たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ミュージカル『王様と私』-2024年4月23日

2024年05月12日 12時07分05秒 | ミュージカル・舞台・映画

THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』-ProgramC千穐楽(4)


『王様と私』、1996年9月6日-29日日生劇場にて上演。わたしが観劇したのは、前楽のマチネだったかな。外に出るとまだ明るくて終演後に明るいのは苦手だなあと思った記憶があります。プログラムを買わなかったし、チケットは何度目かの引っ越しの際に断捨離してしまったのでおぼろげな記憶。チラシだけは長い間残していました。共演はその後2000年初演から2012年まで『エリザベート』でルキーニをシングルキャストで演じ続けた高嶋政宏さん、本田美奈子さんも出演していました。

なつかしの本田美奈子さん

1996年の『王様と私』のチラシ。
宝塚を退団したばかりの一路真輝さんの東宝初出演作品ということで観に行きました。
本田さんはタプチム役。
こんなに細身の本田さんのどこからあんな声量がでるのだろうと思った記憶があります。
一路さんが昨年地方で上演された『王様と私』の舞台を観ながら美奈子ちゃんを思い出して
涙が止まらなかったと、ご自身のブログに書かれています。

 日本が大東亜戦争に突入したときアジア圏で西欧諸国から独立していたのはタイと日本だけ、日本はアジアを侵略しようとしたのではなく欧米列強からアジアを守るために戦った、日本で終戦となった後もインドネシアでは日本兵がオランダ軍と戦い独立を勝ち取った。戦後アメリカによっていかに間違った歴史観を刷り込まれてきたかを知ると素直な気持ちでみることはもうできませんでした。戦争屋が儲けるために戦争をつくってきたのがアメリカという国なのだとわかってきたのでブロードウェイミュージカルを観るのはもはやかなり複雑ですがみりおちゃんの舞台、わたしには最後の機会かもしれないし、今の自分でもう一度という気持ちもありチケットを申し込みました。2階席後方、運のいいことに端っこ。杖を使わないと歩くのがきつくなってからは初めての日生劇場。裏にエレベーターがあり丁寧に案内していただきました。ありがとうございました。おかげさまでなんとか無事に往復して観劇することができました。終演後は久しぶりにシャンテで長崎ちゃんぽん。

 朝月希和ちゃんのタプティムに本田美奈子さんを重ねていました。かなり高音のソプラノと劇中劇「アンクルトムの小屋」の「ジョージ~!!」に震えがきました。かなり負担の多い役。1996年の舞台では捕らえられたタプティムが鞭打たれているであろうことを客席に想起させるべく悲鳴が響くという演出でしたがなくなりました。タプティムとルンタの悲恋は、奴隷制度を続けているなど近代民主主義国家ではないという描かれ方かと思いますが、西欧列強の資本主義はアジアとアフリカ諸国を植民地とすることで反映してきたのだと考えるとアメリカ人からみたアジア、白人至上主義、アジア圏への差別を感じないわけにはいきませんでした。日本が模倣してきたイギリスもアメリカも実は近代民主主義国家などではないわけで、そのほころびが今ボロボロとでてきて崩壊しようとしている今この作品を日本で上演することの意味はなんだろうと考えるとただ笑ったり泣いたりではいられませんでした。イギリス人がタイ王室の裸足に驚くところとか西欧式の舞踏会をやろとしてわっかドレスにあたふたするところとか、どちらがいい悪いは別にしてあくまでもアメリカ人が描いたタイとは思いました。JFKが暗殺される11年前の作品。古き良きアメリカを感じさせる音楽は秀逸で何回聴いていてもずっと残るメロディライン。

 みりおちゃんのドレス姿と歌声とっても素敵でした。タカラジェンヌは姿勢がいいのでデコルテも背中も着こなしが綺麗だし、みりおちゃんの真ん中にたつ姿はとっても華やか。表情の豊かさもみりおちゃんならでは。お茶目で可愛くて美しくてかっこいいアンナでした。ほぼ出すっぱり、シングルキャストでこの役をやるのは大変なエネルギーを要したでしょう。かつて『エリザベート』を東宝初演からシングルでやり続けたいっちゃんもみりおちゃんも本当にすごいとあらためて思いました。北村一輝さんミュージカル初出演はびっくり、キングのエトセトラエトセトラエトセトラに高嶋政宏さんの声が脳内再生されていました。千穐楽近くだったのでみりおちゃんとの呼吸もかなりあってきていたでしょう。絶妙な間の連続に客席は湧いていました。最後キングは息絶えるという結末、こんな終わり方だったか、ちょっと忘れていました。王位をつぐことになる第一王子の子役がうまくて希望を感じました。第一夫人の木村花代さんがさすがのうまさ、存在感でうなりました。宙組OGの朝木陽彩ちゃんが本名に戻ってアンサンブルキャストで出演。キングの夫人の一人を演じていました。アンサンブルキャストのみなさまのダンスも素晴らしかったです。かなり稽古をつまれたと思います。劇中劇「アンクルトムの小屋」のジョージの仮面をつけながらのダンス、気迫が凄まじくどなたかと気になったところ酒井航さんだったようです。さすがです。

 有村淳さんの衣装に舞台装置は松井るみさん、生演奏はB席平日は5,000円で贅沢なひとときでした。配信ならではよさはあれどやはり生でしか感じることのできないものがあります。日生劇場も数々の心のエネルギーをもらってきた場所、天井を見上げたくなります。足の痺れがきついですがまだ機会に恵まれるでしょうか。

「リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン二世の代表作として、世代を越えて世界中で愛される本作は、1952年第6回トニー賞作品賞、主演女優賞を含む5部門を受賞。日本では1965年に日本初演を迎え、日生劇場公演は1996年9月以来、28年ぶりの上演となります。

価値観の異なる者同士が衝突を繰り返しながらも心を通わせてゆく姿、友愛の精神こそ、この作品の持つ普遍的なテーマであります。それを「Shall We Dance?」をはじめとする名曲の数々とステージングが、物語を一層盛り上げていきます。

欧米列強の干渉から国を守り、独立自尊と発展を目指す王様役には、圧倒的な存在感、色気とチャーミングな魅力、情熱あふれる演技力を併せ持ちミュージカル初出演となる北村一輝が主演を飾ります。同じく主演のアンナ役には、元宝塚歌劇団トップスターで、退団後も力強い歌声と華麗な表現力で主演舞台が続く中、テレビほか映像においても活躍の場を広げる明日海りおを迎えます。朝月希和、竹内將人、木村花代、中河内雅貴、今 拓哉、小西遼生ら、豪華プリンシパルキャストの参加も決定。そして演出を担うのは、数々の海外ミュージカルの演出から、オリジナルミュージカル、ショーやコンサートなど、幅広いシーンで活躍を続ける小林 香。

世界的な名作の伝統を受け継ぎつつ、多様な価値観に溢れる現代にふさわしい、新演出版の『王様と私』をお届けいたします。」

 

在任中の1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された(ケネディ大統領暗殺事件)。

 

日に日に広がりを見せる北村×明日海コンビの『王様と私』観劇レビュー – エントレ|演劇動画ニュース (entre-news.jp)

 

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