本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

コードネーム U.N.C.L.E.【映画】

2015年11月25日 | 【映画】



@新宿ピカデリー

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東西冷戦の最中の1960年代前半。
CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)と
KGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)は
核兵器拡散をたくらむ謎多き国際犯罪組織を制圧するために、
長年の政治的対立を超えて手を組むことに。
思考や方法論も真逆の二人は、
組織につながる手掛かりである行方をくらました科学者の娘を守り、
核兵器の大量生産を阻止すべく奔走する。
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ここ最近の邦画と比較したら、割と面白く見れます。
しかしながら、「シャーロック・ホームズ」と比べてみると、
何かが、足りない印象。

どちらかと言うと、
メジャー大作に寄せた「ホームズ」よりも
本作の方が初期のリッチー作品的な映像や演出をしている気がするのに、
何というか、初期作品のエッジが、それほど感じられない、というか。



端的に言ってしまうと
"ガイ・リッチーっぽい"映画です。
"ガイ・リッチーらしい"、ではなくね。


「ロック・ストック」とか「スナッチ」とかで感じた個性は
映像とか音楽の使い方には垣間見えるのですが、
話のテンポが悪く、全体的に、長くて退屈な印象でした。


・・・スパイアクションなのに。


更に。

冒頭の駆引きありきのアクションシーンは
良いテンポに、良い引きで、
面白くなりそうな予感があったのに。のに。。。

クライマックスのアクションシーンが、とっても微妙。

突入シーンでの画面割は、勢いを殺していて盛り上がりに欠けるし、
車とバイクのチェイスシーンは、
(山道だからかもしれないけど)視界が悪くスピード感も出てない。
挙句、同じような構図・シーンが続くことにより、
観客の緊張感も削がれているような気がしました。

色々と、とても勿体なかったです。



ちなみにボロクソに書いているようですが、
私は、話自体は好きなんです。

敵対しつつも同じ目的を遂行するために共闘し、
いつしか友情(+愛情)が芽生える、という展開は
ラブ込みで、ものすごく好みなんです。

なんです、が。

これは仕方ないのかもしれないけれど、
一見、属する国の違いを、それぞれの個性にて表しているようでいて、
意外とそうでもない。

米ソですから、そりゃあ仲悪いしうまくいかないに決まってる。
だったら、もっとコメディ要素もしっかり入れれば面白いのに、
ちょっとスベッてるようにさえ見える。

設定が巧く活かしきれていない、というか。
これまた、非常に勿体ない。



ガイ・リッチー作品は、私よりも相方の方が好きで、
彼は言わずもがな、私もそれなりに楽しみにしていたので、
ちょっと勿体ない、何でかなあ、という感想でした。

本編見ている時はそうでも無かったんだけど、
見終わった後に残る、そこはかとない物足りなさ。

監督が狙った、個性とメジャー感のバランスが、
私にはしっくり来なかったんだと思います。


ただし。
この映画は、好きな人は凄く好きな気がするので、
私個人の感想はあてにせず、
たくさんの人に観てほしい作品ではあります。
ガイ・リッチー最新作として、観る価値はあるかなと。

恐らく続編も作るだろうし、
私も観ると思うので。

劇場版MOZU【映画】

2015年11月24日 | 【映画】


@新宿ピカデリー

ドラマ版の1クール目を毎回楽しみに観ていました。
が、2クール目は若干の惰性で。
正直、映画への熱もかなり冷め気味でしたが、
これで完結ならば観ないとね、と早々に観にいきました。

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妻子の死をめぐる謎を追い、その果てに警察内部に存在する闇を暴いた
公安警察官の倉木(西島秀俊)。
それから半年、ペナム大使館襲撃と高層ビル占拠爆破というテロが同時に勃発。
これらの事件は、犯罪プランナーの高柳(伊勢谷友介)と
暗殺のプロフェッショナルである権藤(松坂桃李)が率いるグループによるものだった。
彼らは、戦後犯罪史に残る組織的犯罪や経済事件に関与しているとうわさされる人物、
ダルマ(ビートたけし)の名のもとに、さらなる規模の計画を進めており……。
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うーーーーーーーーーーーーん。
一言、『そこじゃない。』という感想です。
これについては、後述。


まず役者陣について、結構固めて来ていた印象です。
既存の役者さん達は言わずもがなですが、
初登場の面々も非常に豪華で、穴が無いといいますか。
それでも言いたいことはありますよ。
役者というよりは、主に演出についてですが。

