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福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

フルニエのバッハ無伴奏 東京ライヴ

2014-08-29 12:57:59 | レコード、オーディオ



先頃、エフエム東京(キングインターナショナル)をからリリースされたばかりのピエール・フルニエのバッハ「無伴奏組曲全曲」アナログ盤を聴いた。


1972年3月2日&4日、虎ノ門ホールに於けるライヴ収録。
レコード番号 TFMCLP 1011/3 3LP STEREO

すでに、2001年に国内盤CDとして世に出ていた録音。放送局音源だけにCDの音も良かったが、このたびのアナログ化で、この演奏の真価が一層明らかにされたと思う。
ヴェールが1枚も2枚も剥がされたように音が生々しくなり、フルニエの息遣いがより克明に感じられるのだ。結果、CDでは気になることもあった技術的な瑕疵(特に「第6番」)もさほど気にならなくなった。より実演の感動に近づいたということだろう。素敵なことだ。

この演奏については、拙著「バッハをCDで究める」にも採り上げたが、アナログ盤の出現により、評価を一段格上げせねばなるまい。

限定350組プレスとのこと。
入手を迷われている方にも、お勧めしておきたい。

なお、フルニエには、このほかに3種の無伴奏の録音が遺されているが、そのうちレコードとなった2種のスタジオ録音盤のジャケット写真を掲載しておこう。
1959年録音の放送録音盤(仏Accord CD)もどこかにあるはずなのだが、行方不明で撮影できず・・・。

録音 1960年
独ARCHIVE 198186/8 3LP STEREO



録音 1976、77年
日PHILIPS 25PC166/8 3LP STEREO


衝撃の事実

2014-08-27 11:08:54 | レコード、オーディオ
アナログ派を自認するワタシではありますが、今日、衝撃の事実を目の当たりにし、愕然としてしまいました。

オランダPHILIPSのHi-Fi STEREOといえば初期ステレオ・レコードの雄、アナログ・マニア垂涎のレーベルですが、ものによってはCDの方が音が良い。
それは、認めたくはないけど、事実だから仕方ありません。ハイレゾならいざ知らず、スペックの低いCDに負けたというのは悔しいことですが・・。

特に片面に長時間収められている盤にその傾向があるようです。レコードが高価な贅沢品だった半世紀昔(いまも、別の意味でそうですが・・)、ひとつのシンフォニーを2枚組にすることでのセールスの不利は目に見えており、営業上、ダイナミックレンジの幅を縮小してさえ無理に詰め込まざるを得なかったのだと思われます。

もちろん、このひとつの事例をもって、我がアナログ派の立場は揺るぐことはないのですが、優秀な復刻LPの存在もあることですし、何が何でもオリジナル盤が一番、という思い込みは慎まねばならないことを再認識した次第。





今日は感じなかった・・

2014-08-25 15:27:24 | レコード、オーディオ
カラヤン&ベルリン・フィルのブラームス交響曲全集から、「3番」を聴いたのだが、今日は感じなかった。

ブラームスよりもカラヤンやベルリン・フィルの存在ばかりが感じられるのだ。

曲または演奏による違いなのか?

わたしのコンディションの違いなのか?

これから、検証しなくては。

私の悪いくせ

2014-08-25 09:07:04 | レコード、オーディオ


矢野顕子「飛ばしていくよ」

アナログ・バージョン発売後、忽ち品薄、否、品切れ状態。
Amazon、TOWER RECORDS、HMV・・、大手のサイトは全滅。

と言われるとムクムクと沸き上がるのが「よし、手に入れてやろう」というコレクター魂(笑)。

♪それが、私の、私の悪いくせなのです
(ごく一部の人にしか理解出来ない引用でスミマセン・笑)

検索しまくって、ようやく一件ヒットしたのが熊本の小さなレコード・ショップ。

半信半疑で注文したところ、取り寄せではなく店頭在庫があった模様で、今朝、無事に届いた。ありがたや、ありがたや。

いま、聴き終えたところだが、これは良い!

YES-YES-YESといえば、オフコースのヒット曲のカヴァーだが、アレンジといい、もちろん、ヴォーカルといい、完全に原曲が分解され、矢野顕子ワールドに組み立て直されている。しかし、その背後に矢野顕子の小田和正に寄せる個人的な憧憬が滲んでいる。

いや、ほかの曲もみんないい。

どのナンバーを聴いても、家族や大事な人への想いがハッと思い出されては胸がホッと熱くなるのだ。



くまモンさん、こちらこそ、有り難う!








