞後の帰り道で、その後の考察中に、ジワジワ来る映画だと思います。
1回取り急ぎ更新しましたが、迷っているなら見た方がいいですよ。
全力で、オススメできる映画です。

ROOM237【映画】

2014年02月11日 | 【映画】
@シネマカリテ

キューブリックの『シャイニング』はあまりにも有名ですが、
実は今まで観たことがありません。
『アイズ・ワイド・シャット』だけは18歳になってすぐに観ました。どないやねん。
タイトルと監督名が有名過ぎて、いつか、いつか…と先延ばしにしてましたが、
本作の予告編で、観たいなと思ったので、一応予習として鑑賞しました。

…静かだったから、ちょっとウトウトしながらだったけれども。

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スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』の謎を、
監督の全作品の引用と、名高いキューブリック研究家たちのコメンタリーと共に
読み解くドキュメンタリー。
精神分析の視点を採用した内容をめぐって
原作者スティーヴン・キングと対立したという『シャイニング』を題材に、
キューブリックの頭の中に迫っていく。
キューブリック研究家として登場するのは、
ジャーナリストのビル・ブレイクモア、歴史学者のジェフリー・コックスなど。
真実から珍説まで、興味深い『シャイニング』論が繰り広げられる。
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"考察"と"こじつけ"は、紙一重。

面白いんですが、非常に突飛な話が多かった印象です。
隣の席の相方は、終始口を曲げたような複雑な表情で観てました。

元々キューブリック作品は、本編中に散りばめられている1つ1つの物に意味があるとされているようで、
それを考えながら観るのも、ファンの楽しみ方なんだと知りました。
デヴィッド・リンチみたいな感じかな??(彼の方が年は下ですが。)
明確な答えを求めてしまう私にとっては苦痛な見方です・・・(笑)。

『シャイニング』は、ホラー映画としては異色な作品だと思います。
恐らく"幽霊""亡霊"モチーフのホラーでしょうが、
本作『ROOM237』内での考察を色々と聞いたら、
何だかジャンルも分からなくなってきました。


相方が、本作鑑賞前に、沢山ある『シャイニング』考察に関するサイトを見ていたようですが、
本作よりも信憑性があり、そっちの方がよほど面白かった、と、
元も子もない発言をしていましたので、
恐らく、『シャイニング』マスターレベルの人は、
逆に本作は見ないほうがいいんじゃないかと思います。

私は、定説とかには1ミリも触れていない人間なので、
こじつけだなあ、と思いながらも、まあある意味楽しめましたが、
別に、DVD観ても十分だったかなあと思います。
(相方は、「オーディオコメンタリーで十分じゃね?」と言ってました。言い得て妙。)

違う視点で観るならば、
一番笑ったこじつけは、スキーヤーのポスターの下りかなあ。
ミノタウロス、て…ねえ。。。
挙句、「ジャックの顔もミノタウロスを模しているでしょう。」って。。。
ここは、相方も笑いどころだったそうで、
場内爆笑かと思いきや、1人も笑ってなくて、逆にビックリしたと言ってました。
隣の席では、私が声を出さずに大爆笑していましたが(笑)。


どうしても書きたかったので、ミノタウロスの下りだけネタバレしましたが、
『シャイニング』の考察論、というよりは、
好き勝手な座談会映画として、こじつけの考察を楽しむ作品だと思います。

興味があれば・・・というところですが、
1,000円以上を払う価値があるかと問われれば、微妙です。

ザ・イースト【映画】

2014年02月04日 | 【映画】
@シネマカリテ

シネマカリテは、本当に作品選びがいい。
正直、生活の心配が無かったら、今更ながらこの映画館でバイトしたい。
・・・年齢・・・。


最初は単純に、この映画どんなんだろうな、と
あらすじを読んで興味を持ったのですが、
相方から、映画評論家・町山さんの2013年ベスト10に入ってたのだと聞き、
更に興味が沸きまして、運よくサービスデー鑑賞に至りました。

