本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

GANTZ:O【映画】

2016年10月31日 | 【映画】



@TOHOシネマズ新宿


誕生日に観ました。
生誕時間を考えると、34歳最後の1本。

私が子供の頃に観たアニメ映画と比較すると、
技術の発達は偉大だなあ、と実感します。

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高校生の加藤勝は、地下鉄で起きた事件によって死ぬ。
ところが次の瞬間、マンションの一室にいた。
加藤はそこで、リーダーが不在の東京チームと一緒に
火の手が上がる大阪に転送され、
サバイバルゲームに参加することになる。
大阪チームと遭遇し、妖怪型の星人軍団=百鬼夜行と戦いを繰り広げる加藤。
一人で待つ弟のもとへ生還するため戦い抜く加藤の前に、
大ボス“ぬらりひょん”が現れ……。
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原作マンガは、途中まで楽しく(借りて)読んだのですが、
最終章(?)の、あまりの不思議展開についていけなくて、
どうにも、印象が良くないです。

でも、大阪編は楽しかったような気がしつつ、
良い感じに記憶が薄れていたことから、
ほぼ初見の感じで、とても楽しめました。


「GANTZ」という作品に関しては、
実写よりもフルCGの方が向いていると思いました。
人間VS人外生物、というのは、
実写にすると、片方が浮いてしまうこと必至なので。
そういう不自然さは皆無です。

それと実写の場合どうしても規制しなければならないグロ描写が
CGであれば、余すところなく表現できるところも良い。
躊躇ないグロ表現、最高でした。(問題発言。)

ストーリー展開も、時間配分含めてとても運びが良く、
無駄な説明無く、不要な情緒も無く、感情の揺さぶり方も適切。
原作通りか、記憶が定かでないのでわかりませんが、
初見であれば、あの物語1篇で十分完結できると思います。


ただ、アニメーションという形式上どうしても、
声を乗せるカタチになってしまうのが災いしたのか
人物の口の動きとセリフが合ってなくて、
終始違和感だったのは残念。
でもこれは、映像のせいでも、声優さんのせいでもないんじゃないかな。


作品の中でも評価されているらしい大阪編を、
このカタチで製作したのは大正解。
非常に面白かったです。

小さいテレビ画面では勿体ないので、
是非とも大画面でどうぞ。

四捨五入禁止令。【季節柄】

2016年10月29日 | 【季節柄】
例年になく、多忙な10月末。
ハロウィンのせいです。ええもう間違いなく。
渋谷の街が荒れているせいですとも。

とはいえ、当日は土曜日で平穏な休日。
無事に、35歳を迎えました。

去年、史上最悪と言っていいほどにナーバスな迎え方をした割には、
逆に大丈夫かというくらい心穏やかです。

ちょっと仕事に傾倒しているフシがあり、
なるほど、バリキャリの独身女性が抱えるジレンマが
少しだけ理解できたような、そんな今日この頃。

私は、バリキャリという程には、仕事に愛は無いけれど、
変に真面目な気質が災いしてか、放ることもできずに居ます。
"逃げの姿勢""現実と向き合わない"ことが短所の私が、
何とも不思議な感じではありますが。

でも、社会人になってからで、今が一番仕事が楽しいかもしれない。
そう思えるのは、悪いことではないかなと。

自分で「試練の1年」としていた34歳は
あっという間に過ぎてしまったけれど、
体感速度の割に、中身が少しだけ成長したのであれば、それは有難い。


ただ、オン(公)・オフ(私)の、オフ面で、もっと成長しないと。
35歳の課題は、コレに尽きます。
いまの私の私生活態度、本当にダメダメなので・・・。

去年も書いたけれど、
世間一般的な"35歳"の基準値に、まずは達することが出来るように。
日々、精進あるのみですね。


加えて。

成長に比例して、
衰えを感じるのが、資本である身体。
なので、自己管理はしっかりしないと、というのは実感しています。
気持ちは若く、なるべくなら体も若くありたい。
まだまだ、折り返さないぞ、と。


去年の記事を読み返すと、
なんとまあ、ネガティブ全開なことか。
本当に、どん底で書いた記憶がありますので。

今年は、タイミングなのか、底上げなのかは分かりませんが、
幸いにも、物凄く、ポジティブです。

強くなり過ぎはどうかと言えども、弱いばかりではいけないので。
引き続き、めげずに、折れずに、自分の足で、前に。


毎年書いていますが、
「悲観して生きるのを止めてから、人生が楽しい」ので、
きっと、大丈夫。

気持ちは、前向きに。どうせなら、日々楽しく。
35歳も、どうぞ宜しくお願いします。
2016年10月29日 tanako

闇金ウシジマくん ザ・ファイナル【映画】

2016年10月28日 | 【映画】


@TOHOシネマズ新宿

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違法な金利で金を貸す金融屋「カウカウファイナンス」の
丑嶋馨(山田孝之)を、
中学時代の同級生・竹本優希(永山絢斗)が訪ねてくる。
しかし丑嶋は、金の貸し借りとあれば友人も冷たくあしらう。
竹本は鰐戸二郎(YOUNG DAIS)に仕事を紹介されるが、
それは賃金をピンハネする貧困ビジネスだった。
さらにはその鰐戸三兄弟、丑嶋のライバル犀原茜(高橋メアリージュン)、
そして丑嶋には12年前からの因縁があり……。
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ウシジマくん、最終作です。

