黄紙に注意! 鳶ブログ

サッカーに魅せられて全国行脚。
奥山監督率いるアルビレックス新潟レディースを応援しています。

プレナスなでしこリーグ 第18節 伊賀FCくノ一戦 「W未来で勝利を掴む」

2008-11-03 23:31:35 | アルビレディース
2008プレナスなでしこリーグ 第18節 2008年11月3日(月・祝)12:01K.O 新発田市五十公野公園陸上競技場 大岩真由美主審

アルビレックス新潟レディース 1-0(0-0、1-0) 伊賀フットボールクラブくノ一

得点 84分 中島1



前座試合の最中に強烈な雷雨(ゲリラ豪雨)に襲われる。
当然、前座試合は中止、観客一同安全な場所に避難。
五十公野は海にも山にも近いので雷雨には気をつけねば。



雨の様子を窺う名将大須賀まき監督。かつてベレーザをリーグ優勝に導き最優秀監督賞を受賞している経歴の持ち主だ。
伊賀上野でアルビが伊賀を倒したその日に実質的な監督更迭が行なわれ、大須賀体勢となった。


その雷雨も練習時間前には止む。

敬和学園のバンドの音色が競技場を包む。曲はもちろん「俺の新潟」。
ちなみに彼等が来ると負けたことはない。不敗神話を持つバンド。



この試合の主審は大岩真由美氏。国際審判である。そこら辺のお嬢様審判とは違ってバンバン流すのでセルフジャッジは禁物である。へたに倒れたら立て立てと起こされる。




会場ではベンチ入り以外の選手がタオルマフラーとリーグパンフレットの販売を行なっていた。
サポーターに名前を覚えてもらうには良い機会だ。特に若手は。




[伊賀FCくノ一]

       大野
庄司 池内  佐藤 山科
   宮本    堤
吉泉        清原
   大歯  永留

SUB:磯上、鈴木、作元、熊谷、立岡
監督:大須賀まき

伊賀も総力戦である。怪我で松葉杖姿の主将小野鈴香も来場し選手に激を飛ばす。
頼みのエース村岡も怪我、ディフェンスの要であるベテランの村上真理も累積警告で出場停止と選手のやり繰りは非常に厳しい状態だろう。
リザーブの戦力差がかなり大きい。
伊賀の切り札はこの日の為に選手登録をした熊谷さやか。熊谷投入のタイミングが勝負どころであろう。
GKは大野は関西大学No.1と称された選手。大体大黄金期のGKでインカレ優勝の立役者。GKコーチと共に伊賀にやってきたが、今のところ結果を出していない。が、上手い選手には変わりないので、ゴール前の1対1は相当切り返さないと決まらないだろう。
こういう重圧のかかった試合で、永留・吉泉・宮本・大歯らベテラン中心にスタメンを組んできたのが吉と出るか凶と出るか。足が止まる時間帯がいつになるかで勝負の流れが決まる。


新潟も総力戦である。人権君も参加してほしかったな。





[アルビレックス新潟レディース]

    
     牧野
與山 上尾野辺  斎藤
  田中   江橋     
山本 詫間 東山 川村
     諏訪

SUB:橋本、井上、中島、口木、菅澤
監督:奥山達之

アルビで一番得点の匂いがするのが、先日U-20日本代表に選出された與山選手。
挨拶でこの試合での意気込みとチリでの活躍を表明してくれた。頼もしい限りである。
奥山監督のプランはおそらく最悪引き分けでもいいから勝ち点を奪うことではなかったのだろうか。



久々に出場の田中桜選手がボランチに入る。当然宮本ともみに対するマーカー。
日本を代表する中盤の要、広い視野を持つ宮本を押さえないことにはアルビに勝ち目は無い。



川村優理選手が右SBに入る。伊賀のメンバーからいって攻撃の中心は左側から。
毎試合相手の攻撃に合わせて川村選手の位置を変えているが、今回は右に配す。
新人斎藤友里選手(実は同じ年齢なのだが)の動きをフォローしながら自分も攻撃参加するという難しい命題を与えられる。




この試合のキーマンとなるGK諏訪江利乃選手。そしてリザーブの橋本泰子選手。
諏訪選手にとっては待ちに待ったリベンジの時である。新潟市陸での借りを是が非でも返したいところ。轟GKコーチと共に完封を狙う。




ピッチはスリッピー。ボールの転がりが速い。ゴール前の攻防のミスは絶対に許されない。



優勝経験のある名門中の名門「伊賀」。
絶対に降格だけは避けたいという思い、そして女子サッカーに対するプライド。
ベテランを中心に女子サッカーを支えてきた自負。
追い込まれて後が無い状態のチームを叩くのは半端なサッカーではできない。
アルビのこの一年間のサッカーが試されるそんな試合。

