岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

雪上車運行で、この尾根だけが「岩木山銀座」になる。雪崩の危険がいっぱいの鳥海山東面尾根の滑降

2008-02-16 06:23:53 | Weblog
( 今日の写真は、「雪上車」である。運行場所は「岩木山スカイライン」が15年間運行を続けてきたが経営が成り立たなくなったので、数年前に撤退した運行コースである。
 このコースの「雪上車運行」は一昨年、中央の企業が再開したが、これまた営業不振で昨年は撤退し、運行されなかった場所でもある。
 一昨年再開した「運行企業」は森林管理署の許認可を得ていたようだ。
岩木山を考える会は「雪上車運行」によって雪が「圧雪状態」になりその部分、つまり標高約450mから1100mまで、幅7mが「硬雪」となり、自然の循環的な「雪解け」にならず、残雪のため周辺気温が冷涼のため「ブナ林」の生態系に、たとえば、「ミドリシジミの発生が遅れて羽化や産卵に異常をきたしている」などの悪影響から、冬期間の「雪上車運行」を控えてくれるように要望してきた。自然保護課に同じような要望も出している。
 だから、昨年「雪上車運行」は中止して、撤退という知らせを受けた時は、ほっとしたものである。
 ところが、今季また「雪上車運行」が再開されていたのである。果たして、「森林管理署」や「自然保護課」、それに、「お客を乗せての運行」であるから、その筋の「行政機関」の許認可を受けているのだろうか。
 これまでの本会への「森林管理署」や「自然保護課」などの対応から考えると、到底許認可はされないと考えているが、どうなのだろう。「森林管理署」「自然保護課」に確認してみる必要がありそうである。
 この写真は2月9日に撮影したものだ。視認した限りではこれには3人のスノーボーダーが乗っていた。
 今季は、いつの年にないほど、岩木山の「岳登山道尾根」を登る人が多いと思っていたら、実はこの「雪上車」を利用していたのである。

 9日から10日にかけても、述べ15人前後のスノーボーダーやスキーを使った登山者が雪上車に「乗車」して、標高1100m辺りまで「運ばれて」きて、上部を目指していたのである。
その中の9日に確認した3人は、その登高跡から鳥海山頂に向かっていることが分かったし、10日下山の時、確認した数名もリフト終点から鳥海山に向かっていた。同じ日に出会った5人のスキー登山者は鰺ヶ沢スキー場に降りると言っていたのである。

 その1週間前の2月3日(日)に、私は百沢尾根の焼け止り小屋よりも少しだけ上部まで登ったが、その時も鳥海山から「雪崩発生の常習地帯」である、その東斜面を、焼け止り小屋の西を通り、下っている「スノーボード」の滑走跡を発見していた。
 さらに、その「滑走跡」は、大体スキー標識を辿りながら、姥石からは「登山道」の西に位置する林道沿いに「スキー標識」に従いながら、「七曲り」から百沢スキー場方向に滑り降りていた。

 これらのことは何を意味するのか。多数のスノーボーダーが「雪上車」に乗って、比較的、楽に、標高1502mの鳥海山に登って、そこから「雪崩常習地帯」の鳥海の東斜面を百沢登山道尾根に向かって滑降しているのである。麓の登山口から「自力」で登ってくる「スノーボーダー」は数少ない。
 3日は、午前中は晴れていたので視界が利いた。しかし、9日も10日も標高1200m以上の場所では視界は、5mから20mであった。その上、2日前から積もった新雪は場所によっては70cm以上に達していた。私も登りながら足下に、何回も「弱層」の存在を確認したものだ。

 まさに、「雪崩がいつ起きておかしくない」という積雪と雪質、しかも、「雪崩に遭う」かも知れないし、「雪崩を誘発」してしまうかも知れないような「場所」に、いくら「頼まれた」ことであるかも知れないが、「安易」に行けるような「雪上車乗車」という機会を与えることには、「危険回避」と「生命の安全確保」という点からは、問題があるのではないか。「乗せている間」だけが「責任」というのであれば、それは「道義的」に問題視されるだろう。
 しかも、仮に、「雪上車乗車」代金を徴収しての行為であるとすれば、「下車後」についても、なおさら「利用者の安全確保」には十分留意することは当然であろう。

私は10日の晩と11日の朝のテレビニュースを、丁寧に見ざるを得なかった。それは、10日に鳥海山から滑降したスノーボーダーたちと岩木山山頂を経て鰺ヶ沢スキー場に下山すると言っていたスキー登山者たちが「遭難事故」の主役になっていないことを「切望」したからである。)


 なお、連載中の「歩くこと、走ること、自転車走行にまつわる話し、あれこれ(17)」(承前)「自転車走行中に出会うこと」(4)は明日掲載する。