正直、相当ヤバイ、みたいなふれこみだったので
描写には期待していた割にはそれ程でもなくて、
ちょっと物足りなさはあったのですが。

でも、シリーズの完結編と謳われていて、
過去にケリをつける話なのだとすれば、
コレもありなのかなと思いました。


原作を全く知らない私が、
個人的に、少しだけ不満に感じたところは以下。

▲マキタスポーツのやられるところは観たくなかった。
(飄々としてる感じが良かったので。)
▲カウカウ側の誰かが死んだら盛り上がった。
(緊迫感が少し足りないと思ったので。でも、現メンバーで殺すべき人いないから仕方ないか。)
▲三兄弟の長男・次男の存在感の薄さ。
(せっかく起用したのに、安藤政信の良さが出てない。)
▲ラスボスのはずなのに、三兄弟の小物感。
(そもそも丑嶋を恨んでる理由が曖昧だし、そんなに憎いならもっと早く捜せよと。)

でも、良かったところも多いです。

◎言わずもがな、ウシジマ孝之最高。
(最後か、と思うと残念で仕方ない。)
◎予告編にもある犀原茜の『皆殺しにしろー!!!!!』が最高。
(キャラは好きじゃなかったんですが、彼女だけは作品を重ねるごとに良くなった。)
◎悪徳弁護士の下りは、"自業自得"の爽快感があって良し。
(作り物っぽい八嶋智人の演技も最高。)
◎全員の中学時代の再現度。特にウシジマ。
(これはもう脱帽。文句なし。)

いやもう、ほんと、中学時代を演じた各俳優さんは驚かされました。
恐らくはみんな若いし、これからの人なのだろうけど、
ウシジマの第一声は、本当に山田孝之かと思った・・・。
顔が似てる人、ではなく、演技を似せることにした演出が素晴らしい。
丑嶋だけでなく、全員が似ていたのが、さらに素晴らしかったです。


色々気にはなるのだけれど、
全体通してみると、良かったところが多いし、
シリーズ完結編として上手くまとめた印象です。


私は自分自身が偽善的であるのを知っているので、
作品の中に出てくる、"きれいごと"に敏感で、
そんな訳ないじゃん、と斜めに観がちですが(そしてそれが短所なのですが)
本作の最後は、結論を出さない分、それほど嫌味に見えなかったのが良かったです。

ウシジマ社長の人間味が、本シリーズ通しての魅力だと思うし
それを、さりげなく、でも、孝之の演技で深みを増して、
作品に入れ込んでいるのが良かったです。


Part3が、ちょっと消化不良だったことを考えると、
本作は良いエンディングを迎えたと思える分、良作ですね。

シリーズが好きな人、俳優が好きな人は満足できると思うので、
有終の美を、是非劇場で。

お父さんと伊藤さん【映画】

2016年10月26日 | 【映画】



@新宿バルト9

タナダユキ監督作品は、とても好きです。

個人的には、日本の女性監督の中で、
西川美和監督と並んで、外せないと思っています。
(個人的には、若干タナダユキの方が好み。)

日常の風景をリアルに切り取りながら、
セリフに独特の面白要素を加えつつ、
キレイなだけでは済まない、
人間のイヤな部分も、さわやかに入れ込んでしまうのが上手、という印象。

本作も例にもれずでしたが、
題材とキャスティングがガッチリとハマっており、
作品全体のクオリティを底上げしていました。

地味だけど、良作です。

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書店でアルバイトをしている34歳の彩(上野樹里)は、
給食センターでアルバイトをする
20歳上のバツイチ男・伊藤さん(リリー・フランキー)と交際中。
ある日、彼らが一緒に住むアパートを、
息子の家を追われてしまった彩の父(藤竜也)が訪れる。
父親は伊藤さんの存在に驚きながらも、
「この家に住む」と言い……。
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まず。
主人公が同世代女子であり、
抱える悩みが物凄く理解できる。

重く表現すると、本作のテーマは「親の介護問題」。
個人差はあると思いますが、
男女問わずかなりの人が、身につまされるかと。
私達世代はもとより、"お父さん"の存在感が、
親世代にもかなり響くのではないかと思います。

但し。
必要以上に重くしないのが
タナダユキの手腕であり、持ち味。

問題提起はしながらも、
登場人物の個性を滑稽に描くことで、
作品としてのバランスを取っていると思います。
だって、あのお父さん、良いキャラしてる。
これは監督の演出もさることながら、
藤竜也の演技力の賜物かと。

