(今日の写真は昨年の10月14日に、長平登山道の西法寺森下部登山道から大鳴沢右岸尾根を写したものである。
先日、NHK青森放送局のYカメラマンから次にような電話があった。
…「今秋、青森県の山の紅葉という番組を計画しています。岩木山の紅葉も紹介したいのですが、どの場所からの、または岩木山のどこの紅葉がいいでしょうか。」…ということで、この「風景」を紹介した。
ところで、今月の半ばに、この場所への案内を頼まれてしまった。何故、この場所を紹介したのかには訳がある。
それは、この場所から眺める「紅葉時季」の彩りの鮮やかさと区切られたかのような彩りの輪郭の際だちが見事だからである。
しかも、この美しさを体験している人は非常に少ない。この登山道を登る人が滅多にないからでもある。
自動車道路「津軽スカイライン」という安易・安直なルートだけに頼った「他力」登山では本当に美しい「岩木山」や「花々」には出会えない。
Yカメラマンからの返信にも「素晴らしい三色ですね。西面のようなので、時間帯は帰って午後のほうがよいのでしょうか。登りで撮って、下りの頃にもよい光かもしれませんね。」とあった。)
ところで、あなたは「岩木山の登山コース」をいくつ知っているか?
登山道と表現すれば、はっきりとした「道」を意識するであろうから、「コース」と表記したい。「ルート」と呼んでもいいのだが、次のような例もあるので「コース」にしておく。
…以前に、林野庁が白神山地で、「25のルート」を紹介したことがある。「ルート」とは「道路」のことだろうと、正しく「勘違い」した人たちが、まるで、百名山の「整備」された「登山道」をイメージしてやって来た。
ところが、そのような「登山道」は、白神岳への登山道、白神岳から十二湖へ辿る登山道、それに、今はしゃれた「白神ライン」と呼ばれる弘西林道の天狗峠から「天狗岳」までの登山道以外はないのである。
ここで言う「ルート」とは、これらを含めて「辿る意志があれば、自力で辿ることが出来ます」という「地図上に引いた便宜的な線」に過ぎない。
それを、「登山道」だと思い込み、やって来るのだから「混乱」する。「遭難まがい」や「遭難一歩手前」という事態が次々に起こったことも無理のない話しだった。最近はないようだ。「実態」がようやく理解され始めたのだろう。
また、岩木山の、「登山道」と呼ばれながらも、現在では「確実性が薄れ、目の前に見える事実とよく解らない事実を抽象的につなげないと前進が不可能」になっているものが多いからである。
岩木山には、かつて11の夏道ルートがあった。現在、利用できる夏場の登山道は、長平口、岳口、百沢口、弥生口、大石赤倉口の5つの登山道である。この5つの中でも「確実性」の高いものは「岳口、百沢口」の2つである。
先年までは「松代口」ルートも、松代石倉から追子森山頂までは道がはっきりしているのだが、追子森山頂から松代(長平)分岐までは「道は消失」していて、背丈が2mを越える竹藪地帯となっている。
標識もなく、猛烈な藪こぎを強いられるので、強い体力と豊富な経験がないと登ることが出来ない。
それでは、現在利用可能な登山道の紹介をしよう。
(1)百沢登山道「岩木山神社奥宮登拝道」(岩木山神社→姥石→大沢→山頂)
大沢の浮き石には注意が必要。残雪が6月いっぱい大沢にはあり、春に底雪崩が発生した年には7月中旬以降の利用が安全だ。
(2)弥生登山道(弥生→上弥生→大長峰→山頂)
先年新しく標識が建てられて、それに従うと「迷う」ことはないが、標高1000mよりも上部は、道が下草で覆われているので「下り」では注意が必要だ。耳成岩下部辺りで道が消失状態である。
(3)赤倉登山道(大石・赤倉→伯母石→大開→山頂)
比較的しっかりしているが「伯母石」上部の岩稜は登るべきではない。旧来からの岩稜の裾を巻いてほしい。
(4)長平登山道(スキー場駐車場→登山口→石神様→松代分岐→山頂)
スキー場ゲレンデによって曖昧にされている。さらに、大ノ平「松代」コースからの分岐点近くの頂上方向が、根曲がり竹の密生によって不確実なところが多い。
(5)岳登山道 (岳温泉→スカイライン→山頂)
標高800m付近でブナ林から杉植林地に右折する。まっすぐに進むと竹藪になって前進が不能。
(明日に続く。)
先日、NHK青森放送局のYカメラマンから次にような電話があった。
…「今秋、青森県の山の紅葉という番組を計画しています。岩木山の紅葉も紹介したいのですが、どの場所からの、または岩木山のどこの紅葉がいいでしょうか。」…ということで、この「風景」を紹介した。
ところで、今月の半ばに、この場所への案内を頼まれてしまった。何故、この場所を紹介したのかには訳がある。
それは、この場所から眺める「紅葉時季」の彩りの鮮やかさと区切られたかのような彩りの輪郭の際だちが見事だからである。
しかも、この美しさを体験している人は非常に少ない。この登山道を登る人が滅多にないからでもある。
自動車道路「津軽スカイライン」という安易・安直なルートだけに頼った「他力」登山では本当に美しい「岩木山」や「花々」には出会えない。
Yカメラマンからの返信にも「素晴らしい三色ですね。西面のようなので、時間帯は帰って午後のほうがよいのでしょうか。登りで撮って、下りの頃にもよい光かもしれませんね。」とあった。)
ところで、あなたは「岩木山の登山コース」をいくつ知っているか?
