(今日の写真はマメ科ハギ属の多年草「メドハギ(筮萩)」である。草本であるが、よく枝分かれし、半ば低木状に木化している。これは日本全国の野原や痩せ地に生える。岩木山でも、山麓に敷設された「砕石道路」や「簡易舗装道路」脇などに、その「分布」を広げている。これは、百沢スキー場蔵助沢の「コンクリート床固め」の脇に生えていたものだ。写したのは8月23日だから、ちょうどその頃から「花期」が始まり、10月まで咲いている。花は葉の脇に2~4個集まってつく。花弁は長さが約7mm、白黄色で紫色の斑紋がある。萼は深く5裂し、裂片は披針形で毛が密生している。
茎の高さは60~90cm。葉は「3小葉」を持つ複葉で、密に互生している。「頂小葉」は他の小葉より大きい。など東亜に広く分布する。葉は3つの小葉からなり、頂小葉が最も大きい。
茎は低木状で丈夫だ。なかなか折れない。この木化した茎で、「簾(すだれ)」を造ることもあるという。「花名の由来」もこの茎にある。「メドハギ」は「メドギハギ」の略体で、「八卦占い」に使われる筮竹(ぜいちく)を「めどぎ」といい、この硬い「茎」を代用したことに因るのだ。)
◇◇「白神ライン」の脇にも「メドハギ」は存在する。これは何を語るか◇◇
「白神ライン」はかつては「弘西林道」と呼ばれていた。白神山地が世界自然遺産に登録されてから、その名称を「白神ライン」と変えたのだ。この意図は何か。
英語「ライン(Line)」には線、行(ぎょう)・列・罫(けい)、輪郭線、航路・鉄道路線、系列・系統、生産・組立て工程、ライン部門の略、境目、水準などの意味がある。
それでは、この「白神ライン」とはどのような意味なのだろうか。単純に「線」とか「路線」というだけの意味でいいのだろうか。
ネーミングというものには「思想」やその「抽象化」された精神があるものではないだろうか。別な言い方をすると「哲学的」な要素が込められているものだろう。誰が「白神ライン」と命名したかは分からないが、「ライン」には「境目、水準」という意味があるということを知っていて名付けたのであろう。そう思いたい。
とにかく、「弘西林道」では駄目だったのだ。「林道」という名前を避けたかったのだ。単純だ。「林道」では観光客を呼べないからである。「観光地」に林道は不要なのである。それでも、本来の「林道」という名称にこだわった場合もあった。それは「スーパー林道」という名称だ。
「林道を超えたもの、一般道路」という意味を滲ませた苦肉の名付けである。私は「白神ライン」という命名に「苦肉」の策を感じない。
現「白神ライン」である旧「弘西林道」を敷設するに際して、まことしやかに…
「これが出来ると弘前と西海岸地区との文化の交流が図れるし、岩崎や深浦の子供たちはなにも秋田の高校に通う必要はなくなる。弘前の学校に毎日通学出来るようになるんだ。」…と言われたものだ。
そして、弘西林道は出来た。ところが、そんなことはまったくの嘘っぱち、時間はかかるは、道路は砂利道、決壊やらで不通が多く、その上、冬場を含めた6ヶ月から7ヶ月間は積雪のため通行不能だ。「文化交流の道、通学道路、生活道路」というお題目はみな造るための方便であった。そして、今は「猿の通り道」になっている。この「白神ライン」沿いに猿たちは移動して、その生活圏を西目屋の居住区民家や「リンゴ畑」まで広げている。
さて、「白神ライン」の脇にも「メドハギ」は生えている。道路が出来なければ「白神山地」の「山岳地帯」では見られない植物であった。
この植物の特性は「春は直立した1本の茎だが、夏から秋にかけて枝分かれして猛烈に繁茂すること」である。マメ科植物であり、根に根粒を持っているので、空中窒素の固定能力があるものだから、痩せ地や乾いた道路脇に、種さえこぼれるとどんどん生えるのである。白神山地を横切る「白神ライン」は「メドハギ」を「持ち込んだ」のである。
さらに、この「特性」は緑化に適しているから、「種子」は「白神ライン」の法面(のりめん)にも吹き付けられたはずである。これで、どんどん「メドハギ」は増えることになる。これだけでも問題なのに、この種子は、主に朝鮮や中国から供給されているのだそうで、「遺伝子の攪乱」などの問題点が指摘されている。