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健康被害や環境汚染の元凶とされる企業を敵視し、
抗議活動を行う環境テロリスト集団のイースト。
元FBIエージェントのサラ(ブリット・マーリング)は、
テロ攻撃にさらされる恐れのある企業の依頼を受け、
彼らのアジトへと潜入して捜査をすることに。
企業に対する彼らの過激な姿勢の数々に怒りを覚えるサラだが、
健康被害の実態を目の当たりにし、その根絶に挑むイーストの思想を理解するようになる。
さらに、謎めいたリーダーのベンジー(アレキサンダー・スカルスガルド)に惹かれ、
心が激しく揺れ動く。
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面白かったです。すごく。


体感時間は、実際の上映時間と比較するとちょっと長くも感じますが、
どう決着つける気なのか、最後まで結構ハラハラしてました。

エコテロリスト、と言うそうですが、そういった団体は実際に存在するそうですが、
心情的には分からなくもない、というのが正直なところです。

自然愛護と営利主義が、必ずしも反するとは限らないけれど、
自然を守らなければ!!という人達と、
お金を稼いで家族の生活を守らなければ!!という人達。
どちらが正しい、とは、一概に言えないと思うんですよね。

日本における思想の偏った人たちもそうなんだけれど、
宗教・思想とかって、その信念自体が個性的なだけで、
その善悪が問えないから、テーマとしては深く、答えが出せないんでしょうね。

この映画は、1人の女性を通して、その葛藤部分を上手く描いていると思います。


「ザ・イースト」というテロリスト団体が狙っているのは、
いずれも営利主義により、人権や自然を無視し続けている大企業のみで、
その攻撃を防ぐ立場にある主人公の調査員が抱く葛藤が、
そのまま観客の葛藤にあたるわけなのです。

主人公のジェーンが、最後に取った行動の是非については、分かりませんが、
映画としては、非常に納得のいく、すっきりとした結末だったように思います。
彼女が実際に行動したシーンも見たかったような気もするのだけれど、
エンドロール前に少しだけ入るあの映像を尻切れに感じる人もいるかもしれないけれど、
この手法は、まあ、ありかなと個人的には思いました。


ちなみに、私が観ていて一番しんどかったのは、冒頭。
石油が流れだした海と、汚染された海で、重油に塗れた鳥の映像でした。
何回も見たことあるんだけど、やっぱりしんどい。
ここからすでに、観客の心情を上手く引っ張っているんでしょうね。

話の展開としては、正義の所在が分かりやすいので感情移入はしやすいです。
現実はもっともっと複雑だとは思うので、
問題としては、長期化しているのだと思いますが、
それでも、この映画自体が、良い提起になっているんだと思います。
結局のところは他人事だと、見て見ぬふりしている大衆に対してね。


ただ、若干、若干も若干ですが、ケチをつけるとすれば、
ジェーンの葛藤の中に、僅かながらに、恋愛が絡んでいたことが気にならなくもない。
映画としては、入れるべき要素だし、実際私もあった方が良かったのですが、
純粋に、相反する主義の渦中での葛藤に、個人的感情(しかも恋愛)が混じることで、
問題提起感が薄れて、フィクション感が強くなる気がするというか。。。
フィクションだからいいじゃん、とも思うんですがね、いいんですかね。
まあ、最後はその辺もスルーだから、いいのかな。


役者については、エレン・ペイジ以外は知らなかったのですが、
主演女優さんは製作・脚本も担当しているようで、才能ある方なんですね。存じ上げず失礼。
化粧すると一気に美人になるなあ、と思いながら見てました。
あと、ベンジー役の俳優さん、ものすごくイケメンです。
私は作戦時の"オン"の状態が素敵と思って観てたんですが、
相方は『ジム・キャリーに似てる。』(いや、ジム・キャリー批判では決してないのだけれど)と言っており、
まあ、これも好みだよねと。でも相当目の保養になりますよ。


FOXの子会社??配給だし、
所謂「インディペンデント映画」という括りではないかもしれないけれど、
豪華俳優が出演しているような大作ではない作品です。
が、非常に良質で、よく出来たサスペンス映画だと思いました。
今年の私のトップ10、入るんじゃない?というくらいの満足度だったので、
力いっぱい、オススメです。

もっと上映館、増やしたらいいのにね。