私は長谷川博己のファンなので擁護したい気持ちは重々ありますが、
とは言え、ちょっとはしゃぎ過ぎ。いや、はしゃいだ演出をつけ過ぎ。
正直、もう飽き飽きでした。
重要な役割だったので締めるところは締めて欲しかったなと。
初登場の中で、すごく頑張っていた松坂桃李君然り。
最近、どの作品でも非常に真摯に演技に向き合っている印象なので、
個人的に好感度が高いのですが、
彼に対する演出もまた、過剰過ぎやしないかと。
池松壮亮君演じる新谷との、静と動の対比を表したかったのは理解できるけど、
既に一人、イカれた役がいるので、ちょっとしつこいし画面上クドイ。

上記、役者さんに非は無いものと理解しています。
が、どうしても言いたかった。


アクションシーンは悪くないです。
無理矢理、外国の設定にしたところはどうかなあ、とは思いますが、
日本でロケが出来ない事情があるんでしょうね。
(だから邦画は伸び悩んでいるんじゃないのか・・・という独り言はさておき。)

血とかの描写も、思い切っていて、
その辺は、ドラマ版からの流れも含めてよかったです。


とはいえ。
護衛3人もいて、簡単に誘拐され過ぎだよ、とか、
物語展開上のツッコミが多々あり、非常に目に余りました。
後述する一番大きなツッコミどころも含め、
正直、脚本は穴だらけです。


それも含めて。

最初に書いた『そこじゃない』は、ダルマの位置づけについて。
これがどうしても納得いかないために、
私の中で、この作品の評価が上がりませんでした。


正直なところ、ドラマ本編における「ダルマ」の謎って、
"「ダルマ」って誰なの???"というよりも、
"「ダルマ」って何なの???"という部分だと、私は思っていたのです。
人々の夢の中に現れる謎の存在であり、
ちょっとした都市伝説的なもの、というか。

しかしながら。
これが実在の人物として登場してしまったことにより、
物語の本筋であるところが、非常に陳腐に、
そして、かなり小さくまとまってしまった印象です。


ダルマを実体化させて、無理やり娘の死との関連性を作るよりも、、
ダルマという存在そのものを、
実体でなく、陰謀論としておいた方が
「MOZU」という作品の持つ重い雰囲気や、
底知れない闇を壊さなかったんじゃないのかなあ。

原作がこうなのか、それとも映画オリジナルなのかは分からないので、
原作小説のままだったとしたら申し訳ないのですが、
正直、"ダルマ=ビートたけし"という案ありきで進んだ企画に見えるので、
何だかなあ、と思ってしまいました。


ダルマの正体がはっきりして、そして倉木が少しでも救われて良かった!
という感想の人もいるとは思います。
まあ、その辺は人それぞれですから。

あくまでも個人的な感想として、
映画としては正直ガッカリした、というだけです。


これから楽しみに観にいく人は、私のレビューなんぞ気にせずに、
倉木の物語の完結を、大いに楽しんで欲しいと思います。

ただ、私は、ドラマ版がすごく面白かったこの作品が、
映画化によって、ちょっと小さくまとまってしまい、
ただただ、残念だなあと思ってしまいました。

それでも一応の完結を見れたので、
とりあえずは、良かったです。

ヴィジット【映画】

2015年11月18日 | 【映画】


@TOHOシネマズ新宿

M・ナイト・シャマランは実力ある監督だとは思いますが、
毎度観る作品において、恐怖を感じるよりも笑ってしまうことが多く、
それってちょっとどうなのよ、と思ってました。

が、ちょっと見直しました。

最高でした。
何で評価振るわないんだろう。

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休暇を過ごすため田舎にある母方の祖父母の家を訪れた姉弟は、
優しく穏やかな二人に歓迎されるが、三つの奇妙な約束を伝えられる。
楽しい時間を過ごす、
好きなものは遠慮なく食べる、
そして夜9時半以降は部屋から出てはいけないという内容だった。
しかし、夜に変な気配を察知し起きてしまった姉弟は、
恐怖のあまり約束を破ってドアを開けてしまい……。
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ホラー映画において、
恐怖と笑いは表裏一体だと、本作を観て再認識しました。