カラヤン二度目のブラームス交響曲全集

2014-08-24 17:24:38 | レコード、オーディオ


昨日、新国立劇場の帰りに何故か京王新線を新宿駅で降り損ね新宿三丁目へ。

念のため申し上げると、二丁目ではない(笑)。ボクの向かうところはただひとつ。
ちょっと冷やかすだけのつもりが、そこそこレコードを買ってしまった。

カラヤン&ベルリン・フィルによるブラームス交響曲全集(4LP)もそのうちのひとつだ。

70年代、つまり、彼らの二度目のブラームス交響曲全集ということで、分厚いサウンドといい、確かなテクニックといい、これでもか、これでもかと、オーケストラの威力を見せ付ける。

カラヤン&ベルリン・フィルのこのゴージャスさが、ときに作品の本質との乖離を感じさせるわけだが、このブラームスは悪くない。
「1番」も「4番」も気持ちよく、聴き通すことができた。



しかし、ブックレットの写真には、時代を感じるな。
いまの時代、こういう作られたポーズ、虚像は音楽ファンに見抜かれてしまうだろう。

カラヤンの音楽にこういうナルシシズムのあるのは確か。クナッパーツブッシュがカメラ向けに計算されたポーズをとる筈もなく、やはり、それは両者の音楽性の違いに通じていよう。

それでいてなお、このブラームスは魅力的であった。残る二曲を聴くのも楽しみだ。







嬉しいボーナス ~ ピエール・モントゥーの写真

2014-08-14 14:21:42 | レコード、オーディオ


郵便受けに届いた荷を開けると、先日購入したモントゥー指揮の「未完成」のアナログ・レコード国内盤であった。

モントゥー最後のフィリップス録音である「未完成」のステレオ・プレスをオランダ盤オリジナルで探すのは困難のため、取り敢えず国内盤にて、と入手したのだが、嬉しい特典が!

ピエール・モントゥーの生写真付きだったのである。しかも、パラフィン紙に包まれたままの保存状態も最上。前のオーナーさん、よくぞ大事にしていてくれたものだ。心よりの感謝。

なぜ、生写真付きなのかというと、当レコードは1964年(昭和39年)の後半、モントゥー逝去から間もなく発売された追悼盤だったためだと思われる。

実は当レコードを入手するのは二度目。最初に手にした盤のコンディションが悪く、この度買い直したというワケだが、まさかこんな特典が付いてあるとは予想していなかっただけに望外の歓びである。



国内盤ながら、歴としたHi-Fi STEREOレーベル。カップリングは、モントゥー指揮による「白鳥の湖」ハイライトからのさらに抜粋だ。予定されていたカップリング曲の録音前に亡くなってしまったための緊急措置であろう。いったい、どんな作品と組み合わせる計画だったのか? 気になるところだ。

なお、フィリップス・レーベルの当時の発売元は日本ビクター。つまり、当ディスクはビクター・プレスということになる。



いやはや、嬉しい。
早速、額装しなくては。
こんなボーナスなら大歓迎である!

ボーナスにガックリ・・

2014-08-14 12:58:31 | レコード、オーディオ


カルロス・クライバーのアナログ・レコードboxに付いていたボーナス特典。ワクワクしながらダウンロードしたところ、その正体はCDより音質に劣るMP3だった。

まあ、オマケなんだから、と言われればそれまでだけど、わざわざアナログ・レコードを買おうというマニアは、MP3で音楽を聴かないのでは。

もちろん、無料でハイレゾ音源は虫のいい話。ハイレゾで聴きたければ、別途Blu-rayオーディオを買え、ということなんだな。
まあ、それは分かる。

要は、壁紙のダウンロード権とかのほうが、よほど有り難かったなぁ、という他愛のないお話。

カルロス・クライバー COMPLETE ORCHESTRAL RECORDINGS on DG

2014-08-14 10:41:34 | レコード、オーディオ


装いも新たに登場したカルロス・クライバーのアナログレコード・セット。独グラモフォンに遺したオーケストラ曲全集である。完全限定2800セット。



全集といっても、録音の少なかったクライバーのこと、LPレコードにしてたったの4枚。ベートーヴェン#5 & #7、シューベルト #3 & #7(8)「未完成」、ブラームス#4、以上3人の作曲家による5つの交響曲のみ。オーケストラは全てウィーン・フィルだ。





ベートーヴェン#7の新旧ジャケットを並べてみた。新しい方(写真右)には仕上げに光沢がなく、裏面の下地も旧盤の象牙っぽい色に対して真っ白。



レーベルのデザインは、お馴染みのDGのものに較べて、良く言えばシンプル、正直のところ、やや寂しい感じ(笑)。
なお、盤の重量もオリジナルが薄く軽量だったのに対し厚みのある180g。ズシリと重たくなっている。

さて、肝心の音は?

