先日、会社帰りに、葉っぱにしがみ付いた、蝉の抜け殻を見つけた。
2~3歩通り過ぎたのを戻り、葉っぱに手をかけたが、止めた。
数時間前まで、確かに、ここに命があった。
そう思うと、たかが蝉の抜け殻でも、理由もなく持って帰るのを、ためらった。
次の日、出勤時にカメラを持って出て、パチリと1枚。
夏には夏に生きる虫の命がある。
ただ、にぎやかしいだけの蝉の鳴き声にも、意味がありそうな気がする。
もし、蝉の言葉が分かったら・・・・・
「やぁ! 君も地上に出て来たんだね。ご苦労さん!」
「そう、肩苦しい殻を脱ぎ捨てて、やっと羽を伸ばして飛べるよ。
これが、楽しくてね。」
「おいおい、余り羽を伸ばし過ぎて、大事な、最後の任務を忘れるなよ。」
「そうだったね。
その為に、僕たち蝉は7年間も地中で生きて来たのだから。
人間は、僕たち蝉は、7日で死んでしまう可哀そうな虫だというけど、
余計なお世話だよね。」
「そうだ!そうだ! 早く可愛い女の子を見つけて、子孫を残さなきゃ。」
「はいはい、今日は張り切って、いつもより良い声で鳴くぞ!!
チョット、カノジュ オチャシナイ! ミィ~ミィ~ミィ~~」
木の下に、行ってみたら、
そんな声が、聞こえて来るかもね。