たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『あかねさす紫の花』

2018年05月12日 23時18分52秒 | 宝塚
 情けないほどに平日の疲れがきている土曜日、あまり眠れていないせいか8時間睡眠でも足りない感じの朝でした。眠剤にたよっているのでなんだか気持ち悪いし、頭くらくら。それでも花組博多座『あかねさす紫の花』『Sante!!』のライブビューイングに行ってきました。後方席なので顔がアップになった時以外はぼやけてみえないの、舞台上に何人もいるときとか、群舞のときとか、特にショーはカメラが追いついていないことも多かったし、みえなくってみえなくってものすごく疲れましたが、それでも行っていなかったら後悔しかないよなっていう舞台でした。明日海りおさんの役への魂の込め方はすさまじいなと思いました。映像をとおしても観客を引き寄せる力がほとばしり出ているのがわかってすごいなと思いました。

『あかねさす紫の花』Aバージョン、大海人皇子:明日海りおさん 中大兄皇子:鳳月杏さん天比古:柚香光さんで主役は大海人皇子。日本という国家の礎が築かれ、中央集権国家が成立していったころの物語。わたしが井上靖さんの『額田大王』を胸はずませて読んだのは18歳の時でした。それから万葉集に惹かれて、大学の通信教育の教材としても関連本を何冊か購入して、でもまだ読み切れていないものもあって、この世にいる間にやりたいことのひとつは、この関連本をゆっくり読むこと。そんなこともあって気持ちがはいる作品。手持ちの映像から、一路さんの大海人皇子を最近久しぶりにみてから今日のライブビューイングをみて、どろどろで苦しい話だなとあらためて思いました。宝塚だから美しく昇華できるけど、リアル男子がやったらどろどろすぎてみていられないだろうなっていうところを男役という女性同士が演じることで美しいベールをまといロマンスとして仕上がるんだなと思いました。有名な万葉集の歌を美しいメロディにのせた柴田先生の脚本が秀逸。ラスト、中大兄皇子が「大海人くるったかー」「ばかものー!」と大海人皇子の高笑いは観客に想像の余地を残しているところがもやもやするところでもあり、同時にこのラストに向かって進んでいった物語でもあるのだなと納得でもあり。鳳月さんの中大兄皇子が期待どおり似合いすぎてました。才気にあふれ自信満々で政にたけ堂々と弟の嫁をうばってしまう。政のため有間皇子に謀反の疑いをかけて抹殺する残酷さをひめた美しさ。中大兄皇子(天智天皇)亡き後、壬申の乱をおこして大友皇子を死へと追いやるその後の残酷さ、兄には勝てなかったけれど兄に負けないぐらいの才気と残酷さを秘めていた大海人皇子の片りんを予感させるラスト。額田大王にあこがれ続けた天比古の哀れなこと、絶望し小月に助けてくれと泣き崩れる場面は涙がでました。出番は少ないですが、柚香さんの芝居心は切なさに胸がいたみました。妹に夫を奪われた鏡大王も哀れでなりませんでしたが、中臣鎌足に宮廷には戻らないと言い切り、自分と結婚するよう持ちかけるときの強さと気高さ、桜咲彩花さんのプライドを失わない女性像が素敵だなと思いました。鏡大王にすごく気持ちがよりました。現代とは一日の時間の感覚も四季の感覚も違っていた時代の物語。またゆっくりと振り返っていきたいし本も読みたい。この世にいる間にやれるかしら。明日はまた断捨離がんばらねば・・・。

 鳳月さん、ショーになると美しいドレス姿を披露。中大兄皇子もどっちも似合うところがすごい。桜咲さんとのツーショットがたくさんあったの嬉しい。かげソロの美しい歌声は音くり寿さんかな、雪組は朱美知留さんだったなって思い出しながら聴き惚れていました。明日海さんは苦悩する役がよく似合う。ショーのドレス姿は肩から腕にかけて筋肉がけっこうついていて華奢だと思っていたのでびっくり。あの細い体で娘役をリフトしたりするんだからそりゃそうか。このハードな舞台を一日二回。体調不良の人がいるみたいですが休演者は出ていないので、具合が悪くても舞台をつとめているということなのか。無事に千穐楽を迎えられますように。わたしもなんとか生き延びていかねば。


 トップの画像は一路さんの大海人皇子、平成8年のことでした。Aバージョンはこの時の脚本をほぼ踏襲していたと思います。最後の高笑い、一路さんもすさまじかった。


 舞台写真はツィッターからの拾い画です。
 
 



 しつこいですが、ともちゃんの額田大王をみたかったあってやっぱり思った土曜日の夕暮れでした。