黄紙に注意! 鳶ブログ

サッカーに魅せられて全国行脚。
奥山監督率いるアルビレックス新潟レディースを応援しています。

プレナスなでしこリーグ 第20節 岡山湯郷戦 「対本田美登里初勝利」

2008-11-16 23:57:08 | アルビレディース
2008プレナスなでしこリーグ 第20節 2008年11月16日(日)12:00K.O 新発田市五十公野公園陸上競技場 漆畑成子主審

アルビレックス新潟レディース 2-1(1-1、1-0) 岡山湯郷Belle


得点 25分失点、44分野村1(PK)、75分上尾野辺1








アルビレックス新潟レディースの歴史はある意味において「名将 本田美登里」との戦いの歴史でもある。
日本女子サッカーリーグに昇格して以来、この監督の采配によってアルビは悔しい思いをし、そして勉強させてもらってきた。
この「本田美登里」を倒さない限り、アルビの本当の意味の昇格は無い。
本田監督もS級を保持している限り、いつ何時、湯郷を離れるかもしれないので、それまでに何としても勝たなければ。



毎回、新潟にバスをチャーターして大挙いらっしゃる岡山湯郷のサポーターの皆さん。岡山と新潟、女子サッカーが無かったら絶対に往来することもない2つのチーム。アルビも毎回バスツアーが組めるくらいになれたらなぁ。
来年も岡山に行く為にも、この試合を勝って、自力残留を決めなければ。






[岡山湯郷]

       細川
安田 城地 保手濱 武者
   宮間  松田
田畑        津波古
   中野  田中

SUB:赤井、井上、神成、壷井、中川
監督:本田美登里

怪我の日本代表GK福元が長期離脱。その為に元大原学園の細川のの子が先発。もちろんGKのリザーブはいない。
U-20日本代表遠征の為に加戸と元大原学園(福井工大附属福井高校出身と言った方がピンと来るのだが)の有町がメンバーから外れる。両サイドハーフが抜けたところへ田畑とSBから1段上げたこれまた元大原学園の津波古が入る。
このメンバーだと岡山湯郷と言うより、ほとんどアルビが過去戦ってきたチームの連合軍の面持ちだ。(元大原学園=細川・津波古・中野・中川、秋田国体選抜=武者、高槻=松田、INAC=保手濱)
もちろん天才宮間が真ん中に控えているので、強敵であることに変わりは無い。





[アルビレックス新潟レディース]

    
      中島 野村
上尾野辺  牧野     斎藤
      江橋     
山本 詫間 東山 川村
      諏訪

SUB:橋本、井上、大堀、口木、菅澤
監督:奥山達之


上尾野辺選手が先発。控えに菅澤・口木というタイプの違うアタッカー。
好調野村選手がこの試合も先発でFW。期待大。
4-1-3-2という陣形で岡山湯郷を迎え撃つ。




この試合、会場全体で「野村千枝子選手」のフラッグが多い。みんながこのベテランの活躍を期待している。

湯郷のダンマクもたくさん出ている。「本田美登里」、監督ダンマクが出るのはこのチームくらいか。一番の戦力は間違いなく「本田美登里」監督だ。



アウエーを感じる岡山湯郷。上位に入る為には負けられない一戦。



ホームで勝って1部残留を決めたいアルビ。

小雨舞い散るホーム五十公野陸上競技場、この一年間の想いが詰まった一戦は、定刻12:00にK.O


試合は前半からアルビペース。斉藤選手側の右サイドにボールを集め、牧野・野村・牧野選手らが絡み、時折川村選手がオーバーラップを見せる展開。
こんなアルビペースの試合は今季初めてだ。この段階で勝利を確信した。

岡山はこれまでの岡山と比べDFラインが低い。低いからアルビの機動力が存分に活きる。
今までは両チームのDFラインの間隔は10m程の狭い距離でやっていたのだが、今回は相手がずるずると下がってくれるものだから押すことができる。

戦術とか陣形といか言う前に、1対1の局地戦に挑むことができ、その局地戦に勝ってボール奪取できるものだから、アルビの選手が前を向いて攻めることができる。

宮間と松田が真ん中を辛うじて守っているが、サイドを制圧しているので、山本・川村両サイドバックが岡山湯郷陣内まで切れ込んでいくことができる。

課題の15分は経過。

アルビのゴールはもう少しなのだが、最後の詰めが決まらない。

こういう時はカウンターが怖いのだが、前半も半分が過ぎようとする25分、中央から絵に描いたようなカウンターを食らう。
どこかで止められれば良いのだが、どんどんアルビゴール前に運ばれ、津波古のシュート気味のボールを宮間が詰めて押し込む。
GK諏訪、ゴール前、出られず。
フィールドプレーヤー共にミスが重なっての失点となる。

これでしゅんとなると思いきや、この日のアルビは違う。
この失点で戦闘モードに突入。接近戦でことごとく勝つ。

前半も終了間際、野村選手が岡山ゴール前ペナルティエリアまで侵入し、シュート態勢に入ろうとするところを相手GK細川のの子、ラグビーのタックルのように野村選手の腰を手で回して押さえ込み。ゴールに向かって飛び込んでいた野村選手はたまらず倒される。よくラグビーのトライシーンで見るのだが、これをサッカーのそれもペナルティーエリアでやると即PK。ここまであからさまに決定機阻止をする反則は初めて見たが、たぶん普通に赤紙だろう。が、もろもろ大人の事情もあって黄紙。しょうがないだろうな。
これを野村選手が決めて同点。ロスタイムを消化し前半終了。
前半で追いついたのがこの試合の流れ上、非常に大きかった。