それと。

この作品の登場人物や設定には、
最後まで明かされない謎というか、
受け手に委ねられている要素が多いです。

例えば、フォークの持つ意味とか、
伊藤さんの過去の職業とか。

想像はできるけど、答えは明示されません。

同様に。
本作は、ストーリーを通じて
やんわりと問題提起はしているけれど、
こうあるべき、という答えは、一切無い。
ラストシーンの後に、
この話がどう展開するか、ということも
観客の考え次第。


設定上、断然、彩に肩入れしてしまいそうな私が、
お父さんにも、伊藤さんにも、同調出来て、
且つ、この映画を観た後、ナーバスな気持ちにならなかったのは、
そのおかげだと思います。

答えは人に与えられるものではなく、
自分が考えて、どう進むか。
彩も、伊藤さんに助けられながら、答えを出したはずなので。

重い、ではなく、軽いけど深い。
映画作品として、観客との距離感が絶妙だなと思いました。


役者陣に関しては、
このキャストだから見逃せないと思ったくらいなので、
適材適所、極まりないです。

上野樹里は元々好きで、監督の作風に合うんじゃないかなあ、と思っていたら
言わずもがなバッチリだったし、
(願わくば「ロマンス」を彼女で見たかったと思っていた位なので。)
伊藤さんを演れる人が、もうリリー・フランキー以外に思い当たらない。
藤竜也は前述してますが、一見すると面倒くさいガンコ親父なのに、
そこに愛を感じられるという、絶妙な存在感が素晴らしかった。
脇役キャストにもハズレが無く、何たる安心感!!と思いながら見てました。


都内の上映館数が少ないのがネックですが、
これは見るべき映画だと思うし、
当たり邦画の多い今年においても引けを取らない良作です。

オススメです。特に同世代の方に。

永い言い訳【映画】

2016年10月18日 | 【映画】


@TOHOシネマズ新宿

『ヒメアノ~ル』べた褒めの私ですが、
今年は間違いなく、邦画の当たり年だと思います。

洋画に手が回らないくらい、
邦画ばっかり観ています。

そんな中でも、本作は頭ひとつ抜けている気がする。

どうしよう。
今年のランキング、すでに物凄い混戦なのですけども。

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人気小説家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)の妻で
美容院を経営している夏子(深津絵里)は、
バスの事故によりこの世を去ってしまう。
しかし夫婦には愛情はなく、幸夫は悲しむことができない。
そんなある日、幸夫は夏子の親友で旅行中の事故で
共に命を落としたゆき(堀内敬子)の夫・大宮陽一(竹原ピストル)に会う。
その後幸夫は、大宮の家に通い、
幼い子供たちの面倒を見ることになる。
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何が良い、というより、
悪いところが見当たらない作品。

傑作だと思います。
私は、西川監督作品の中で、一番好きです。



物語の展開は、
妻を愛せなかった男が、
失った後にその大きさを知る、という
比較的、シンプルな、話。

しかしながら、そのシンプルさが、本作の強みであり、
西川監督の手腕が光るために必要な要素だったのだと思います。


「因果応報」
「自業自得」
という言葉で表現するのは余りにも陳腐ですが、
"戻れない"中で、人がどう後悔し、前を向いていくのか、
不器用で、人間味がある登場人物達を通して、
淡々と続く日常が、丁寧に描かれています。

嘘くさくない程度に、ドラマチックな要素もいれつつ、
フィクションとリアリティの配分が、ちょうど良い。

人間だから、そんな簡単に割り切れないけど、
人間だから、経過する時間を無視もできない。

押しつけがましいメッセージは一切なく、
でも、人間の強さと弱さを、描いている作品です。



それと、個人的に特筆すべきは、セリフ。

冒頭、居心地の悪い夫婦の会話劇を観て、
ああ、この映画は当たりだぞ、と確信。

作中に語られるセリフが、1つ残らず、素晴らしい。

善意も、悪意も、
作中のセリフに、しっかり感情が入って発せられているというか。
シンプルな言葉がリアリティを帯びているというか。

言葉の選び方とか、単語の並べ方とか、
奇をてらわない表現だからこそ、
非常に美しくて、自然に感情移入してしまう。

言葉に感情が乗っていて、観客の胸にストンと落ちる感覚。

何だか、物語とは別のところで
素直に感動しました。


役者陣については、言うまでも無く、全員素晴らしい。
細部にまで手を抜かず、圧力的なものとも縁遠く(見える)、
手堅く成功したキャスティングですね。



近い作風だとは思いますが、
師匠とされる是枝監督は、あまり負の要素を全面的に出さない印象です。
だけど西川監督は、
キレイな日常の中に、結構しっかりと人間の醜さを混ぜてくる気がする。
そこが好きなんです、個人的に。


いやー、大満足。


もう1回観たい‼というより、
1回で十分、腹に落ちる映画です。素晴らしかったです。

DVDとかでも良さは変わらないけど、
こういう映画は、もっと評価されてヒットすべきと思うので、
是非とも皆様、映画館でどうぞ。