@新宿バルト9
最近の多部ちゃんは、何見ても可愛くて、
「HINOKIO」とか思い出すと、何だか感慨深いですね。
若手の中では、とても良い成長のしかたをしている女優さんだと思いますし、
個人的にはとても好きです。
反して、最近の邦画は、マンガの実写化ばっかりで、
本作も一報見た時はまたかよと思ったんですが、
掲載誌の対象年齢が少し上だったことと、
監督・田口トモロヲに、ちょっとだけ期待して観に行きました。
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一人きりよりはいいという安易な理由で
男性と付き合ってきた梅宮志乃(多部未華子)は、
アルバイト仲間との浮気が発覚し
DV体質の恋人からフラれ、バイト先から去ることに。
状況を変えるべく引っ越した先で出会った隣に住む人は、
新しい職場の店長・菅原京志郎(綾野剛)だった。
京志郎に強く惹かれる志乃だったが、
彼には一緒に住んでいる恋人がいて……。
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何というか、何と言うか、なんというか・・・。
終始、"惜しい"と思わせる映画でした。
何が、かは語り始めると長くなりそうですが、
とにかくフラストレーションが溜まります。
たぶん、各登場人物のキャラクターへの共感度が影響しているとは思うんですが、
それでも映画作品として、もうちょっと何とか出来たんじゃないか・・・と。
でも、帰宅後にYahoo映画見たら、結構評価高くてビックリ。
私が年を取ったのか。そうなのか。
まあ、自虐はさておき。
何が"惜しい"のか、という話。
それほど多く見ているわけではありませんが、
最近の邦画によく見られる要素の1つに「俗っぽさ」があると私は考えています。
別にそれ自体は全く悪いわけじゃないんですが、
何でもかんでも、言葉にして発することで、その俗っぽさが際立って、
映画自体が安っぽい印象になってしまうのが、すごく残念でなりません。
個人的な好みですが、所謂モノローグが好きではないんですよ。
本作は、恐らく原作マンガにモノローグがあって、
それを出来るだけ忠実に再現したのだとは思うんですが、
正直、全部が全部、登場人物に喋らせなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。。
決して多部ちゃんが下手なわけではなく、
ただただ、モノローグが、映画を、ストーリーを、邪魔している気がする。
ともすれば、ちょっと気が散る。
心情の変化を観客に伝える方法は、言葉だけじゃないと思うし、
ぶっちゃけ多部ちゃんなら、表情とかセリフである程度表現できると思うんですよね。
これが1つ、"惜しい"点。
2つめ。
これは主観によるところが大きいのだけれど、
登場人物の魅力が、伝わりにくいストーリー展開。
人間クサイ、という意味では、
みんながみんな、強くて優しいわけではないので、
ダメな部分はあって当然と思うのですが、
主人公の志乃にせよ、京志郎にせよ、あかりにせよ、
何というか、恋愛対象としての魅力が、観客に伝わらないのです。
どこが良いのか、どこに惹かれたのか、わからない。
いやそれは見た目的なものだから、オマエの目がおかしいんだよと言われたら、
ハイスミマセンとしか言えないんですけど・・・。
(実際、綾野剛って好みの顔ではないし。)
でも、それだけじゃない気がするんだよなあ・・・。むむむ。
ちなみに。
批判的なことばかり書いてますが、
一方で、俳優陣には余り言うことないですよ。
多部ちゃんは可愛くなっただけではなく、
イマドキ女子のダメさもちゃんと出ていたし、
綾野剛のダメっぷりも中々板についていた。
菅田君や峯田氏も良い存在感出してたし、
元AKBの光宗さんも思ったよりは悪くなかった。
何よりも、新境地の松坂桃李君は素晴らしかった。
正直、普通男子の役しか出来ないと思ってたけどゴメンナサイ。
舞台映えする容姿でもあるし、これから色んな役をこなして、
「若手イケメン俳優」と称される残念な層から脱してほしいし、
大丈夫じゃないかなと思いました。
(さらっと毒吐いたけど、いま沢山いますからね、そういう人。)
さて。ちょっと前述の話に戻ってもう少し書かせてください。
モノローグを使うにあたり、
適材適所、というか、きちんとそのシーンにおいて発する言葉に、
意味は必ず必要だと思うんですよ。
マンガは、絵で表現できることに限界があるから、
その場面にふさわしい言葉を、漫画家さんが選んで文字として加えていることで、
読者の想像を助けて、登場人物への共感を誘い、物語に深く入り込んでいくことが出来ると思うんです。
でも、生きた役者が演じている映画においては、
そこに人間がいるのだから、話すことが出来るのだから、
もちろん、ある程度の説明は必要だけれど、
すべてを漫画の通りになぞる必要はないんじゃないかと私は考えます。
メディアミックスは、作品を世に広めるための相乗効果と考えられるので、
それ自体は否定はしませんが、
まんま、2次元を3次元にスライドさせるだけのメディアミックスは、
芸術作品としては、ちょっとお粗末かなと。
映画ファンとしては、非常に残念なところなわけです。
本作で、それを顕著に感じました。
ここまで結構辛らつに書きましたが、
正直、観る気も起きないような実写映画化作品と比較して、
本作は、田口トモロヲ監督がエッジを効かせてくれるのを期待していて、
結構楽しみにしてたんですよね。
だからこそ、観た時間もムダ!とは思っていないし、
ただただ、"惜しい"という感想だったわけですよ。
うーーーーーーむ、残念だーーーーーーーー。
とはいえ、本作の評価はそこそこに高いので、
志乃のような恋愛観は20代女子としては普通なのかもしれないなあ。
私が"惜しい"と思ったのは、あくまでもその表現方法についてなので、
志乃に共感できる!!!分かる!!!という人にとっては、
面白いのかもしれません。
何より、多部ちゃんが超絶可愛いのは間違いないので、
ファンの方にはお勧めできると思います。