後半開始、メンバー交代無し。
後半早々、アルビの猛攻撃。
岡山陣内で試合を進める。
が、なかなか最後のところでゴールを割れない。

時折、宮間が反撃のシュートを撃つが、GK諏訪選手がファインセーブ。
この日のGK諏訪選手は尻上がりに調子が良くなり、最後は丸で轟GKコーチの現役時代と遜色ないくらいの動きを見せていた。
GKは一度当たると手が付けられなくなると言うが、この日のGK諏訪選手がまさにそういうことなんだろう。
CKやFKを宮間に蹴られると、今までは嫌な感じがしていたのだが、この日は安心して見ていられるし、カウンターのチャンスを作っていた。
人間って苦境に立ってそれを乗り越えると強くなれるんだな。
元々キャッチングには定評があったのだが。人間、気持ちが大切ってことのようだ。

交代カードはまずアルビから。
サイド攻撃の起点になっていた斎藤選手から菅澤選手へ10代同士の交代。
斎藤選手も持ち前のテクニックに加えて、可愛い顔して10代とは思えない厳しい(えげつない)プレーでアルビの攻撃のポイントになっている。
菅澤選手が入って、ギアーチェンジ。
今度はトップの菅澤選手がボールをキープできるし、そのまま重戦車のごとく前へ押し出せるので、さすがの岡山湯郷のDF陣も止められない。
菅澤選手、GKと何度か1対1になるのだけど決められず。この辺が課題。
でもこのJFAからの研修生は、本当に今季のアルビを支えてくれたし、逆にJFAとしても特別指定選手制度を最も有効に活用できた事例だろう。無名に近い選手が今では未来のなでしこジャパン候補の一人として考えられるようになったのだから。

岡山も疲れの見えた津波古を中川に交代。
FWのイメージが強い中川をサイドに使うとは予想外だったが、これが意外にフィットして、アルビ陣内に侵入をしてくる。足が速いので、攻守に岡山の動きを活性化させる。

こうなると我慢くらべ。

オシャレなパス交換をしまくるアルビに対して、実に泥臭い地道なサッカーをする岡山湯郷。両チームの特長が互いに出てそれが観客を魅了する。

決定機はあるのだけど、なかなかシュートが入らないなと思っていたところに、乾坤一擲、左サイドから上尾野辺選手の左足が振り抜かれ、ゴール右隅に豪快な一発。

メグゴールに場内は総立ち! 

だが時間はあと15分。

アルビも攻めながらも、できるだけボールをキープ。

岡山もラスト10分頃からゴール前にボールを放り込んでくる。
時折、ゴール前に侵入されるも、東山選手が華麗な足さばきでボールを奪うや攻撃に切り替え。

野村選手に代わり口木選手を投入。
口木選手がボールを追い立てるものだから、岡山もなかなか自由にボールコントロールできない。

逆に奪ったボールを菅澤選手がボールキープ。

そしてタイムアップ。



GK福元がいたら当然違う展開になっていただろう。岡山の試合でマッチディプログラムに書かれた通り岡山の『楽勝』になっていたかもしれない。
不思議なのは福元がいないのにも関わらず、GK福元を想定した陣形を取ってきたこと。さすがに細川の守備範囲ではカバーしきれないだろう。それだけ福元離脱は想定外の事態だったんだろうな。






試合終了後はホーム最終戦のセレモニー。
本日のMVPのGK諏訪選手のインタビュー。
奥山監督のご挨拶。
江橋キャプテンのご挨拶。



そしてゲートにて全選手によるハイタッチでのお見送り。



昇格2年目のシーズンは大変だとは聞いていたけど、予想以上に厳しいシーズンだった。
TASAKIの件があったので入替戦は間逃れたけど、前半戦はアルビ側のミスで自滅を繰り返し、本当に今シーズンはどうなるんだろうかという時もあった。
が、ミスのシーン以外は昨年以上に濃度の濃いプレーをしていたので、とにかく自分達のプレーが90分間続けられれば必ず勝ち点は奪えるとも思っていた。
サポーターも凹んだが、選手はもっと凹んだんだろう。
そこを諦めずにコツコツと自分達のサッカーを積み上げてきたことが今に繋がっているんじゃないだろうか?

次の試合INACに勝てば昨年以上の勝ち点となる。引き分ければ昨年と同じ。負ければ昨年以下。
順位も決まり、アルビにとっては消化試合になってしまうのだろうが、ここを勝って終るか負けて終るかは1年間の結果としては大違いだ。
相手は2位争いがかかっているので必死だろうが、岡山湯郷と同様に日本サッカーリーグ昇格以来のライバルに勝ってこのシーズンを終らそう。









今季のアルビの1年はまさにこの2人の1年と言っていいだろう。
春先に怪我をして試合に出れなかった大友選手。そしてその試合で試練の連続だった諏訪選手。
怪我から回復してゴールを守った大友選手。先発を奪われても腐ることなく練習に励んだ諏訪選手。
そして再度大怪我に見舞われる大友選手。先発復帰し新たな境地に入った諏訪選手。
ライバルであり、よき仲間であった2人がいたからこそ今季のピンチを乗り越えられたのだと思う。
実は橋本選手という伸び盛りのバックアッパーが年間を通して練習に励んでいたからこそ、大友・諏訪選手という元年代別代表で大卒同期の選手が緊張感を保てた面もあったと思う。
まあ一番頑張ったのはいきなり3人もの新人GKを預かることになったこれまた新人Gkコーチの轟GKコーチだけどね。