B級ホラーに定評のあるサム・ライミ監督の「スペル」がまさにそうでしたが、
観客に恐怖を与える演出は、時として、物凄く笑えることがあります。
そういう意味では、本作も同類。

良いんだよね、ホラーで笑ったって。


本作では、主人公の姉弟が恐怖を感じるシーンが、
悉く、笑える演出になっています。
もはや、コントのレベルです。しかも結構質の高いやつ。

おじいちゃん・おばあちゃんを笑いものにするのは気が引けますが、
子供から見た、老人の姿って、時としてこうだよね、という過去の共感も相まって、
得も言われぬ不快感、不信感を非常に上手く出していると思います。

不可解な行動にもっともらしい理由をつけて笑顔で押し通す老人と、
大好きな母の両親ということで、おかしいと思いながら必死で納得しようとする子供たち。
ちぐはぐで、噛み合ってないからこそ、どこまでも不穏な空気感が無くならない。


ドアとかさー。開けなきゃいいのに、開けちゃうんだよね、子供ってね。

来るぞ来るぞ、と分かっているのに、
実際開けての衝撃映像!とか、まさにネタ見せの如し。

それと、この恐怖体験の多様ぶりも中々悪くない。
毎度自分に向かって来るのも芸がないし、
ちょっと遠目に、不可解な行動してるの観てるのって怖くない??

まあ、どれも全部、ベタではあるのだけど、
驚いた次の瞬間には笑ってしまうので、観客としては飽きないわけですよ。
何というか、アトラクション的な感覚ですね。

こういうのは、さすがシャマランというべきか。
終始感じる不穏な空気感も、観客を不快にさせる映像も、驚かせる演出も、音の使い方も、
王道ながら手慣れている感じがして、安心して観れます。


加えて。
主人公の姉弟、2人の個性が、物語の展開とリンクしているのも上手いです。
2人の持つトラウマは、彼らが感じる恐怖に影響していたり、
展開と共に2人が成長してるのが分かるのも、素晴らしい。
脚本も非常に良く出来ていると思います。



ちなみに。

私は、結構早い段階で、オチに気づきました。
相方は、素直に見ていてづかなかったらしい。
私達の中では、珍しいパターンですが。


しかしながら、本作の素晴らしいところは、
そのオチに気づいた後でも、物語が最後までつまらなくならなかったこと。

別に、特段意外なことは起きないんだけど、
ホラー特有の力技もありつつ、
ラストに向かって畳みかける展開と演出は、やはり流石というか。
そこそこテンポも良いし、笑いも驚きもありで、
娯楽作品として最高に楽しめました。



往年のシャマラン映画で煽られた"衝撃のオチ"的な要素を期待したり、
純粋なホラー作品を観たいという方には、物足りないというより、
期待しているのとは違うということで、評価が低くなるかもしれません。
あと、抜群に趣味が悪い映像が所々にあるので、
そういうのが苦手な人も、止めた方がいいかも。

反面、B級ホラーであることを認識していれば、
本作は批判する要素はあまり無い映画だと思うので、
その類の作品が好きな方には、全力でオススメです。

DVDよりも劇場が良いです。絶対に。

ピエロがお前を嘲笑う【映画】

2015年11月16日 | 【映画】


@新宿武蔵野館

営業戦略的なものだと思うのですが、
映画ファンサービスデーに限って、注目作品が公開されていない気がする。
でも、せっかくの休日・サービスデーを無駄にしたくなくて、
ちょっとだけ興味があった本作を観に行きました。

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世間を震え上がらせたハッキング事件を起こし、
さらに殺人容疑で追われる
天才ハッカーのベンヤミン(トム・シリング)が警察に出頭してくる。
ハッカー集団「CLAY」に加担して盗んだ情報によって
殺人事件を引き起こしてしまい、今度は自分が狙われていると告白。
その自白を基にベンヤミンの身辺調査に着手した捜査員は、
不可解な事実を次々に見つけだす。
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"必ず騙される"的な煽り文句で売っている作品を、
目にすることが増えましたが、
そう煽られると、構えてしまうのが、人というもの。