登山道と表現すれば、はっきりとした「道」を意識するであろうから、「コース」と表記したい。「ルート」と呼んでもいいのだが、次のような例もあるので「コース」にしておく。
…以前に、林野庁が白神山地で、「25のルート」を紹介したことがある。「ルート」とは「道路」のことだろうと、正しく「勘違い」した人たちが、まるで、百名山の「整備」された「登山道」をイメージしてやって来た。
ところが、そのような「登山道」は、白神岳への登山道、白神岳から十二湖へ辿る登山道、それに、今はしゃれた「白神ライン」と呼ばれる弘西林道の天狗峠から「天狗岳」までの登山道以外はないのである。
ここで言う「ルート」とは、これらを含めて「辿る意志があれば、自力で辿ることが出来ます」という「地図上に引いた便宜的な線」に過ぎない。
それを、「登山道」だと思い込み、やって来るのだから「混乱」する。「遭難まがい」や「遭難一歩手前」という事態が次々に起こったことも無理のない話しだった。最近はないようだ。「実態」がようやく理解され始めたのだろう。
また、岩木山の、「登山道」と呼ばれながらも、現在では「確実性が薄れ、目の前に見える事実とよく解らない事実を抽象的につなげないと前進が不可能」になっているものが多いからである。
岩木山には、かつて11の夏道ルートがあった。現在、利用できる夏場の登山道は、長平口、岳口、百沢口、弥生口、大石赤倉口の5つの登山道である。この5つの中でも「確実性」の高いものは「岳口、百沢口」の2つである。
先年までは「松代口」ルートも、松代石倉から追子森山頂までは道がはっきりしているのだが、追子森山頂から松代(長平)分岐までは「道は消失」していて、背丈が2mを越える竹藪地帯となっている。
標識もなく、猛烈な藪こぎを強いられるので、強い体力と豊富な経験がないと登ることが出来ない。
それでは、現在利用可能な登山道の紹介をしよう。
(1)百沢登山道「岩木山神社奥宮登拝道」(岩木山神社→姥石→大沢→山頂)
大沢の浮き石には注意が必要。残雪が6月いっぱい大沢にはあり、春に底雪崩が発生した年には7月中旬以降の利用が安全だ。
(2)弥生登山道(弥生→上弥生→大長峰→山頂)
先年新しく標識が建てられて、それに従うと「迷う」ことはないが、標高1000mよりも上部は、道が下草で覆われているので「下り」では注意が必要だ。耳成岩下部辺りで道が消失状態である。
(3)赤倉登山道(大石・赤倉→伯母石→大開→山頂)
比較的しっかりしているが「伯母石」上部の岩稜は登るべきではない。旧来からの岩稜の裾を巻いてほしい。
(4)長平登山道(スキー場駐車場→登山口→石神様→松代分岐→山頂)
スキー場ゲレンデによって曖昧にされている。さらに、大ノ平「松代」コースからの分岐点近くの頂上方向が、根曲がり竹の密生によって不確実なところが多い。
(5)岳登山道 (岳温泉→スカイライン→山頂)
標高800m付近でブナ林から杉植林地に右折する。まっすぐに進むと竹藪になって前進が不能。
(明日に続く。)