万感の思いに包まれた新発田市五十公野陸上競技場。定刻より1分遅れて、12:01K.O。


前半開始からパスを繋ぎボールを細かく細かく繋いで行くアルビ。
それに対してボランチ宮本のキック力を活かして頭の上をロングフィードでDFの裏へ放り込んでくる伊賀。
宮本以外の選手だと1対1になればアルビの選手の方が技量が上なのでボール奪取ができる。
吉泉・永留が予想以上のハイペースで飛ばす。アルビの選手へのプレスもきつい。
伊賀は今まであまり相手に突っかかるようなことをしないチームだったが今回は違う。少なくともこの二人は技術を越えた気合が感じられる。
若い堤がつられて宮本の周りでセカンドボールの処理をする。
その分、宮本がFWを越す動きを見せる。
宮本が伊賀でこんなに高い位置を取るのは初めて見た。シュートを撃ってくる。


アルビは左サイドの與山選手が絶好調で外や中へ切れ込んでゴール前でシュートを連発。残念ながら枠に飛ばない。が、そのおかげで伊賀のDFラインを下げてくれる。

いつもの失点時間を経過して、得点の香りもするのだが、結局ゴールに至らず。
逆にカウンターを食らうも、DFやGKで処理。詫間選手をCBで使っている分、東山選手や山本選手のラインコントロールの負担が大きい。が、詫間選手の対人の強さで中への侵入を回避している。

前半を0-0で終了。先制点が欲しかったところだが、伊賀も体力がある分、ゴール前で自由にさせてくれない。



後半、両チーム共に選手交代は無し。


後半は一転して伊賀ペース。風の影響は全く無かったので、伊賀が最後の体力と気力を振り絞って反撃に出たということだろう。
とにかく宮本が止められない。田中選手がコースを塞ぐが、堤がその周りをチョコチョコと動いているので、ボールが奪取できない。
吉泉も永留も全速力で宮本からのフィードに追いつこうとしている。
さすがにゴール前にボールを運ばれると伊賀も撃ってくる。
前半ミスもあったGK諏訪選手だが、ここら辺から全開モード。キャッチ。キャッチ。パンチング。女の意地を見せる。

そんな伊賀ペースになっていた後半、先に伊賀がカードを切る。
伊賀からの刺客「熊谷さやか」を0-0の膠着状態で疲れの見えた吉泉に代わって投入。

その直後、アルビにアクシデント。詫間選手が怪我でチッピ外へ。
口木選手を投入。田中選手をCBに下げて、斎藤選手を中へ入れ、口木選手が右サイドハーフへ。

これでアルビに勢いが出始める。

その頃から伊賀の選手の足が段々止まり始め、足を攣る選手も出始める。

そして後半31分、それまでチームのダイナモとして機能していた堤早希が負傷退場する。鈴木綾が急遽投入。

それを境にアルビ反撃ののろしが上がる。

相手の中盤機能が落ちたところで、アルビベンチが次々とカードを切る。

まずは中盤に入っていた斎藤選手に代え、特別指定選手の菅澤選手をトップに配し、牧野選手が自由に動けるようになる。

さらに與山選手に代え中島選手を残り7分で投入。相手の動きが落ちるのを待っていた奥山監督が勝負に出る。






運命の神様は時々いたずらをする。


伊賀の選手は運動量が落ち、もう走れない状態だったのに、唯一俊足を飛ばせる選手がいた。そう熊谷さやか。



トップ下で自由に動けるようになった牧野選手が右サイドで伊賀の選手4人に囲まれる。
その大勢の選手をかわして、縦への絶妙なパス。
そこへ途中交代で元気な口木選手が走り込んで、相手ゴール前へドリブル。
相手のDFは一人。
ゴール前、相手のDFとGKが届かないところへこれまた絶妙なシュート。
「決まった!」思われたその時、センターラインから猛然とダッシュしてそのボールに追いついた緑のユニフォームの選手。
そう熊谷さやか。普通だったら間に合わない距離をゴール前まで戻ってきたのだ。
口木選手のシュートを足に当ててブロック。

が、その跳ね返ったボールがゴール前に詰めていたこれまた直前に交代していた中島選手の足元に。
そのままシュート。
逆を突かれたGK大野が必死に触るもボールの勢いが勝りゴールへ向かう。
熊谷さやかとDFが必死に追いかける。
ボールがゆっくりとゆっくりと転がっている。もし芝が濡れていなかったらこうはいかなかっただろう。

そのままボールはゴールに吸い込まれる。


場内は歓喜に包まれ、アルビ待望の6試合ぶりの得点が先取点となる。

こうなるともう伊賀に走る力は無く、アルビがボールを支配し試合終了。






決して格好の良い勝ち方ではなかったけれど、負けないことをベースに勝ち点を積み上げる作戦は成功だったのではなかっただろうか。
「守備からボールを奪取してサイドから攻める」というアルビレックス新潟のクラブとしての戦い方で勝ったことが大きい。




GK諏訪選手と轟GKコーチががっちり握手。
完封できたという自信がこれから先の試合に活きて行くに違いない。
大友・諏訪・橋本という育ち盛りのGKを任されている轟GKコーチが実は今年のキーマンだったのかなと思った瞬間。



さて「次の東京電力に勝利し かつ 伊賀が負けた場合」1部残留は次節で決定する。

この勝利を無駄にすることなく、Jヴィレッジで長岡の借りを返してもらおう!