「シックス・センス」レベルを期待してもね。そう簡単にはいかないよね。

私自身は、ミステリーとかサスペンスを、
さほど勘繰らずに観るタチなので、
そういう意味では、本作はこの性格が幸いした気がします。

オチ、と言うには、ちょっとパンチが弱い、本作のラスト。
私は観たまんま、さほどビックリもしなかった。

これは、相方が言ってて、なるほどと思ったんですが、
最初からずっと、主人公・ベンヤミンの語りでしか物語が展開しないので、
一応散らせている伏線も、あまり効いてこないし、緩急が無い。
最後に、ドヤ顔で、実はこうでした~、と言われても、
ああ、そうですか、という感想しか出てこないんですよね。

これが、お互いに騙し騙され、みたいな展開で視点を工夫していたら、
少し違っていたかなとは思います。惜しい。

観ている時は、何が起こるのかドキドキしていたので、
あっさりとしたオチに、少し物足りなささえ感じる作品でした。

てか、本当に、煽り過ぎ。

本作に限らず、最近の予告編の作り方は、何とかならないかなあ。。。
昔はセンスの良い予告編が多かった気がするのに。
本作も、コピーで煽るんじゃなく、予告映像で煽れば、少しは印象違ったかもしれないのに。

・・・まあ、映画自体の出来が変わるわけではないけどね。


"必ず騙される"なんてことはない、普通の作品です。
何で、ハリウッドリメイクが決定しているのか少々疑問なくらい。
駄作とは言いませんが、普通の作品なので、
興味がある方はハードル下げて、どうぞ。

探検隊の栄光【映画】

2015年11月03日 | 【映画】


@TOHOシネマズ新宿

藤岡弘。の探検隊シリーズを狙っていることは明白で
このシリーズが大好きな相方は、
ものすごく珍しく前売り券を買っていました。

私はTVシリーズは観たことないのですが、
藤原竜也+アホ(風)映画、という要素だけで、
情報公開時、ほぼ即断で鑑賞決定でした。

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人気が下り坂の俳優・杉崎(藤原竜也)に、
伝説の未確認生物(UMA)ヤーガを求めて
秘境を探検するテレビ番組の隊長のオファーが舞い込んでくる。
その仕事を受けるものの、毒グモとの遭遇や巨大ワニとの乱闘、
がけでの危険なシーンといった演出に困惑する。
ところが撮影をこなすうちに、杉崎は番組作りにのめり込んでいき……。
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藤原竜也の、舞台で培った大げさと言われる演技とか、
ユースケ・サンタマリアの、バラエティで見せる素のキャラとか、
小沢征悦の、でかい声の中に垣間見える適当さとか、
絶妙な配役をきっちりと持って来て、100%活かした最高の映画です。

役者ありきの作品ではありますが、ハマっているならいいじゃない。

途中、寒いかな、と心配していたコメディ要素も、
ちゃんと、演出や間、そして役者の演技で、しっかりと笑えます。
劇場もかなり湧いてました。
(後ろの席のお姉さんが地団駄踏んで爆笑していたので、相方がイライラしていましたが・・・。)

UMA(未確認生命体)を探しに行くぜ!!!とか、
バカ過ぎて最高じゃないですか。
何だよ、ヤーガって。

観た人は分かりますが、ワニのシーンは最高でした。
あれで、藤原竜也のファン度が、俄然上がった私。
あのシーンだけでも見る価値あり、と評価したい。


ちなみに。
俳優ありき、と書きましたが、脚本もよく出来ていると思います。

大の大人がふざける姿にも信念や情熱が存在する、というのは、
子供だけじゃなく、大人にこそ響くテーマではあると思うし、
TV業界の話ですが、共感も感じるところはあります。
全力で、自分の仕事をする人は、とてもカッコイイですからね。


ただ。

本作の場合、ふざけ要素を期待していた人にとっては、
後半は少しありきたりで、物足りなかったかもしれません。
前半から中盤の、映画の熱量、全力のおふざけ感や盛り上がりに対して、
物語の締め方、話のまとめ方が少し平凡だった印象は、ちょっとあります。
個人的には十分楽しめましたが、もうひと捻り欲しかったような気もする。
まあ、贅沢な要望ですが。


最近、メディアミックス作品や、定番恋愛映画が頻発している邦画の中で、
藤原竜也主演だというのに、こんなに公開規模が小さいことが嘆かわしい良作です。

俳優陣がキライ、というのが無ければ観て損なし。
私は、藤原竜也が好きな人には、全力で勧めたい映画です。

週を追うごとに、上映回数が少なくなっているのが、
本当に本当に、切ないです。
終わる前に、是非。

私はソフト化されたらもう1回観ようっと。