第30回 全日本女子サッカー選手権大会 準決勝 (西が丘サッカー場 1,235人)
TASAKIペルーレFC 1-4(1-2、0-2) INACレオネッサ (馬場佐知子主審)
14分プレチーニャ、41分角田、44分山本、52分米津、77分川澄
東京開催の神戸ダービー。準決勝というのに当然観客はあまり多くは無い。
まあ、来場しているのは、TASAKIの関係者か、事情を知っている人、もしくは相当なサッカーマニアだ。
大方の予想通り、INACが一方的に攻め、TASAKIが守ってカウンターで攻める展開。
TASAKIのオフサイド取得が10っていうのがいかにもTASAKIらしい。
だが、この戦法は副審や主審の判断に左右されることもあり、試合途中に曖昧なジャッチの時間帯があったのは不運だった。
TASAKIは山本絵美が好調で、攻撃は山本に頼るしかないかな?と思っていたところ、しっかりとゴール前のシュートを決めた。
さすがは山本。これでプレーは見られないかもしれないが、最後に良いシュートを見せてくれた。
INACは監督の「シンプルにシンプルに」が徹底されていた。
とにかく前の3枚(鈴木・米津・プレチーニャ)にボールを預ける。
その3枚はコースが空けば、結果はともかくシュートを選択。
シュートが外れようが、それは構わないという考え方。
アルビレディース戦で、プレチーニャに先制点を決められたのも、アルビがコースを空けたのが悪いのだが、こういうチームとしての考えが徹底されていたからだろう。
この試合、プレチーニャはご機嫌モードで、一人別次元のサッカーをしていた。
TASAKIの戦術として、強く当たりに行かないこともあり、終始余裕を持ってプレーしていた。
前半14分のゴールはその結果と思われる。
TASAKIの守備が前のFW3人に釣られて真ん中に集中したところを、駆け上がってきて右サイドがフリーになった角田に直接決められ致命的な2点目。
山本絵美が1点返すものの、試合の流れはINAC。
右サイドから相手のDFが空いたところを米津がシュート。そのままゴール。この形は前半にも決まらなかったがあったので、相当練習していたのだろう。
最終兵器川澄投入で、INACがボールホルダーの時間が長くなり、GK斎田のキックが川澄に直接当たりゴールへ一直線。
そのまま川澄が決めて4-1。
TASAKIも下小鶴を前線に上げ、3バックにして、パワープレーで最後の抵抗を試みるが試合終了。
TASAKIペルーレは3位表彰となる。
INACにしても最後はDFの足が止まってしまって、苦しかったように見える。
攻めどころを山岸のところだったんだろうが、よく耐えていた。むしろキックは往年のロングキック健在だった。
ジナが良い動きをしていた。今のジナを抜くのは大変だ。
INACはきっとTASAKIの下小鶴が欲しいんだろうな。どうなることやら。
阪口が今大会2枚目の黄紙を貰ったので、勝ち上がっても決勝戦では出場停止だったのではなかったのかな。たぶん。
廃部するTASAKIへの取材陣が多く訪れていたが、あまり試合内容を取材するような姿勢は見られなかった。
TASAKIは廃部となるが、どうやらリーグに提出されたリストに名前がある選手は現役を続行する模様である。
1部で何人の選手が続けるかどうかは分からないし、大学生の2人も未定ではあるが。
ただ、選手としては来季の続けられることの目処が立ったのはよかった。
おそらく数名が新潟でプレーすることになるのではないだろうか?
もちろん、今までのような待遇では無いし、知らない土地ではあるし、チームもTASAKIのように直ぐに結果が出せるような状況でもない。
なので、上位チーム以外に移籍先を見出す選手は相当な覚悟だろう。
1月5日が田崎真珠の会社としての仕事始めらしいので、もう少ししたら、それなりの情報は出てくるだろう。
INACも契約更改時期で、おそらくプロ選手の中で、来季の契約を結ばない選手がいると思う。
元旦国立で引退は花道としては最高の舞台になった。
INACのサポーターが4人に増えていた。
神戸の時は1人だったから、単純に4倍に増えたわけだ。
国立の器で彼らの声が選手に届くことを祈らずにはいられない。
アン・ヨンハ選手の出身校が西が丘競技場のすぐ隣にあったので、招待してあげても良かったんじゃないだろうか。
試合終了後、ベレーザサポがTASAKIの選手にエールを行なっていた。選手達も挨拶をしていた。
考えてみれば、L・リーグ時代からなでしこリーグに至る長い時を彼らは共に過ごしてきたんだもんな。
アルビレディース的には、共に2部の時代から戦ってきたライバルであるINACが国立の舞台に立てるのは正直羨ましいが、こちらもこちらで短くはあるが共に過ごしてきた歴史があるので、心情的にはINACの善戦を期待したい。
現状、日テレ・ベレーザが群を抜き、それをINACとレッズが追走、かなり離れてそれ以外のチームというのがなでしこリーグ1部のレベルだと思う。
そういう意味で、女子サッカーを全く見たことの無い人が見るには「日テレ・ベレーザ VS INACレオネッサ」は好カードだと思う。
もちろん、内容はともかく、アルビレディースがあのテラスに上れたらなと願っている。その気持ちはある。