たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『クハナ』観てきました(4)

2017年03月11日 16時44分33秒 | ミュージカル・舞台・映画
「お金集めは、悲喜こもごも。

 予算の関係で、この映画は最初から「16日間で撮りきる」ということが決まっていました。雨が降ろうが、雪が降ろうが、絶対に16日で撮るのです。

予算の話が出たところで、少しだけお金の話も。『クハナ』は、総予算、約5,000万円で製作されています。5,000万円というのは、映画の世界では低予算の部類ですが、でも、最初は自主映画としてスタートした私たち(秦とそして、映画製作未経験の地元映画部)にとっては、それはもうすごい大金なんですよね。このお金を集めるために準備の一年の大半を費やしたと言っても過言ではないです。

お金の話というのはとてもデリケートで、例えば、「総予算、約5,000万円」と書くだけでも、「そういう話は生臭いから具体的な数字を書くのはやめましょう」という人が出てきたりします。「地元を盛り上げるためなら、できることは何でもしますよ」と言っていた大きな会社の社長さんが、具体的なお金の話になった瞬間に態度が急変したりもします。「東京から胡散臭いやつがやってきて、地元民を騙して金儲けをしようとしている」と陰口を叩かれたこともありました。映画の部長は、いろんな人から何度も「映画なんて実際は出来っこない。あんたが恥かくだけだから、今のうちに手を引きなさい」と忠告されたそうです。それでも、クハナ!映画部の人たちの情熱は消えず、ついに予算を集めきって3月のクランクインまでこぎつけました。

この映画のエンドロールの「協賛企業」の数!地方映画に詳しい人たちは、みんなこのエンドロールにびっくりします。これらは、ボランティアとしてこの映画のために走り回った映画部のみんなの勲章だとぼくは思っています。」

(『クハナ』公式プログラムのプロダクションノートより、文;秦建日子)


 以前にも書きましたが、エンドロールの協賛企業名をみたとき本当にびっくりました。ゼロから東海地区の名だたる企業をよくここまで集めたものだと思いました。5,000万円というのは何も持たない一個人にとっては途方もない金額ですが、大企業にとってはなんてことない金額。個人ではなく会社のお金ですから・・・。ここで比較対象として持ち出すことは適切ではないことを承知で書けば、損害賠償を求めたわたしというこんなにちっぽけな一市民をにぎりつぶすためにカイシャから弁〇士に流れたお金はたぶんはこの5分の1ぐらいと思われます。あくまでも推測ですが諸々考えるとたぶんトータルそれぐらいの、全く意味のないお金がたくさんあるところからたくさんあるところへとじゃぶじゃぶと流れていきました。話が長引けば長引くだけ弁〇士先生はお金になりますから、幼稚くさい書面をつくってはなにかとケチをつけてのらーりくらーりと話を引き伸ばしていきました。そうしないとお金になりませんからね。お金のためですよ、お金。世の中、こんなふうにない人のところにはこないようになっているんですよ、すごく実にうまーくね。こんな無意味な使われ方じゃなくって、これだけの同じお金が被災された方のために使われたらどんなに有益だろう、これだけのお金があれば大学に進学できる子がいるのに、そんな人のところへこのお金が届けばいいのに、と何度も何度も思いました。私個人の体験ばかりでなく、色々な現実をみながら、本当に必要な人のところへ、必要なだけのお金が届くことってすごく難しいことなんだとしみじみ思います。予算を集めきったこと、映画をつくりたいという想いの汗と涙の結晶と推察します。

 9つの花=クハナ、オーデションをやってみたら応募者のレベルが高すぎて9人にしぼり切れずクハナキッズは10人になったとプログラムに書かれています。10人中4人が楽器を触るのもはじめてというところから、10か月でめきめきと成長していったそうです。劇中で全く楽器を演奏できなかったキッズたちが大石先生(風間とおるさん)の指導と練習で音を出すことができるようになり、練習に練習を重ねて演奏できるようになっていく姿と重なります。ドラムの瑞希ちゃん(久本眞志子さん)が手作りのドラムセットで家で練習している場面が絶妙に可愛く、なんだかいとおしく特に印象に残っています。

 主人公、真田真珠(松本来夢さん)がサックスほしくなって、でもサックスを買うためのお金を工面するのはとっても大変なことだってわかっていて、案の定お母さん(須藤理沙さん)は猛反対。お母さんがこっそり貯めていた数万円を、とぼけたふりして真珠にわたすおばあちゃん(山村美智さん)の演技が絶妙にあたたかく、いい味だしていました。とってもお茶目でかわいくて憎めない。どなたかと思ったらひょうきんアナだった山村美智子さんなんですね。女優さんになられていたとは知りませんでした。お母さん役の須藤理沙さんの庶民ぶりも絶妙でした。キッズを囲む大人たちの姿も悲喜こもごも。一緒に泣いたり笑ったり喜んだり。お金がなくては生きていくことできませんがお金だけでもない。バランス大切。あったかい仕上がりの作品。願わくば、海斗君(加藤清史郎君)もクハナキッズと一緒に大会で演奏してほしかった・・・。

 平野綾さんのブログに登場した制服姿の清史郎君の凛々しさにくらくらなりました。
 http://ameblo.jp/hirano--aya/entry-12255241181.html

 中学校卒業ですか。早いねー。高校は報道されているようにイギリスに留学するのかな。さらにさらに成長して、マリウス、アンジョルラス、ルドルフで舞台に戻ってくる日を無事に楽しみに待っていますよ。その時が訪れるまで生き延びて見届けなくっちゃ。そんなこと考えるのまだ早いですかね。父とのお別れ、3.11、母とのお別れ。一日一日を生き延びていることは奇跡なんだとあらためて気づかされてからいつもそんなことを心の底で思いながら生きています。明日のことは誰にもわかりません。この世での旅を終えるときに、「幸せな人生だった」と思えるような生き方を手探りし続けます。見つけられないうちに人生の幕が下りるなってことにならなければいいですけど、どうでしょうかね・・・。

劇中写真は、公式ツィッターからお借りしました。




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