岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

岩木山登山道第一おみ坂上部の大岩、落下のおそれ

2007-06-05 06:12:52 | Weblog
     ※岩木山登山道第一おみ坂上部の大岩が落下のおそれ

 日赤岩木山パトロール隊の事務局長Sさんから連絡があった。連絡というより、相談を受けたという方がいいかも知れない。
 ここ数年、本会と日赤岩木山パトロール隊とは、登山客や登山者たちの安全を確保するという点で一致協力して業務提携したり、情報を提供したりしてきた。
 たとえば、岳温泉にある「岩木山トレイルセンター(別名:岩木散歩館)の運営や資料の提供」「登山道の整備およびそれに関する合同の実地踏査」「登山道の危険箇所の点検」「スズメバチ対策」「清掃登山や刈り払い」「雪崩の早期発見とその対処」「ミズバショウ沼の整備」などである。
 
 一昨年も本会と相談した上で、「第一おみ坂上部」からの落石を考慮して、その部分に景観を壊さないことに配慮し、細めで緑色の防御用のネットを張った。
 「第一おみ坂」というのは百沢登山道で来ると種蒔苗代の上部で、岳やスカイラインで来ると鳳鳴(ほうめい)小屋からの急な登りの呼称である。まさに「岩」だらけの岩石累々たる場所である。この場所を年間、5万人近い人が登り・降りをしているのである。
 そして、その急峻な地形と岩だらけという条件から、落石が発生しやすく、これまでに数件の落石事故があり、不幸にも数名の方が死亡している。

 ついでだから書こう。登山客や登山者は、この「第一おみ坂」を登る時は、「右側を一列」でを厳守してほしい。次いで、この「登りの途中では絶対に休まないこと」つまり、「第一おみ坂は一気に登ること」も守ってほしい。これらは当然、「降りる」時も厳守しなければいけない。
 よく、落石事故の現場に設置されている「慰霊碑」の傍で「休んで」いる人がいるが、これは「落石」を待ち受けている、つまり「落石」に当たることを望んでいる「自殺行為」に等しいのである。落石のおそれがある場所で「のんびりと休んでいる」などはまさに「狂気の沙汰」であろう。
 この「第一おみ坂」を休まず、一気に登り・降り出来ない人は、山頂に行くことを断念してもらいたいものである。
 「第一おみ坂上部の大岩が落下のおそれ」があるということは、以上のような実態を踏まえた上で、検討されている懸案事項なのだ。
 つまり、こういうことである。
 前述した「ネットを張った」場所近く(「第二おみ坂下部のテラス状下端」)に、動き加減のする大きな岩がある。その岩が「自然落石」する可能性は高い。
「落石」事故を防ぐには「落石」の可能性がある石や岩を人工的に落としてしまう方法もある。
 しかし、これには…
 1.どのように位置した岩でも、他の岩と微妙なバランスを保ちながら支え合って崩落を止めている。だから、無理矢理に人工的な崩落を加えると、連鎖的に他の岩も動いたり、落下をすることになり、結果的には「落石」を助長することになる。
 2.あるがままの自然的な景観を壊すだけでなく、これは「自然破壊」につながることになる。「落石」は造山活動の自然現象の一つに過ぎないものである。
…などの問題点がある。
 
 そこで、Sさんの提案では…
「上部に支点(鉄杭を打つ)をとり、金属製のワイヤーで、その岩を適当な帳力を保持しながら、静止状態で牽引させて固定する。」ということである。
 私は、賛成した。そして、詳しくは8日に開かれる「岩木山環境保全協議会」で聞くことにした。作業は、この3、4日に行われたはずである。本当にありがたいことである。
 
 ついでに「岩木スカイライン」にも言いたい。スカイラインやリフトを利用する登山客には、「リフト」乗り場などで「第一おみ坂の危険性とそこの登り・降りに関する注意」を徹底させてほしいものだ。料金を取って、1400mまで引き上げておいて、その後は、登山客の「自己責任」でというのでは、あまりにも法人としての「自己責任」がないのではないか。
 企業が「儲ければいい」ということでは成り立っていかない時代に来ていることを考えるべきだろう。