中国や朝鮮の「メドハギ」が、在来の「メドハギ」と交雑する。日本の気候や風土、地質に適したメドハギに異なった遺伝子が加わると、「雑種強勢」によってメドハギのバイタリティが高くなるだろう。
ここに、「生物の多様性」の変化、「多様な生態系」の破壊が生ずるのである。
つまり、これと競合する植物およびこれに関連する生物群に、また、植物体に含まれる成分や花の構造などに変化を生じると、関連した生物群に対して影響が出ることになるのである。
私に言わせると「ぶな巨木ふれあいの径」の敷設は、このようなことへの視点と遵守の姿勢が欠如のままで、実施されてきたものに他ならないのである。
「メドハギに関してはすでに遅いかも知れない」という指摘もあるが、そうなる前に、「簡易舗装道路敷設を中止」して「自然復元」を図るべきだろう。
◇◇津軽森林管理署「ぶな巨木ふれあいの径」アンケート◇◇
昨日、ある人から「アンケート」関わる内容のメールを貰った。その中に次の一文があったので紹介する。
「このアンケートの範囲だけでは、伐採をこのような形で認めた上での対策の検討になってしまい、ダメだと思います。その前提に、伐採はすべきでなかったとの意見と、伐採にあたり十分な協議、検討が必要、との見解が森林管理署には必要です。」
私も、同感である。
簡単に言うと「手つかずの『ブナ原生林』」が世界自然遺産指定の主要な要件であったはずだが、その「ブナ原生林」を直接、動的・物理的・植生的に管理する「林野庁・森林管理署」が、「伐採という形」で「原生林」を壊し、「簡易コンクリート舗装道路」を敷設して「植生破壊」しているのだから、おかしいのである。
「手つかずの『ブナ原生林』」を保護するということは「生物の多様性」を維持するということに他ならない。にもかかわらず、保護主体である「林野庁・森林管理署」が、率先して「生物の多様性」を破壊するような行為をしているのだ。
だから、当然「アンケート」趣旨には「このこと」は一切触れられていないのだ。それに触れると「自己矛盾」を明らかにせざるを得ないからだろう。
ただ、「世界自然遺産」を利用して観光客を集めていることに腐心しているだけだ。(明日に続く)
茎の高さは60~90cm。葉は「3小葉」を持つ複葉で、密に互生している。「頂小葉」は他の小葉より大きい。など東亜に広く分布する。葉は3つの小葉からなり、頂小葉が最も大きい。
茎は低木状で丈夫だ。なかなか折れない。この木化した茎で、「簾(すだれ)」を造ることもあるという。「花名の由来」もこの茎にある。「メドハギ」は「メドギハギ」の略体で、「八卦占い」に使われる筮竹(ぜいちく)を「めどぎ」といい、この硬い「茎」を代用したことに因るのだ。)
◇◇「白神ライン」の脇にも「メドハギ」は存在する。これは何を語るか◇◇
「白神ライン」はかつては「弘西林道」と呼ばれていた。白神山地が世界自然遺産に登録されてから、その名称を「白神ライン」と変えたのだ。この意図は何か。
英語「ライン(Line)」には線、行(ぎょう)・列・罫(けい)、輪郭線、航路・鉄道路線、系列・系統、生産・組立て工程、ライン部門の略、境目、水準などの意味がある。
それでは、この「白神ライン」とはどのような意味なのだろうか。単純に「線」とか「路線」というだけの意味でいいのだろうか。
ネーミングというものには「思想」やその「抽象化」された精神があるものではないだろうか。別な言い方をすると「哲学的」な要素が込められているものだろう。誰が「白神ライン」と命名したかは分からないが、「ライン」には「境目、水準」という意味があるということを知っていて名付けたのであろう。そう思いたい。
とにかく、「弘西林道」では駄目だったのだ。「林道」という名前を避けたかったのだ。単純だ。「林道」では観光客を呼べないからである。「観光地」に林道は不要なのである。それでも、本来の「林道」という名称にこだわった場合もあった。それは「スーパー林道」という名称だ。
