あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

短編の切れ味

2009-05-26 00:33:06 | 本(ミステリ・アンソロジー、その他)

うまい犯罪、しゃれた殺人 〈クラシック・セレクション〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫) うまい犯罪、しゃれた殺人 〈クラシック・セレクション〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
価格:¥ 819(税込)
発売日:2004-08-25

ひとつ前の記事、『謎の物語』について訂正があります!

ストックトンの『女か虎か』が、何の本に収録されているか知らない、と書きましたが、自分が以前紹介した『天外消失』に入っておりました!

すいません……(>_<)それにしても自分で書いたことを忘れてしまうなんて……。寄る年波のせいなのね……しくしく……。

さて、(さてじゃないっ!)訂正だけでは何なので、ふたたび短編の話を少しします。

私、高校生くらいの時、短編ミステリーがマイブームでして、私としてはそこそこ読みました。

で、やはり一番すごいな、と思ったのがスレッサーでした。(フレドリック・ブラウンもすごいと思ったけど、私の中ではSF作家なので)

とにかく切れ味が良くって、まさに切り取られた人生の欠片、という感じだった。

でも、私の一番のお気に入りは、実は彼の短編でもマイナーな、『濡れ衣の報酬』という一編でした。

これは本当に収録本はわかりません。EQに掲載されていたものを読みました。

(でも二十年以上前の記憶に頼っているし、掲載誌違ってたらどうしよう((+_+))いや、それよりそもそもスレッサーの作品じゃなかったらどうしよう)

主人公の弁護士が、裁判を待つ連続殺人犯にとんでもない取引をもちかけに行く。

殺人犯は多数の女性を殺した男だが、彼が犯していない一つの殺人をも、自分の仕業だということにしてほしい、というもの。その代償に、彼の幼い娘の将来の面倒を見る、というのだ。そして、その殺人というのは、実は弁護士の親友が妻を殺してしまった事件だった……。

ちょっとメロドラマっぽくて、いかにも若い娘が好みそうかなぁ、と思うし、今の年齢で読んだらたいして心に残らなかったのかも。

でも、若いころ好きだったものって、なぜかどうしても忘れがたいのです。

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謎の物語

2009-05-24 23:52:22 | 本(ミステリ・アンソロジー、その他)

クイーンの定員―傑作短編で読むミステリー史 (1)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:1984-01

リドル・ストーリーってご存知ですか?

結末を読者にゆだねるタイプのストーリーです。

初めて読んだのは十代の頃でしたが、インパクトあって鮮烈な印象でした。

有名なのは『女か虎か』。私が最初に読んだリドルストーリーもこれ。

(短編というより掌編で、あらすじがほとんど内容になってしまうので書きません。何の短編集に収録されているのかは寡聞にして知りませんが、ハヤカワミステリ・マガジンに収録されたことがあったと思います※これについて後で訂正しています^^;)

けれど、一番好きだったのは『クイーンの定員』に収録されていた、スタンリー・エリンの『決断の時』。

語り手がいて、彼には二人の友人がいるわけですよ。ひとりは派手で見栄っ張りだが、根は温かい男で、他人のために労を惜しまないタイプ。もうひとりはクールな毒舌家だが、頭脳明晰で話が非常に面白い。

ともに、欠点はあるけれど魅力的な人物で、語り手も、そして周囲も、両方を好いているのですが、この二人が出会ったら、これがいけない。

二人ともが、相手が大嫌いなのです。そしていさかいの末、二人はとんでもない賭けをする……、という物語ですね。

なんか、読んだとき、身につまされたというか……。お互いに根はいい人間で、魅力的なのに、そりが合わないというか、どうしても相容れない同士っているものですよね。

そして、結末(正確には結末の一歩手前で話が途切れるのがリドル・ストーリーですが)では、彼はどうするのか、そして、自分ならどうするのか、を考えさせられる……。

思えば、リドル・ストーリーというのは、読み手が自分の心をのぞくことになる物語かもしれない、とふと思いました。

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一瞬の人生

2009-03-28 22:49:33 | 本(ミステリ・アンソロジー、その他)

天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819) 天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2008-12-10
図書館でこの本を見つけて、ハッとしました。

ずっと読みたいと思っていたブレット・ハリディの『処刑前夜』が入っていたから。

最後の数行で物語がひっくり返る鮮やかさと、読み返したくなる味わいに、満足。

でも解説を読んだら、これが〈世界ミステリ全集〉の最終巻『37の短編』(そうだった、と思いだした。まだ二十歳そこそこの頃、この本が読みたくてたまらなかったが、絶版になって久しく、手に入れる術がなかったのだ)から14編を選びだしたものと知って、あとの23編が入ってたらな~とつい思ってしまった。

選ばれなかった中には、『うぶな心が張り裂ける』や『魔の森の家』、『北イタリア物語』も入ってたんだ!それに傑作短編集にヘンリー・スレッサーの作品が無いなんて、と思ったが、元には入っていた。ああ!

二十歳前後の頃、人生の一瞬を鮮やかに切り取る短編小説に一時凝って、上記作品ももちろん読んだのだが、でも樹海に埋まっちゃってるし、名作は何度読んでもいいものです。

『37の短編』復刊してくれたらな~!

まあ、この本に収録された14編は他ではお目にかかることの少ない作品ばかりということだし、私も好きだったフレドリック・ブラウンの『後ろを見るな』とかストックトンの名作リドル・ストーリー『女か虎か』も入ってるので、個人的にもおススメです。

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