9月26日(現地時間)にトリニダード・ドバコを出発したサッカーU-17日本女子代表が帰国。
残念ながらほとんど日本メディアは報道せず。
優勝したお隣韓国はちょっと凄すぎるとはいえ、日本は寂しすぎる。
まあ、これが現在の日本女子サッカーの立ち位置ではある。
jfa_nadeshiko
大会を振り返って U-17女子代表全選手コメント(写真付き)
さて、今回のU-17女子W杯、東アジア勢の活躍がめざましかったが、アジア予選3位通過の日本が準優勝できたのはかなり運もあったかなとは思う。
FIFA U-17女子ワールドカップ トリニダード・トバゴ 2010 U-17日本女子代表の試合結果
〔予選リーグ〕
●9月 6日(月) スペイン 4-1 日本 (Ato Boldon Stadium)
○9月 9日(木) 日本 6-0 ベネズエラ (Ato Boldon Stadium)
○9月13日(月) 日本 6-0 ニュージーランド (Dwight Yorke Stadium)
〔決勝トーナメント〕
○9月17日(金) 準々決勝 アイルランド 1-2 日本 (Larry Gomes Stadium)
○9月21日(火) 準決勝 北朝鮮 1-2 日本 (Ato Boldon Stadium)
●9月25日(土) 決勝 韓国 3-3 (PK5-4) 日本 (Hasely Crawford Stadium)
本大会は4勝2敗の成績。
吉田弘監督(常葉学園橘高校)率いる吉田ジャパンの面々は以下の通り。(決勝戦スタメン+サブ)
GK 1 平尾 恵理 (聖和学園高校) (Cap)
DF 5 和田 奈央子 (JFAアカデミー福島)
DF 13 村松 智子 (日テレ・メニーナ)
DF 14 浜田 遥 (JFAアカデミー福島)
DF 15 高木 ひかり (常葉学園橘高校)
MF 7 猶本 光 (福岡J・アンクラス)
MF 8 田中 陽子 (JFAアカデミー福島)
MF 9 川島 はるな (JFAアカデミー福島) → 50分 DF 4 長澤 優芽 (日テレ・メニーナ)
FW 10 京川 舞 (常盤木学園高校) → 87分 MF 6 仲田 歩夢 (常盤木学園高校)
FW 16 加藤 千佳 (浦和レッズジュニアユースレディース)
FW 17 横山 久美 (十文字中高校) → 104分 FW 11 田中 美南 (日テレ・メニーナ)
SUB
GK 12 望月 ありさ (日テレ・メニーナ)
GK 21 三田 一紗代 (京都精華女子高校)
DF 2 樫本 芹菜 (藤枝順心高校)
DF 3 金澤 真美 (常葉学園橘高校)
DF 4 長澤 優芽 (日テレ・メニーナ)
DF 20 長嶋 洸 (浦和レッズジュニアユースレディース)
MF 6 仲田 歩夢 (常盤木学園高校)
FW 11 田中 美南 (日テレ・メニーナ)
FW 18 本多 由佳 (JFAアカデミー福島)
FW 19 後藤 亜弥 (常葉学園橘高校)
所属別に分けるとこうなる。
〔JFAアカデミー福島 5名(全て1期生)〕
DF 5 和田 奈央子 (高2/東京都)
DF 14 浜田 遥 (高3/大阪府)
MF 8 田中 陽子 (高2/山口県)
MF 9 川島 はるな (高2/静岡県)
FW 18 本多 由佳 (高2/富山県)
〔高校サッカー 10名〕
DF 15 高木 ひかり (高2/常葉学園橘高校)
DF 3 金澤 真美 (高2/常葉学園橘高校)
FW 19 後藤 亜弥 (高2常葉学園橘高校)
FW 10 京川 舞 (高2/常盤木学園高校)
MF 6 仲田 歩夢 (高2/常盤木学園高校)
GK 1 平尾 恵理 (高3/聖和学園高校)
GK 21 三田 一紗代 (高3/京都精華女子高校)
DF 2 樫本 芹菜 (高3/藤枝順心高校)
FW 17 横山 久美 (高2/十文字中学高校)
〔クラブチーム 7名〕
GK 12 望月 ありさ (高1/日テレ・メニーナ)
DF 13 村松 智子 (高1/日テレ・メニーナ)
DF 4 長澤 優芽 (高2/日テレ・メニーナ)
FW 11 田中 美南 (高1/日テレ・メニーナ)
DF 20 長嶋 洸 (高2/浦和レッズジュニアユースレディース)
FW 16 加藤 千佳 (高2/浦和レッズジュニアユースレディース)
MF 7 猶本 光 (高2/福岡J・アンクラス)
今回の大会、怪我人とかの状況で、エースは横山と大半のものは思っていたが、予選リーグ初戦で横山を先発させず敗戦。
結果的に決勝リーグへは進めたが、どういう考えだったのだろうか?コンディションの問題だったのかな?