「林道を超えたもの、一般道路」という意味を滲ませた苦肉の名付けである。私は「白神ライン」という命名に「苦肉」の策を感じない。
現「白神ライン」である旧「弘西林道」を敷設するに際して、まことしやかに…
「これが出来ると弘前と西海岸地区との文化の交流が図れるし、岩崎や深浦の子供たちはなにも秋田の高校に通う必要はなくなる。弘前の学校に毎日通学出来るようになるんだ。」…と言われたものだ。
そして、弘西林道は出来た。ところが、そんなことはまったくの嘘っぱち、時間はかかるは、道路は砂利道、決壊やらで不通が多く、その上、冬場を含めた6ヶ月から7ヶ月間は積雪のため通行不能だ。「文化交流の道、通学道路、生活道路」というお題目はみな造るための方便であった。そして、今は「猿の通り道」になっている。この「白神ライン」沿いに猿たちは移動して、その生活圏を西目屋の居住区民家や「リンゴ畑」まで広げている。
さて、「白神ライン」の脇にも「メドハギ」は生えている。道路が出来なければ「白神山地」の「山岳地帯」では見られない植物であった。
この植物の特性は「春は直立した1本の茎だが、夏から秋にかけて枝分かれして猛烈に繁茂すること」である。マメ科植物であり、根に根粒を持っているので、空中窒素の固定能力があるものだから、痩せ地や乾いた道路脇に、種さえこぼれるとどんどん生えるのである。白神山地を横切る「白神ライン」は「メドハギ」を「持ち込んだ」のである。
さらに、この「特性」は緑化に適しているから、「種子」は「白神ライン」の法面(のりめん)にも吹き付けられたはずである。これで、どんどん「メドハギ」は増えることになる。これだけでも問題なのに、この種子は、主に朝鮮や中国から供給されているのだそうで、「遺伝子の攪乱」などの問題点が指摘されている。
中国や朝鮮の「メドハギ」が、在来の「メドハギ」と交雑する。日本の気候や風土、地質に適したメドハギに異なった遺伝子が加わると、「雑種強勢」によってメドハギのバイタリティが高くなるだろう。
ここに、「生物の多様性」の変化、「多様な生態系」の破壊が生ずるのである。
つまり、これと競合する植物およびこれに関連する生物群に、また、植物体に含まれる成分や花の構造などに変化を生じると、関連した生物群に対して影響が出ることになるのである。
私に言わせると「ぶな巨木ふれあいの径」の敷設は、このようなことへの視点と遵守の姿勢が欠如のままで、実施されてきたものに他ならないのである。
「メドハギに関してはすでに遅いかも知れない」という指摘もあるが、そうなる前に、「簡易舗装道路敷設を中止」して「自然復元」を図るべきだろう。
◇◇津軽森林管理署「ぶな巨木ふれあいの径」アンケート◇◇
昨日、ある人から「アンケート」関わる内容のメールを貰った。その中に次の一文があったので紹介する。
「このアンケートの範囲だけでは、伐採をこのような形で認めた上での対策の検討になってしまい、ダメだと思います。その前提に、伐採はすべきでなかったとの意見と、伐採にあたり十分な協議、検討が必要、との見解が森林管理署には必要です。」
私も、同感である。
簡単に言うと「手つかずの『ブナ原生林』」が世界自然遺産指定の主要な要件であったはずだが、その「ブナ原生林」を直接、動的・物理的・植生的に管理する「林野庁・森林管理署」が、「伐採という形」で「原生林」を壊し、「簡易コンクリート舗装道路」を敷設して「植生破壊」しているのだから、おかしいのである。
「手つかずの『ブナ原生林』」を保護するということは「生物の多様性」を維持するということに他ならない。にもかかわらず、保護主体である「林野庁・森林管理署」が、率先して「生物の多様性」を破壊するような行為をしているのだ。
だから、当然「アンケート」趣旨には「このこと」は一切触れられていないのだ。それに触れると「自己矛盾」を明らかにせざるを得ないからだろう。
ただ、「世界自然遺産」を利用して観光客を集めていることに腐心しているだけだ。(明日に続く)