うーん、これについては、リリースされたばかりのレコードでもあり、ファンの皆さんに先入観を与えてもいけないので、取り敢えず、いまは黙しておこう。





ジャケット裏の解説とは別に、英独仏語によるブックレット付き。写真を眺めるだけでも楽しい。



これは事前に知らなかったのだが、どうやら、ドイツ・グラモフォンのサイトから音源をダウンロードできるコードが付いている模様。後で試してみることにする。


ブリュッヘンの死を悼む

2014-08-14 00:21:44 | レコード、オーディオ


ブリュッヘンが亡くなった。享年79。

18世紀オーケストラとの最後の来日公演で聴いたベートーヴェン「英雄」、シューベルト「未完成」、メンデルスゾーン「イタリア」は神業だった。

まるで、介護施設の老人のように車椅子に押され、自らの力で指揮台にも登れない男のどこにあのような奇跡の力が宿っていたのか。



今宵、ブリュッヘンを偲ぶために選んだのは、指揮者ブリュッヘンではなく、笛吹きブリュッヘンによるコレルリのリコーダー・ソナタ集。
有名な「ラ・フォリア」を含む作品5の後半の6曲を収録したアルバム。
原曲は述べるまでもなくヴァイオリンのためのソナタであるが、この音域的にも音量的にも、ヴァイオリンと同列に語るには憚られる素朴にして単純な縦笛1本から繰り広げられるファンタジーのなんと無限で美しいことだろう。楽器の性能の制約を却って大きな武器にしてしまう天才性がブリュッヘンにはあったのだ。

後のブリュッヘンが、オーケストラという夢の楽器を手にしたときに羽ばたいた驚くべき表現力の原点は、この1本のリコーダーにあったという想像は、そう大きくは外れてはいないのではないか。

久しぶりに針を降ろしたこのコレルリには、背筋が寒くなるほど感動した。前半の6曲の聴けないのが悔やまれるほど。



神業といえば、共演しているビルスマとレオンハルトも同じ。まさに三位一体の名演。どんなに、時代が下ろうとも、この演奏の価値が消え去る日の訪れることはない。



ヘンデルの木管楽器のソナタ全集も本当によく聴いた。これは新旧あるうちの新しいセオン盤。コレルリとヘンデル、これにオトテールを加えた3組が我がベスト3と言えるだろうか。

合掌。



ナイジェル・ケネディの「四季」旧録音をアナログで聴く

2014-08-10 10:10:08 | レコード、オーディオ

ナイジェル・ケネディのヴァイオリン独奏&指揮 イギリス室内オーケストラによるヴィヴァルディ「四季」がアナログ盤で出ていたのを見つけ、すかさず入手。

1989年にCDが発売されるや全世界で200万枚を超すセールスを記録したという恐るべきレコーディングである。

そのパンクな髪型そのまま、まるでロックスターのように演奏する、という評を聞いた憶えもあるが、白紙の心で聴いたところ、おおいに感銘を受けた。

確かに、自由奔放な即興性に驚かされる場面もあるけれど、技巧は確かで音楽には確固とした芯がある。決して耳を驚かせるだけの小手先の曲とはなっていない。
共演のイギリス室内オーケストラのアンサンブルも本物で美しい。

これだけ、聴き慣れたヴィヴァルディの音楽をかくも新鮮に聴かせるケネディの力量には感服した次第。新録音にも興味があるし、実演も聴いてみたいところだ。

なお、この録音は、アナログ盤としても相当に売れた模様で、オークションなどで容易に入手することができる。

ただ、それらが1989年ドイツ・プレスとあるのに対し、わたしのたまたま手にした盤は1997年(EMI100年)、UKプレスと表記されている。盤にも厚みがあり重量盤のような気がする。

両者にどれほど音質の違いがあるのかは、今は何とも言えない。