徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

美術展 小林古径展(東京展 前期)(★★★)

2005-06-18 | 美術
小林古径展(東京展 前期) 国立近代美術館

古径の作風の変遷が良く分かる作品群。 はろるど・わーどさんの「人間へ対する温かい眼差し」は、特に歴史画に感じた。幼く母を亡くした境遇が初期の作品に反映されている為だろうか。下絵と作品の対比の展示も興味深い。作品のほうが人物の顔が細面なところなど、美意識が良く分かる。「食後」の下絵からの作品への変化も、構図表情の工夫の跡が良く分かる。鳥や植物のつるは、その線が美しさが絶品。「飛鴨」の少し前傾姿勢で着陸するさまは、構図が一寸アンバランスで、またそれが心に残る。虫食った柿の葉まで描いた「柿図」?は、写実的なようで、構図はもちろん、柿の実も葉もグラデーションがさりげなく印象的。前期で一番のお気に入りは「牛」。動いているようで、静止しているようで、不思議なアンビバレントな印象。それ以降の作品は、凝視(解説によれば、これが制作のキーワード)が、抽象か、戯画になってしまっていて、あまり面白みを感じないものもあったが、この作品は、闘う二匹の牛が角で押し合い静止した構図は、静止しているが動き出す、その一瞬を凝視し捉えている。「牡丹(絶筆)」は、絶筆とは思えない作品。解説もわかりやすかった。後期は、作品はほとんど入れ替わる。また見に行きたい(2005年6月18日)
コメント (1)
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