アメリカがいないで、尚かつ決勝トーナメントとしては東アジア勢との対戦が2試合だった大会だったので、貴重な経験値アップの場としては如何なものだったかと思う。後になって効いてこなければいいが。
今回のU-17日本女子代表からの特色はたぶんJFAアカデミー福島の選手が主体となったこと。
さらにクラブチームからの選考が少なくなり、高校サッカーからの選出、特に吉田弘監督の常葉学園橘高校からの選出が目立ったこと。
さらに高校サッカーとしては異色の部類に属する常盤木学園高校からの選出が激減したこともこの世代から。
フル代表・U-20との大きな違いは、佐々木監督が様々な選手を日本中から呼んで試していたのに対し、この世代はほとんど最初からのメンバーで固定されていた。
一見人材不足なのではないかと思われてもしかたが無いような選考であった。
なでしこリーガーとして唯一参加した猶本光(福岡J・アンクラス)の実戦経験は別として、関東女子リーグで大人と対戦している日テレ・ベレーザや浦和レッズジュニアユースからの選出が少なかったのが、最後に経験不足として出たのではないだろうか?
今後、U-17日本代表という高校生世代の選考は高校サッカー中心になっていくのか、それともクラブなのか、中学3年生の進路決定に大きく左右されそうなところである。
今回は、常葉学園橘高校に在籍するということがアドバンテージになったことは確かであろう。静岡県のみならず全国から生徒が集まりやすくなったかもしれない。
それにしてもクラブチームから何故今回、こんなに少ない選考だったのだろうか?クラブチームに所属する中学生は高校サッカーへ移る傾向が顕著になっているのだろうか?
部活動の方がやりやすいのかぁ、民間のクラブチームよりも、進学がセットになっているから。基本私立なんだけどこの経済状況も関係しているのかな。全寮の学校から通いの学校へシフトしてきているように感じるのは気のせいかな。
関西のクラブチームから一人も選ばれていないのは何故なのかも含めて、高校サッカーに対抗する勢力としてのクラブは工夫する余地があるのかもしれない。
クラブチームに所属する高校生選手が能力を発現する場が高校サッカーよりも少ないのかもしれない。まあ、リーグ戦とかもやっているからそんなことはないとは思っているのだが。
JFAアカデミー福島について、ちょっと気になる点があって、GKの育成はどうなっているんだろうかと。
実際問題として、在籍年数の少ない1期生の山根は別として、年代別代表にほとんど選ばれていない。
今回のU-17のGKはスーパープロジェクトの常連さんがついに世界の場へという大会であったのだが、JFAアカデミー福島的には結果が出ていない。
もともと少ないっていうことはあるのだけど、父母の身長等の身体的チェックをして厳格に入学させているわりには伸びてこない。
GKコーチあるいはプログラムが悪いのか、JFAアカデミー福島の置かれている環境がGKを養成しにくいのか、検討が必要なのではないだろうか。
とはいえ、GKに関わらずJFAアカデミー福島の生徒さん方は中学生から福島へ連れてきてしまったのだからJFAが卒業後の面倒もみるしかあるまい。
2回卒業生を出したJFAアカデミーからなでしこリーガーは3人誕生しているが(東電に進んだ亀岡は既に退団したので現役なでしこリーガーは2人)、トップリーグに行けなくともどこかでサッカーを続けることでエリート教育を受けたことが役立つのではないだろうか。
今回選ばれた猶本光以外のU-17日本女子代表が高校卒業後、どういう進路を取るかは興味深い。
大学へ行ってユニバーシアード日本女子代表になるか、なでしこリーグへ行ってU-20日本女子代表になるか。
ユニバーシアードに関しては韓国が強くなっているので、今回のリベンジを果たすには絶好に機会だ。
U-20W杯に関してはアジア予選もあるので韓国と対戦することもあろう。
育成世代から日韓交流を続けているU-15世代以下からはどういう形のU-17日本女子代表になっていくのだろうか?
まあ、その前にアジア予選があるので新しいU-16日本女子代表がどういう選考をされるのか、クラブと高校サッカー、二つの世界の指導者の戦いが見ものだ。
クラブと常盤木学園高校の否定の結果得られた今回の結果について、吉田弘監督(常葉学園橘高校)はJFAからかなりの高評価を受けると思われるが、さて、その結果、日本の女子サッカーはどういう方向に進むことになるのだろう。
せめてクラブチーム冬の時代が訪れることのないようにしてもらいたいものだ。
この世代には今回選考に掛からなかった選手の中にも能力の高い選手はいると思う。
これで大会は終ったのだからリセットである。
ユニバーシアード女子代表あるいはU-19日本女子代表へ向けて新たな戦いが始まる。